11月は15冊でした。
◆水曜日の凱歌 (乃南 アサ)
RAA、知らなかったなぁ。確かに、ベルリンではソ連兵を中心とした連合軍兵士による強姦は苛烈を極めたというし、でも、終戦後わずか数日でそういうものを作ろうと動く日本政府の、弱者に犠牲を強いる、差別的な、人をモノ扱いする思考回路に、そういうところもひっくるめて戦争は負けだったんだなと思う。
そんな環境下でも強い女性はしたたかに強い。悲惨で痛快な、自分の知らなかった戦後史。
新潮文庫の100冊、これで残りあと3冊。今年中には読まなきゃ。
◆魔偶の如き齎すもの(三津田 信三)
著者の刀城言耶シリーズは昨年の「はえ玉の如き祀るもの」に続き2冊目の初心者。ゆえに過去の事件と言われても分からずにやや疎外感。
「妖服の如き切るもの」「巫死の如き甦るもの」「獣家の如き吸うもの」と表題作の短編集。表題作で祖父江さんとの出会い(というか、出会っていなかったんだけど)があったんですね。 刀城さんの総当たり推理、「はえ玉の如き祀るもの」ではなるほどと思ったんだけど、短編ではあわただしいかな。
◆クジラアタマの王様(伊坂 幸太郎)
平凡なサラリーマンとアイドルと大物政治家、ちぐはぐな3人が夢の中でチームを組んで怪物と戦っているという変な話。夢と現実の世界の不思議なリンク、夢で勝つと現実も好転する。正義の味方が華々しく登場するアクションものではなし、3人がかたい友情で結ばれているわけでもない、伊坂さんらしい、摩訶不思議で地味なヒーローもの。とぼけた画風の漫画つき。
◆刀と傘 (明治京洛推理帖) (伊吹 亜門)
私の知る江藤新平は、明治維新の元勲、司法卿。斬れ者だが性格は傲岸不遜だったらしい。明治6年の政争で西郷、板垣と共に敗れ下野、故郷の佐賀で不満分子に担がれ佐賀の乱を起こすも敗走、捕縛され死刑、鳩首。そんな江藤新平と対照的な架空の人物・鹿野照光が探偵役の短編連作時代ミステリー。出会い、目指すものの違いからたもとを分かつも、「罪には罰」の信念と不思議な友情で結ばれていた二人。目的のためには手段を選ばない江藤、とりわけ「監獄舎の殺人」は秀作、本格ミステリ。
◆ハロー・ワールド(藤井 太洋)
主人公のフスイヤスヒロさんは、IT会社の勤務経験がある著者・藤井太洋さんの分身であろう。「何でも屋」などと謙遜しているが、いやいやどうして、ITを武器にしたスーパーヒーローである。SFといっても、確かなIT知識に基づいた、現実に起きても不思議ではない超近未来小説。ITがもたらす自由と幸福な未来を無条件に信じ、ITを自分の利益のためだけに歪曲しようとする全体主義者と戦う正義の味方っぷりが痛快な短編連作。
◆カゲロボ(木皿 泉)
「カゲロボ」=「陰でそっと見守ってくれていて、いざという時は助けにきてくれるロボット」、でしょうか。そんな存在が登場する、ちょっとシュールな短編が8編。「はだ」「あし」「こえ」「あせ」「かげ」「きず」は同じ登場人物が出てくる連作、「あし」で足を切られた猫はどうなったのかと心配したのですが、なるほど。「ゆび」は妙にエロチックで好き。
◆いまさら翼といわれても (米澤 穂信)
単行本で読んだものを文庫本で再読。でも、表題作と、ホータローが徐々に変わり始めてえるの仲がいい感じになってきたこと以外は、ほとんど忘れていた。そして、未だにこの続編はでていない。間空きすぎです。米澤さん。
◆三鬼 三島屋変調百物語四之続 (宮部 みゆき)
三島屋のおちかの変調百物語第四巻、実は1~3巻未読。最初っから読まなきゃ。でも説明が丁寧なので経緯は十分理解できました。「食客ひだる神」はユーモアたっぷりで楽しめました。それ以外はかなり悲惨な話。
◆まことの華姫 (畠中 恵)
畠山さんらしいほのぼのした時代ミステリー。探偵役は月草という腹話術師が操る「華姫」という木偶人形。といって、他の畠山作品のように、人形がつくもがみになってたり、妖がついてたりするわけではない。語り部の地廻りの娘・お夏や月草、その他周囲の人たちが寄ってたかって真相を突き止める、ミステリー色薄めのお江戸人情物語。
◆エロマンガ先生(12) 山田エルフちゃん逆転勝利の巻 (伏見 つかさ)
紗霧がライバルを蹴散らして完全勝利、これは大団円も近い、それなのにしょうもない話でいつまで引き延ばすのか、、、そう思っていたのに夢と友情のいい話方向に急転回、全てを取り込んだエルフちゃんの新作戦に、傲慢極まりないエルフの母親まで登場、まあ、こういうドタバタも悪くない。さてさて、どこまで引き延ばせるのか。。。
◆ソードアート・オンライン (16) アリシゼーション・エクスプローディング (川原礫)
TVアニメに歩調を合わせて読書中。このアリシゼーション編は早や7巻!TVも2クール目。15巻、16巻は主役のキリトが全く活躍しないどころか、「あー」とか「うー」しかしゃべらない。それでもヒロイン・アスナの登場でハーレム状態なのはさすが。前半のオールスター・キャストのバトルから後半のアスナ降臨、次巻はリーファとシノンも登場で、期待してます。
◆妻のトリセツ
◆夫のトリセツ
富士通でAI(人工知能)の開発をしていたというリケジョ、黒川伊保子さんが、男女の脳の違いをベースに「妻のトリセツ」を語る。この本を読んだきっかけは、著者の講演に出席したこと。テーマは妻ではなく職場のハラスメント、話術も巧みで、休憩なし2時間の長丁場があっという間に過ぎた。子供も社会人となり妻と二人暮らし、でも、この本の例以上にすでにやらかし、妻も鈍化してしまったのか以前に比べ雷も減少しているように思う。さて、これからどういう作戦で行こうかと、少し思い悩んでいる。
◆山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門
◆三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち
「ブラタモリ」のタモリさん的興味を持って藤岡換太郎さんのブルーバックスを2冊。プレートテクニクスの仕組みを三つの石、橄欖岩、玄武岩、花崗岩で説明、またプレートテクニクスによる山のでき方について実に分かりやすく解説されている良書。
昔中国に出張して、揚子江流域のどこまでも続く平原にびっくりした。日本の地形って稀有といえるまでに特殊なんですね。
◆水曜日の凱歌 (乃南 アサ)
RAA、知らなかったなぁ。確かに、ベルリンではソ連兵を中心とした連合軍兵士による強姦は苛烈を極めたというし、でも、終戦後わずか数日でそういうものを作ろうと動く日本政府の、弱者に犠牲を強いる、差別的な、人をモノ扱いする思考回路に、そういうところもひっくるめて戦争は負けだったんだなと思う。
そんな環境下でも強い女性はしたたかに強い。悲惨で痛快な、自分の知らなかった戦後史。
新潮文庫の100冊、これで残りあと3冊。今年中には読まなきゃ。
◆魔偶の如き齎すもの(三津田 信三)
著者の刀城言耶シリーズは昨年の「はえ玉の如き祀るもの」に続き2冊目の初心者。ゆえに過去の事件と言われても分からずにやや疎外感。
「妖服の如き切るもの」「巫死の如き甦るもの」「獣家の如き吸うもの」と表題作の短編集。表題作で祖父江さんとの出会い(というか、出会っていなかったんだけど)があったんですね。 刀城さんの総当たり推理、「はえ玉の如き祀るもの」ではなるほどと思ったんだけど、短編ではあわただしいかな。
◆クジラアタマの王様(伊坂 幸太郎)
平凡なサラリーマンとアイドルと大物政治家、ちぐはぐな3人が夢の中でチームを組んで怪物と戦っているという変な話。夢と現実の世界の不思議なリンク、夢で勝つと現実も好転する。正義の味方が華々しく登場するアクションものではなし、3人がかたい友情で結ばれているわけでもない、伊坂さんらしい、摩訶不思議で地味なヒーローもの。とぼけた画風の漫画つき。
◆刀と傘 (明治京洛推理帖) (伊吹 亜門)
私の知る江藤新平は、明治維新の元勲、司法卿。斬れ者だが性格は傲岸不遜だったらしい。明治6年の政争で西郷、板垣と共に敗れ下野、故郷の佐賀で不満分子に担がれ佐賀の乱を起こすも敗走、捕縛され死刑、鳩首。そんな江藤新平と対照的な架空の人物・鹿野照光が探偵役の短編連作時代ミステリー。出会い、目指すものの違いからたもとを分かつも、「罪には罰」の信念と不思議な友情で結ばれていた二人。目的のためには手段を選ばない江藤、とりわけ「監獄舎の殺人」は秀作、本格ミステリ。
◆ハロー・ワールド(藤井 太洋)
主人公のフスイヤスヒロさんは、IT会社の勤務経験がある著者・藤井太洋さんの分身であろう。「何でも屋」などと謙遜しているが、いやいやどうして、ITを武器にしたスーパーヒーローである。SFといっても、確かなIT知識に基づいた、現実に起きても不思議ではない超近未来小説。ITがもたらす自由と幸福な未来を無条件に信じ、ITを自分の利益のためだけに歪曲しようとする全体主義者と戦う正義の味方っぷりが痛快な短編連作。
◆カゲロボ(木皿 泉)
「カゲロボ」=「陰でそっと見守ってくれていて、いざという時は助けにきてくれるロボット」、でしょうか。そんな存在が登場する、ちょっとシュールな短編が8編。「はだ」「あし」「こえ」「あせ」「かげ」「きず」は同じ登場人物が出てくる連作、「あし」で足を切られた猫はどうなったのかと心配したのですが、なるほど。「ゆび」は妙にエロチックで好き。
◆いまさら翼といわれても (米澤 穂信)
単行本で読んだものを文庫本で再読。でも、表題作と、ホータローが徐々に変わり始めてえるの仲がいい感じになってきたこと以外は、ほとんど忘れていた。そして、未だにこの続編はでていない。間空きすぎです。米澤さん。
◆三鬼 三島屋変調百物語四之続 (宮部 みゆき)
三島屋のおちかの変調百物語第四巻、実は1~3巻未読。最初っから読まなきゃ。でも説明が丁寧なので経緯は十分理解できました。「食客ひだる神」はユーモアたっぷりで楽しめました。それ以外はかなり悲惨な話。
◆まことの華姫 (畠中 恵)
畠山さんらしいほのぼのした時代ミステリー。探偵役は月草という腹話術師が操る「華姫」という木偶人形。といって、他の畠山作品のように、人形がつくもがみになってたり、妖がついてたりするわけではない。語り部の地廻りの娘・お夏や月草、その他周囲の人たちが寄ってたかって真相を突き止める、ミステリー色薄めのお江戸人情物語。
◆エロマンガ先生(12) 山田エルフちゃん逆転勝利の巻 (伏見 つかさ)
紗霧がライバルを蹴散らして完全勝利、これは大団円も近い、それなのにしょうもない話でいつまで引き延ばすのか、、、そう思っていたのに夢と友情のいい話方向に急転回、全てを取り込んだエルフちゃんの新作戦に、傲慢極まりないエルフの母親まで登場、まあ、こういうドタバタも悪くない。さてさて、どこまで引き延ばせるのか。。。
◆ソードアート・オンライン (16) アリシゼーション・エクスプローディング (川原礫)
TVアニメに歩調を合わせて読書中。このアリシゼーション編は早や7巻!TVも2クール目。15巻、16巻は主役のキリトが全く活躍しないどころか、「あー」とか「うー」しかしゃべらない。それでもヒロイン・アスナの登場でハーレム状態なのはさすが。前半のオールスター・キャストのバトルから後半のアスナ降臨、次巻はリーファとシノンも登場で、期待してます。
◆妻のトリセツ
◆夫のトリセツ
富士通でAI(人工知能)の開発をしていたというリケジョ、黒川伊保子さんが、男女の脳の違いをベースに「妻のトリセツ」を語る。この本を読んだきっかけは、著者の講演に出席したこと。テーマは妻ではなく職場のハラスメント、話術も巧みで、休憩なし2時間の長丁場があっという間に過ぎた。子供も社会人となり妻と二人暮らし、でも、この本の例以上にすでにやらかし、妻も鈍化してしまったのか以前に比べ雷も減少しているように思う。さて、これからどういう作戦で行こうかと、少し思い悩んでいる。
◆山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門
◆三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち
「ブラタモリ」のタモリさん的興味を持って藤岡換太郎さんのブルーバックスを2冊。プレートテクニクスの仕組みを三つの石、橄欖岩、玄武岩、花崗岩で説明、またプレートテクニクスによる山のでき方について実に分かりやすく解説されている良書。
昔中国に出張して、揚子江流域のどこまでも続く平原にびっくりした。日本の地形って稀有といえるまでに特殊なんですね。
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