ちょっと長いですが、こちらが本当の完走記です。
スタートの号砲とともに、1200人が走り出します。
地元の商店街の皆さんの応援の中、とにかく流れに乗ってゆっくりと進んでいきます。
雨は相変らず降っています。気温は14度、結構寒いです。
暗くて足元が良く見えないので、水たまりを避けられず、早くもシューズはびしょぬれ状態です。
角館の街中を抜け、辺りは田園風景に、段々明るくなってきました。
皆のレインウェア代わりに着ているビニール袋のシャカシャカという音が耳に響きます。
10kmのラップが1時間7分、20kmが2時間12分、キロ6分くらいで走っているつもりなのですが、思ったよりもタイムが上がりません。
道が登っているせいなのか、それとも身体が冷えて調子が悪いのか?
今考えると大甘なのですが、自分としては12時間を切るつもりでレースプランを立てていました。
コースは、前半が高尾山くらいのアップダウンのある難コース、それに比べ後半50kmは緩やかな下りと平坦な道が続きます。
まあ、アップダウンと言っても奥武蔵に比べれば全然たいした事は無いし、前半50kmを5時間半から最悪で6時間で行っても、余裕を持って後半に入れると思っていました。
前半の20kmまでの比較的平坦な道をキロ6分、登りを7分、そんなイメージでした。
辺りの景色が田園風景から秋田杉の林道になってきました。
だらだらとした登りと思っていましたが、結構アップダウンがあります。
雨がちょっと小降りになってきたので、エイドでレインウェア代わりのビニール袋を捨てました。
これがまた裏目、止むのではないかと思った雨がまた降り出しました。
30kmのラップが3時間23分、冷えたのでしょう、この頃から胃と腹が痛くなってきました。
この辺りから41kmまでが最大の登りの難所、ついつい歩きが入ります。
胃と腹の痛みはますますひどくなります。これではエイドの給水、給食もままなりません。トイレに寄ろうかとも思いましたが、でもエイドのトイレは大体女性が並んでいます。
40kmのラップが4時間41分、遅い上に体調も悪く、今日はとんでもなく過酷なレースになりそうな予感。
とにかくひたすら上り坂を歩いていくと、41.5kmあたりから今度は一転急な下り。いつの間にこんなに登ったんだろうと思うくらい一本調子の下りが続きます。
48km地点でやっとトイレを見つけて一息。
中間点の休憩所についたのが5時間55分、かなり疲労が来ていたので、ここで目標を時間内完走に切替え、小休止する事にしました。
届けておいた荷物の中からチームユニフォームを取り出し、ゼッケンを付け替えます。
寒かったのと、大江戸飛脚会のユニの方が、何となく最後まで頑張れそうな気がしたから。
半そでの上にチームユニのランシャツを重ね着しました。
1時間もの間急坂を下りつづけた足が悲鳴を上げていますが、「まあ、ここからはコースは楽だし、5km40分で行っても完走は出来る。」などと考えながら、7分ほど休憩してまた走り始めました。
が、まともに走れたのはここまででした。
55kmを過ぎた辺りで、足首も、ふくらはぎも、膝も、足の裏も、全部が耐えられないくらいに痛く、走るどころか歩く事も出来なくなり、座り込んでしまいました。
ポーチに持っていたエアーサロンパスを念入りに足中に使って痛みが治まるのを待ちました。
自分の体に何が起きているのか分からずちょっとパニック、目の前を通り過ぎるランナーたちを呆然と見送りながら、「まだフルマラソン以上の距離が残ってんだよ、どーする!?」なんて考えていました。
痛みがちょっと治まってきたので、歩き始めました。もうただひたすら歩きます。
皮肉なことに雨はすっかり上がり、晴天です。せっかく着替えたのに、今度は暑くなってきました。
60kmに到達したのが7時間32分、この5kmにほとんど1時間かかってます。
ちょっと走れるようになってきたので、キロ7分くらいのゆっくりペースで走り始めましたが、やはり5kmと持たず、また座り込んでしまいました。
痛みが治まるのを待ってまた歩きだします。
70km到達が9時間8分、残り30kmを3時間52分、ということは5kmを38分、この状態ではどう考えても無理です。
事実上、時間内完走の望みが断たれた瞬間です。
75km通過が9時間47分、あの真夏の難コースの奥武蔵75kmのゴールタイムより52分も遅い!もう信じられません。
それでも、「諦めたらいけない。湘北高校の安西監督だって、諦めたらそれがゲームセットだって言っていたじゃないか。俺は日本一諦めの悪い男、三井寿だ!」(「スラムダンク」のファン以外の方、すみません)などと考えながら、歩いたり、時々走ったり。
辺りは一面の田園風景、黄金色に実った稲穂が頭を垂れます。胃の痛みもようやく治まりました。
関門の時間を全くチェックしていないことに気づき、次のエイドで関門封鎖時間を係の人に聞きました。
81.5kmが11時間、89.5kmが12時間、これは何とかなりそうです。
「何があっても絶対収容バスには乗らない、例え時間切れでもゴールまで行く。」そう固く心に決めました。
80kmを10時間36分で通過、この辺りからようやくやや復活、キロ7分くらいでなら何とか走れる感じになってきました。
この辺になると、周りのランナーは歩いている人が多いので、前のランナーを拾うことを励みに何とかよろよろ走ります。
11時間、12時間の関門は無事通過、90km地点に到達したのが11時間58分。
後10kmで1時間2分、普段であれば楽勝のペースですが、今の自分には不可能です。
せめてあと10分あれば何とか頑張る気力もわいたかもしれませんが、もう後の祭りです。
だんだん暗く、寒くなっていく道を、ゴールを目指してとぼとぼ走ります。
ラスト2kmちょっとのところで13時間が経過しました。もうあたりは真っ暗です。
ラスト1km、鷹巣の商店街に入ります。
「RASCALさん、商店街に入ってきました。」のアナウンス、自分の名前が呼ばれています。最後くらいはかっこよくと思って、必死に走ります。
商店街の人たちの温かい拍手と声援、そしてすっかり暗くなったゴールで、テープだけは切らせてもらいました。
13時間20分、完走証のない、自分だけの完走でした。
ゴールにたどり着いた安堵と、完走できなかった悔しさで、思わず涙がこみ上げてきました。
まともなレースとしては、55kmで終わってしまっています。
でも、一夜明けてみて、あの状態になりながらもゴールまでたどり着いた自分は、ちょっと認めてやりたい気持ちになっています。
また一方で、「このまま終わってたまるか!絶対にリベンジしてやる!」とも思っています。
秋田のコースには魔物が棲んでいました。
でもボランティアの方々の対応、沿道の方々の温かい応援は最高でした。
来年きっとまた参加します。
スタートの号砲とともに、1200人が走り出します。
地元の商店街の皆さんの応援の中、とにかく流れに乗ってゆっくりと進んでいきます。
雨は相変らず降っています。気温は14度、結構寒いです。
暗くて足元が良く見えないので、水たまりを避けられず、早くもシューズはびしょぬれ状態です。
角館の街中を抜け、辺りは田園風景に、段々明るくなってきました。
皆のレインウェア代わりに着ているビニール袋のシャカシャカという音が耳に響きます。
10kmのラップが1時間7分、20kmが2時間12分、キロ6分くらいで走っているつもりなのですが、思ったよりもタイムが上がりません。
道が登っているせいなのか、それとも身体が冷えて調子が悪いのか?
今考えると大甘なのですが、自分としては12時間を切るつもりでレースプランを立てていました。
コースは、前半が高尾山くらいのアップダウンのある難コース、それに比べ後半50kmは緩やかな下りと平坦な道が続きます。
まあ、アップダウンと言っても奥武蔵に比べれば全然たいした事は無いし、前半50kmを5時間半から最悪で6時間で行っても、余裕を持って後半に入れると思っていました。
前半の20kmまでの比較的平坦な道をキロ6分、登りを7分、そんなイメージでした。
辺りの景色が田園風景から秋田杉の林道になってきました。
だらだらとした登りと思っていましたが、結構アップダウンがあります。
雨がちょっと小降りになってきたので、エイドでレインウェア代わりのビニール袋を捨てました。
これがまた裏目、止むのではないかと思った雨がまた降り出しました。
30kmのラップが3時間23分、冷えたのでしょう、この頃から胃と腹が痛くなってきました。
この辺りから41kmまでが最大の登りの難所、ついつい歩きが入ります。
胃と腹の痛みはますますひどくなります。これではエイドの給水、給食もままなりません。トイレに寄ろうかとも思いましたが、でもエイドのトイレは大体女性が並んでいます。
40kmのラップが4時間41分、遅い上に体調も悪く、今日はとんでもなく過酷なレースになりそうな予感。
とにかくひたすら上り坂を歩いていくと、41.5kmあたりから今度は一転急な下り。いつの間にこんなに登ったんだろうと思うくらい一本調子の下りが続きます。
48km地点でやっとトイレを見つけて一息。
中間点の休憩所についたのが5時間55分、かなり疲労が来ていたので、ここで目標を時間内完走に切替え、小休止する事にしました。
届けておいた荷物の中からチームユニフォームを取り出し、ゼッケンを付け替えます。
寒かったのと、大江戸飛脚会のユニの方が、何となく最後まで頑張れそうな気がしたから。
半そでの上にチームユニのランシャツを重ね着しました。
1時間もの間急坂を下りつづけた足が悲鳴を上げていますが、「まあ、ここからはコースは楽だし、5km40分で行っても完走は出来る。」などと考えながら、7分ほど休憩してまた走り始めました。
が、まともに走れたのはここまででした。
55kmを過ぎた辺りで、足首も、ふくらはぎも、膝も、足の裏も、全部が耐えられないくらいに痛く、走るどころか歩く事も出来なくなり、座り込んでしまいました。
ポーチに持っていたエアーサロンパスを念入りに足中に使って痛みが治まるのを待ちました。
自分の体に何が起きているのか分からずちょっとパニック、目の前を通り過ぎるランナーたちを呆然と見送りながら、「まだフルマラソン以上の距離が残ってんだよ、どーする!?」なんて考えていました。
痛みがちょっと治まってきたので、歩き始めました。もうただひたすら歩きます。
皮肉なことに雨はすっかり上がり、晴天です。せっかく着替えたのに、今度は暑くなってきました。
60kmに到達したのが7時間32分、この5kmにほとんど1時間かかってます。
ちょっと走れるようになってきたので、キロ7分くらいのゆっくりペースで走り始めましたが、やはり5kmと持たず、また座り込んでしまいました。
痛みが治まるのを待ってまた歩きだします。
70km到達が9時間8分、残り30kmを3時間52分、ということは5kmを38分、この状態ではどう考えても無理です。
事実上、時間内完走の望みが断たれた瞬間です。
75km通過が9時間47分、あの真夏の難コースの奥武蔵75kmのゴールタイムより52分も遅い!もう信じられません。
それでも、「諦めたらいけない。湘北高校の安西監督だって、諦めたらそれがゲームセットだって言っていたじゃないか。俺は日本一諦めの悪い男、三井寿だ!」(「スラムダンク」のファン以外の方、すみません)などと考えながら、歩いたり、時々走ったり。
辺りは一面の田園風景、黄金色に実った稲穂が頭を垂れます。胃の痛みもようやく治まりました。
関門の時間を全くチェックしていないことに気づき、次のエイドで関門封鎖時間を係の人に聞きました。
81.5kmが11時間、89.5kmが12時間、これは何とかなりそうです。
「何があっても絶対収容バスには乗らない、例え時間切れでもゴールまで行く。」そう固く心に決めました。
80kmを10時間36分で通過、この辺りからようやくやや復活、キロ7分くらいでなら何とか走れる感じになってきました。
この辺になると、周りのランナーは歩いている人が多いので、前のランナーを拾うことを励みに何とかよろよろ走ります。
11時間、12時間の関門は無事通過、90km地点に到達したのが11時間58分。
後10kmで1時間2分、普段であれば楽勝のペースですが、今の自分には不可能です。
せめてあと10分あれば何とか頑張る気力もわいたかもしれませんが、もう後の祭りです。
だんだん暗く、寒くなっていく道を、ゴールを目指してとぼとぼ走ります。
ラスト2kmちょっとのところで13時間が経過しました。もうあたりは真っ暗です。
ラスト1km、鷹巣の商店街に入ります。
「RASCALさん、商店街に入ってきました。」のアナウンス、自分の名前が呼ばれています。最後くらいはかっこよくと思って、必死に走ります。
商店街の人たちの温かい拍手と声援、そしてすっかり暗くなったゴールで、テープだけは切らせてもらいました。
13時間20分、完走証のない、自分だけの完走でした。
ゴールにたどり着いた安堵と、完走できなかった悔しさで、思わず涙がこみ上げてきました。
まともなレースとしては、55kmで終わってしまっています。
でも、一夜明けてみて、あの状態になりながらもゴールまでたどり着いた自分は、ちょっと認めてやりたい気持ちになっています。
また一方で、「このまま終わってたまるか!絶対にリベンジしてやる!」とも思っています。
秋田のコースには魔物が棲んでいました。
でもボランティアの方々の対応、沿道の方々の温かい応援は最高でした。
来年きっとまた参加します。
良い天気の予報だったような気がしますが,ずっと雨が降っていたようですね。ウルトラの雨は体が冷えるので厳しいですよね。
20分遅れですか。
私も去年,富士五湖,えちご・くびき野と2レースも15分遅れの時間外完走でした。
来年,2つともリベンジします。
お互い,次回は,ビシッと決めてやりましょうね。
本当に,お疲れ様でした。
時間内完走はできなかったようですが、意地と根性でゴールした精神力は素晴らしいと思います。
完走記を読んでいて、私の野辺山と似たような状況だったのかなと思ってしまいました。
経験していないものとしては、その辛さ、その痛みを、(失礼だとは分かりながらも)なんか羨ましくも思えてしまいます。
来シーズンは100キロウルトラ、絶対参戦しなくては!って思ってますが、現状では「月曜朝から出社」が必須条件ですので、悩ましいです(笑
前日は東京なみに暑くて、天気予報も晴れだったので、こりゃ暑さ対策をどうしようか、なんて思っていたのですが、朝ホテルを出てみると雨!
前半は雨で気温13,4℃、後半は一転晴天で暑くて、日が暮れるとまた寒い。
なかなか対応が出来ませんでした。
リベンジ、しますよ。
来年は絶対に決めてやります。
きっとこの経験が来年のレースに生きてきますよ!
ウルトラ、耐久は難しいです。
ウエアについても色んな天候に対応出来るように考えて行かなきゃいけませんね。
私もあきる野等はかなりの大荷物でした。
でも、今回はかなりの収穫がありましたね。
私もらすかるさんを見習って強くならなければ・・・
でもネオスさんはギリギリ完走してるもんなー。
来年は、秋田のリベンジに集中します。
まだ野辺山は無理だろうなー。
「た」さん
奥武蔵を完走したんだから、もう立派なウルトラランナーですよ。
月曜日に会社にいける100kmといったら、富士五湖か野辺山かなー。
「諦めたらそれがゲームセット」良い言葉ですね。
私も辛くなったら思い出したいと思います。
応援メールありがとう。
勇気百倍でした。
秋田のコースを全部下見できたし、来年こそは、秋田杉の完走証をGETします。
hitoみずきさん
55kmでつぶれたときに、「そういえば、hitoみずきさんの応援メールに、絶対完走しますって返事しちゃったよな。」と思い出して、「あちゃー」と思いました。
それでゴールまでいけたのかも。
お褒めのことば、恐縮です。
自分でつぶれて、自分で感動的なレースにしてしまいました。
本当は笑ってゴールしなければいけないんですけど。
ウルトラやる人って本当にスゴイと思います。
でもなんでも同じですが、「やったもん勝ち」ですね。いつか私も走ってみたいと思っていますが・・・。
そうですね。
24時間TVの影響でしょうか。
100kmを13時間ちょっとで走ったというと、皆すごく感心してくれます。
冷静に考えれば単なる失速レースなのですが、読み返してみて、自分でもちょっと感動しています。
雨の高尾山、楽しいですか?
僕は怖いなー。100kmの方がまだマシかも。