「サクラダリセット」

ちょっとこれは面白いと思えるライトノベルに出会いました。
河野裕さんの「サクラダリセット」です。

咲良田市という人口数万人程度の地方都市が舞台。
この街の住人の約半数ほどが、街を出ると使えなくなってしまう何らかの能力をひとつだけ持っている。能力は千差万別だが、大体が下らない能力ばかり。
主人公は浅井ケイと春埼美空という高１の男女。
浅井ケイの能力は記憶保持、見たこと聞いたことを絶対忘れない。一方春埼美空の能力は世界を３日間までリセット、すなわち過去に戻れるという強力なもの、ただし自分自身もリセットされた３日間にあったことをすべて忘れてしまう。
ケイがリセットされてなくなってしまった時間に起きたことを覚えていてはじめて、春埼の能力は未来を変えうる強力なものとなります。
咲良田市には管理局と呼ばれる公的機関があって、街中の能力者の管理をしている。
二人の通う高校には奉仕クラブというクラブがあって、強い能力を持ったものが所属し管理局に管理される一方で、事件の際は顧問の先生を経由した管理局の指示に従って問題解決にあたる、というもの。

頭の回転が速くて知略に富んだケイ、ケイに対し盲目的に信頼を寄せる春埼。
他にも猫と意思が通じるとか、死んだら幽霊になれるとか、他人の頭に時間を越えてメッセージを届けられるとか、取るに足らない能力者が出てくる。
ケイが、新しい人物や情報との出会いを少しずつ経験し、そこから導き出される真実を予測しながら、タイミングよく春埼のリセットやその他の人の能力を使って、強力な能力者の起こす事件を解決していく、そんなサスペンス推理SF小説です。

謎解きもなのですが、ケイの優しさ、そしてその優しさを実現するための時として残酷なまでの実行力、春埼美空のケイに対するピュアな絶対的な恋心、「涼宮ハルヒ」や「灼眼のシャナ」ような派手さはありませんが、いろいろと読みどころがあります。

現在はまだ２巻までしか出ていませんが、断片的に描かれたケイ自身の過去がかなり意味深で、リセットを使ってしまったがゆえに死なせて知った大切な女の子のことが全く未解決ですので、まだまだシリーズで続きそうです。

「涼宮ハルヒ」「灼眼のシャナ」「狼と香辛料」に続き続編を楽しみに待てる小説ができました。

ところで「涼宮ハルヒの驚愕」はどうしちゃったんでしょうね。
07年6月発売と言われてからもう3年も放置プレーにあっています。
年内発売って話も出ていますが信用していいのでしょうか。
おねがいしますよ、ほんとにもう。