初恋の来た道

このところ加護ちゃんの事件とか、足の故障とか、その他にも精神的にちょっとつらいことがあったので、ほのぼのと出来そうな映画を見ることにした。
チャン・ツィイー、あの、アジエンスのＣＭで、「いんな・びゅーてぃ」とか言っている彼女のデビュー作である。
父親が死んだため、久しぶりに故郷の辺鄙な寒村に帰ってきた青年が、若き日の自分の両親を語る。
それにしてもあのしわくちゃばあさんの若い頃があの可憐な少女だなんて。

舞台は、草の匂いのしてきそうな田舎の村。
町から来た、村初めての教師に一目ぼれしてしまう少女。
とにかく、モンペみたいなダサいズボンをはいた、この子がかわいい。
身分違いの少女の想いは、教師が町に連れ戻されたときに、割れた陶器、無くなった髪留めとともに終わったかに思えた。
しかし、彼女の一途な思いは、反対していた母親を、そして村の人たちを動かす。

二人が愛を語らうシーンなどはない。
主人公の少女が、彼のために一生懸命餃子を作ったり、待ち伏せしたり、彼を追いかけて野山を走ったり、そんなシーンが続く。
でも、すごく素敵な映画だった。
40年たっても全く褪せることのない少女の想いに感動。
ラストのエピソードがなかなか泣かせる。

中国語の原題は「私の両親」、でも邦題の「初恋の来た道」の方がぴったり来る。
初恋の人は、この田舎のあぜ道のような道を通ってやって来た。
そしてこの道を通って、故郷に戻ってきた。
何もない寒村の、切ないほどに美しいお話でした。