想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

寒波襲来と寄る年波

2009-12-15 13:33:47 | Weblog
墨絵のような遠景になってきた。
見た目も実際も寒々としている。いっさいが雪に被われて美しく輝くようになれば
また気持ちも晴れるのだが、まだちらちらと降るばかりなので
しばらくこんな感じの日が続く。
今は門まで郵便を取りに行くのも寒くて駆け足で急ぎ巣に戻る。



この方だけはあいかわらず元気でお外が大好き。くんくんしながら散策して歩き、
あげく冷たい川の中まで入ろうとするから目が離せない。
気持ちとからだがアンバランスの老体なんだから、しかたがないなあ。

歳をとったら若いときに想像していた通りにはならない、そういう声をよく聞く。
そして実際、そのとおりだとかなり前から気づいてはいたが、誰もみなそうだとは
思い至らなかった。知らなかった。
年寄りは年寄りらしく、大人らしく、というなんだかわからないけれど「らしさ」に
沿っていけるものだと思っていたのだ。
いつまでも気持ちが幼いというか変わらないのは自分くらいのもので、アホだかんな、
やっぱりアホなんだなあ、というくらいに思っていたのである。
他の人はそれなりに大人っぽく見えたりするもんだから。

しかし、気持ちは歳取らないのであるよ、誰もみな。
だから見かけはすっかりオバさん、なのにヨン様とか黄色い声で追っかけたりしてる。
それってしごく当然でもあって、別にどうってことではないわけだ。
だってヨン様は日本人じゃないから気恥ずかしさも半減するってこともあるだろうし、
ジャニーズ好きのオバさんを知っているけど、追っかけて出待ちなんかした日には若い人に
バッカじゃねえーとツバ吐かれるから怖いと言ってた。ヨン様なら若いファンは少ないから
その分安全、安心である。
とまあ、韓流ファンがわかりやすいから例えただけだが惹かれる気持ちやときめきは幾つに
なっても消えることはないらしい。分別(フンベツ)臭くなって気取っている人ほど、
押さえている分、反動が大きくなってハメを外したりなんてことになるかもしれない。

でもなあ‥‥、歳とともに内面が磨かれていけば、単に追っかけて接触して満足しようという
のとは違った気持ちの表しかたに変わっていくんじゃないだろうか。
それに比例して興味の対象もまた奥深くなっていく気がする。若々しい容姿や顔形だけでは
満足しなくなるという具合に。
いや、ジャニタレの顔入りウチワを大事にしてるオバさんの純情単純はよくわかった上で、
それはそれとしてである。それらは手にとりやすいようにパッケージされた淡い恋の対象、
商品であることを若くなければ誰しも承知しているはずだから。

目立たなくとも大げさではなくとも、惹かれる気持ちには変わりない。
むしろ静かで熱いというのが大人なわけで、自己満足というより自己昇華につながる恋心を
いつも胸の奥に持っているというのがいい。
そして成熟していく喜びと、一方で肉体の老いが同時進行することを受け入れていくことが
できるならば、満ち足りた時はより長く続くような気がする。

そこで、寄る年波と皺に悩める女心はそう簡単にいかないということを
思い知らされる話なんだけど。
映画「ベンジャミン・バトン」はハンサムなブラピ(ブラッド・ピットね)が特殊メイク
で老け役から美青年まで演じ分ける。時間が逆回りに進む奇妙な物語である。
誕生から始まりその死のときまで語られる話は徹底していて、よくあるトンデモ話や
奇想天外とは一線を画していた。
劇場公開時に観たいと思いながら行けずにいて、そのうち忘れてしまっていたのだが
レンタルDVDの安いコーナーをぶらぶらしていて見つけてすぐに借りたしだい。
劇場で観ても終わった後満足しただろうし、もう一度じっくりみようとも思う。
ケイト・ブランシェットは好きな女優だが、この作品では断然ブラピの存在が大きい。
そして母親役が黒人ファミリー特有のママの偉大さをよく表していて、好感が持てた。
時の流れと人生、そしてアメリカという社会の断面図を切り取っていて、映画の短い
尺のなかによくもうまく閉じ込めたものだと思った。
ラストがニューオリンズのハリケーンと重なっていたことも感慨深かった。





コメント
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