
十月はやさしくて甘い。
山の湖のやうに空が碧く澄んで
薔薇の花に思ひ出の匂ひがある…
十月はやさしくて、豊かだ
昨日の夏は何処へ行ったか?
十月は、やさしくて、しとやかだ
色づいた木の葉、草の葉、咲き残る季節の花々 …
堀口大學の詩から 部分を拾う。
琳派の帰り 10月15日のユリノキ、 夏の陽が残っている。 紅葉まで まだまだ。 青々とした屏風はベンチの人を休ませている。 とりどりに形を変えて、ふざける雲と。
思い出す歌がある。
障子しめて四方の紅葉を感じをり 星野立子
見てきたものは 現代感覚のアートだった。 ちっとも古くない。 簾越しの秋草もあり、 こちらも惹かれる。 薄墨いろの、 そこはかとなく かがよふ色など、 これから大いに学ぼうと思う。