想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

学者の謙虚さ

2009-12-04 10:10:36 | Weblog
(満月の日、夕焼け 東京にて)


(4:20pm 10分間くらいのうちにしだいに赤色が濃くなり夕闇が始まる、静かに)

アインシュタインもホーキングも科学万能とは言っていない。
想像力を尽くし、神秘の前に立ち止まる謙虚な人である。
科学者も色々、並の思考力と想像力ではスパコンが神様になるのかしら、ね。
なんて皮肉言っても仕方が無い。仕分けに不満のエラいさんたちがずらりと並んで
記者会見するの図はなんだか奇妙に映った。日頃からつきあいがあるはずもない人々が
利害で一致するとこうなるということか。
研究者の世界にも政治はつきもので力学と研究成果が比例する。利根川氏は祖国より米国での
資金集めに長けた人なのだからその腕力でもって若き才能を育ててくれればよいのになあ。
国営放送局出身で才色兼備、メディアを賑わせ世間の注目を浴びたまま当時最先端の科学者と
結婚してしまった利根川氏の奥方といい(珍しくゴシップ記事みたいでしょ)エリートの言い分と
末端にいて寝る間もなく下働きする研究者の現状とはかけ離れすぎているなあ。

さてさて我らがアイドル大江健三郎もノーベル賞受賞者だ。
しかし、文科省の予算が削られてはいかん、文学が荒廃するぞ、そうすれば国力が衰えるぞと
内閣府へ乗り込んだりしてノーベル賞受賞者だぞ、話聞かんかい、とは言っていない、今のところ。
総理に直談判するぞ、と上座に座ったりなんてことはしない、今のところ。
たぶん、これからもないね、かっこわるいもの。
大江健三郎はスタイリッシュであるからね、(あの眼鏡をごらん)。

文学の育たない国は寂しい。でもそれを政府に訴えたりなんてしないだろう。
お上のお墨付きを信用していないだろうから。
民衆と、普通の人の底力をこそ信じるに足ると考えているだろうから。
一個人の勇気をこそ信じているだろう、自信があるからではなく謙虚であるゆえに。
「だから書く、継続は力」と作家は言うだろう。いつもそんな感じが小説の行間に滲んでいる。


(こちらの方も謙譲の美学をご存知、でもこれだけは譲れねえとピチャピチャ健在です)

PS:移動が続いて更新が不定期になりがちでも来てくださって嬉しい、うさぎ跳ねて喜ぶの図。
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森にてつぶやく

2009-12-03 11:04:01 | 
大地も海も、世界は広いようで狭い、ようで広いんである。
ほんとうは広い。とても広くて、つまりアリンコがこの森を歩き回るのと
同じくらい人にとっては広いはず、ほんとのところ。ザッザッと音をたて枯葉の
じゅうたんを歩きながら、そう思う。
人口が増えても、散らばればじゅうぶんまだ広い、ジャングルや砂漠には
住めないじゃないかって? そうでもないよ、ちょっと前まで住んでたし、今も
住んでるのに開発といって追い出して破壊しているなあ、お金持ちになった中国人。
どうして白人が失敗した事を後追いするんだろうか、黄色い人々はもっと賢くないのか。

争わなくてもいいくらい広い、ジェット機で短時間に行けても本当は広い地上。
だからじゅうぶんに分け合って暮らせるはず、他の生き物同様に。それぞれの居場所で。
独り占めにするなど考えない人だけならば、住めるのである。

隣の芝生はよく見える性分の人が昔も今もいるんだなあ。
船に乗って海を渡り、陸地を探検し、土地を荒らして持ち帰る。
そんなことを繰り返してきて、21世紀になってもまだやってる人々がいる。
そして無理矢理どうしてもって、争いが始まると世界は急に狭くなる。
なんでいまさらアフガン増兵するか、チェンジじゃなかったのか、黒い人よ。
賢く大らかに生きていたご先祖様を思う意地はないのかい?

ここはじーちゃんのまたじーちゃんの、そのまたじーちゃんもばーちゃんも生まれた土地。
大事だからね、来てもいいけど、大事にしてね、という話が通じない人がやってくると
急に狭くなる。キャタピラで地面を踏みしだき轟音を立てて、地響きとともに押し寄せ
ぶっ壊して、ミンシュシュギヲアタエルって上から目線なんだなあ。
そんなこと頼んでないといってもアタエルと言って轟音とともに押し寄せる。
押し掛けた事も押し寄せられた事もある日本にいるからよくわかる、愚。

ちょっと前に「幸せの1ページ」という映画を観たのさ。
名女優ジュディ・フォスターが引きこもりの冒険小説家役を演じてた。
妄想相手に身振り手振りする本気度! それがおもしろすぎて大ウケであった。
簡単なストーリーなのだけれど、登場人物がみな感情豊かなので物語の単純さなど
少しも気にならなかった。こういうのってたまにはいい、頭がほぐれて。

物語は、ある日ひとり留守を守る女の子のいる小島へ見知らぬ船がやってくる。
海賊船? 望遠鏡片手に木の上から偵察していた女の子は上陸してきた奴らを見て憤る。
なんてこと!パパとわたしの島に勝手に入ってきて、と。
やがて大挙押し寄せてきた人々を相手に、ひとり奮闘し見事撃退する。
その姿はいじらしくも、たくましい。そしてユーモラスで賢い。
色々あってのオチは内緒だけど、わたしは大いに共感し我がことのようにのめりこんだ
のであった。応援しながらガハハと笑いながら、カリントウを袋の半分くらいは食べ、
気づいてもガハハの余韻で気が大きくなっているので、ま、反省はしない。
(映画鑑賞の友はポテチではなくカリント派である)メタボ問題はこの際考えない。

ここで問題?の「土地を守る」というのは排他的というのとは違うのである。
ドカドカと泥足でけちらしながら踏み込んでくるのはお断り、愛してないなら来ないで
ということ。それ、わかるわかる、すごくわかる。
奪うために他人の土地へおしかける。政治だなんだと難しいことを並べ立てても戦争って
つまりそういう、経済、ゼニカネの問題。それを隠して無理やり正義をふりかざす。
正義なら、まず先に武器を捨てよ、だ。
神は正義に味方するんじゃないの? え、神様ほんとは信じてないんじゃないの?
欲しいものを奪うための謀略と殺戮に神を持ち出してもカミはヒトの争いに干渉しないのに。

用事があるなら正門から仁義切ってくれってもんで、それなしで正義とくるから、盗人と紙一重、
嘘つきと泥棒はやっぱり古今東西、何色だって人間みな同じ。
(ゴネルのも広義の嘘に入る。だからごね得は得じゃなくて恥ね)
あー、普天間、東京武蔵村山、戦争は続いているなあ。
コメント (2)
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月光の森で

2009-12-01 09:09:20 | Weblog
12月は2日が満月。
写真は11月28日なのでまだ満たないけれど月光は射抜くように森を照らしていて明るかった。
星もよく見えた。光を浴びて樹々がぼーっと浮かんでいるみたいだ。
で、うかうかと表に立ち尽くす。



ダウンジャケットを羽織っていても、カメラを持って外に居続けるとからだの芯まで冷えた。
防寒装備はもっと厳重でないと夜空につきあうのは無理だと思い知った。

1号棟(の台所脇の小部屋)で寝起きしていたころ、シュラフで寝ていた。
寝間着もやや厚着で潜り込む。足下にはアンカも入れていた。
石油ストーブしか暖房がなかったので、消灯すると空気じたいがすぐに冷えこんでしまった。
吐く息が白かった。眠りつくまで寒い。
寒い寒いと言いあったけど嫌だと言うのは聞いた事がなかった。

寒さがあたりまえだったその頃を星空を見て冷えてきたからだがなつかしんだか、思い出された。
今、家のなかへ入れば暖房でぬくぬくとした空気が待っている。
なんにも無いということは、そのなかでやっていくということは、そう不幸なことでもないのだと思う。
わたしの子ども時代は貧乏であったが、それで不幸かといえばそうでもなかった。
子どもながらに時々嘆いた理由は別のところにあって、貧しさや友達と違う家や
持ち物のことではなかった。

吐く息が白くなる部屋で寝起きしていたら、東京から来た人がつきあいきれねえ
なあとか珍しがったり、なかば同情気味の様子も感じる。
新建材でない壁、すべて木で打たれた壁は質素なのでリッチでないなという目を
している。(こういう人は間接話法でしか考えない。迂回して本質からそれると
安心するタチ)
やってるこちらは今そこにあるものでじゅうぶんみたされているのであった。
充実していた。でも、言わない。
仕合わせは説明したり自慢したりすると幸せでなくなるからね、だまって喜んで
いるのである。
実は手が込んでいる工法のことも選ばれた建材であることも、言う必要など
なかった。
カメはいつもさりげないから、我らはそばにいてアホみたいに喜んでいるだけで
あった。
言わなくてもわかる人が集まってきて、冬を越え、夏の日射しの下で遊んだり
働いたりだった。

わたしは貧しかった子ども時代を思い出すたびに、なんと幸せであったかと
父に礼を言いたくなる。
父は引揚者で裸一貫で立ち上げた暮らしだから苦労であったろうが、
子どものわたしは創造的に生きるお手本をナマで見せてもらった。
含蓄ある言葉を毎日聞かせてもらった。
人は精神と言葉で幸せになれる。
このことは、できることならば父へ言いたいと思うばかりである。
森で、月夜に、父へ、声に出して。

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