昭和天皇、A級戦犯「合祀」に不快感

「四方の海みなはらからと思う世になど波風のたちさわぐらん」
昭和天皇が、大東亜戦争開戦を決めた御前会議で、この明治天皇御製の和歌を詠まれたと言われています。
昭和天皇のお心が開戦回避にあったのは紛れもない事実でしょう。
にもかかわらず開戦となってしまったのは、「現人神」と言われた戦前においても、政治的には今とさして変わらずに無力であったということでしょう。

私は昭和天皇や天皇家を敬愛しています。
「滅私奉公」、この国で、天皇家の方々ほど、私を捨て、公、すなわち日本のこと、国民のことを考えてくださっている方はないと思っています。

個人的には、大東亜戦争は日露戦争同様、仕掛けられた戦争、自衛戦争という側面が強かったように思います。
ガンダムSEEDの地球連合軍とザフトのように、どちらが正義かというのは難しい。
でも座して死を待つよりも、乾坤一擲戦わねばならぬ時というのはあると思います。
悪いのは、無益な戦線の拡大、無能な戦争遂行により、講和の道を閉ざし、無意味な大負けしたその結果であり、その結果責任を取るべき人は確実にいます。
それがＡ級戦犯として殉難死した人と必ずしもイコールだとは思いません。
廣田弘毅がなぜ絞首刑になったのか、東京裁判が不十分なものだったということは間違いありません。

「Ａ級戦犯は犯罪人だ。」「いや、東京裁判は戦勝国が敗戦国を一方的に裁いたものだから無効だ。」という議論が先にたち、我々自身が、あの戦争の責任者について冷静に議論をすることを放棄してしまっていることこそが問題なのではないでしょうか。

昭和天皇は松岡、白取の名を上げられていたようです。
軍人よりも、熱狂する大衆やマスコミに迎合し、大局を見誤った外交に責任があるとお考えだったようです。
元々単純頭で部下の手前景気のいいことしか言えない軍部は、内心では誰か止めてくれと思いながら、言えずに引きずられてしまったということなのかもしれません。
（でも無能の罪には変わりありませんが。）

私は天皇陛下でも政治家でもありませんので、靖国のそばを通ったときは、ごく自然に、国を守るために死んでいった英霊に向かって「安らかにお眠りください。」と手を合わせるようにしています。