1月は18冊でした。
◆チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷(塩野七生)(新潮文庫)
タイトル買いしたまま、1年くらい積読本になっていた本。
歴史ものは好きなのですけど、読んできたのはほとんど日本史もの。世界史にふれるのは受験勉強以来かも。
イタリア戦争についても、チェーザレ・ボルジアについてもあまり知識がなかったので新鮮でした。
ローマ教皇の権威が世俗にまみれはじめた15世紀、その教皇の庶子チェーザレ。
単に権謀術策の人というよりも、弟殺し、イタリア統一の野望、織田信長みたいな戦略家だったのかも。その末路も残念。
◆心霊探偵八雲〈1〉赤い瞳は知っている(神永学) (角川文庫)
ミステリーというよりも、より娯楽作品です。
主人公・斎藤八雲の性格設定も、いかにもって感じで軽い。
「天命探偵 真田省吾シリーズ」同様、シリーズでは読まないと思います。
◆ジョーカー・ゲーム(柳広司)(角川文庫)
モデルは陸軍中野学校ですよね。
007みたく脚色されたものではなく、スパイという職業の本質をとらえた、リアリティ溢れるミステリー小説でした。
◆時をかける少女 〈筒井康隆〉 (角川文庫)
原田知世主演の映画は見た記憶がある(古っ!)が、どんな話だったか、もう忘れていた。なるほどこういう話だったのか。
◆死神の精度(伊坂幸太郎) (文春文庫)
伊坂さんは、「オー・ファーザー」「重力ピエロ」「ゴールデンスランバー」に続いて4作目、短編は初めて。良く構成された連作短編だと思う。
びっくりの死神が主人公、でも、死神と言っても特にすごい能力があるわけではない。彼が係わる6人の人生の客観的な観察者にして、ささやかでユーモラスな伝道者の役割。
最後の「死神対老女」で納得。
◆終末のフール(伊坂幸太郎) (集英社文庫)
地球滅亡を8年後に控え、仙台の同じ団地に住む8人の生き方をオムニバス方式で描いた小説。
太陽のシールの土屋さん、演劇のオールの私、鋼鉄のウールの苗場さんの生き様がいい。
淡々と、でもひたむきに、人間らしく生きよう。
◆ネバーランド (恩田陸)(集英社文庫)
恩田さんの本は「夜のピクニック」に続いて2作目。夜ピクに負けず劣らず良い作品です。
美国、寛司、光浩、統、それぞれが抱える複雑な家庭事情とトラウマ。
古い、人気のない学生寮がおとぎの国になって、それぞれの秘密が自然と明かされていく。それにつれて、深まっていく絆。いーですねー。
◆酔って候(司馬遼太郎) (文春文庫)
佐幕も勤皇も、幕末の主役は下級武士。脇役に過ぎない大名の側から見た幕末ものは珍しい。
長年の太平と幕府の政策ですっかり無能になった大名の中で、数少ない、聡明と言われ、多少なりとも歴史にかかわった山内容堂、島津久光、鍋島閑叟でもこんな程度か。
特に島津久光は滑稽なくらいに気の毒ですね。歴史は残酷です。
◆まんまこと(畠中恵) (文春文庫)
「しゃばけ」と、シリーズは違えど、同じようなお話。
ただし主人公は健康でアクティブな三人組。これはこれで楽しい。
ライトノベル感覚で読めました。
◆アンのゆりかご―村岡花子の生涯(村岡恵理) (新潮文庫)
NHKの朝ドラと吉高由里子さんのファンだったもので、、、
朝市も、吉太郎も、醍醐亜矢子さんもいないのですね。父は、実はそんなにいい人じゃなかったのですね。
やはりドラマはフィクションだったことが分かりました。
戦時中の話が重苦しい。女性の地位向上のためには参政権が必要、徴兵のある男性には選挙権が与えられた、女性も選挙権を得るためには戦争に貢献しなければならない、そんな図式で、著名な女性は積極的に戦争に協力をしたってことか。
◆神去なあなあ日常 (三浦しをん)(徳間文庫)
山岳マラソンのレースなどで、観光地ではない、山間の過疎地帯へ行くことが時々あります。
人里で暮らしていると絶対にわからない、同じ日本とは思えない生活がそこにあったりします。美しい自然というのとはちょっと違う、畏れみたいなもの。そこで暮らすにはなあなあで受け入れ、同化するしかないのでしょう。
勇気という部外者の目で、その様子が軽妙かつ好意的に描かれている、楽しいお話でした。
◆夜の桃 (石田衣良)(新潮文庫)
「百年目の新潮文庫」ということで読んでみたのですが、単なるエロ小説でした。
そんなに都合よくいくわけねーだろ、というのが率直な感想。
肌が触れあっただけで声を出してしまったとか、電流がちりちりとか、思わず笑ってしまいました。千映のなかの形が変化したとか、形状記憶合金かよ!と突っ込みたくなります。
男なんて、いくつになってもこんなもの?雅人さん、素直に羨ましいです。
◆百瀬、こっちを向いて。(中田永一) (祥伝社文庫)
こういうの、好きなんですよねー。「良いお話を読んだなー」って気持ちになりました。
4つとも爽やかに良い話で、ほのかにミステリー要素もあって、地味だけどしっかり青春してて。
映画も見てみたいです。
◆この世でいちばん大事な「カネ」の話(西原理恵子)(角川文庫)
アル中、ギャンブル狂、貧困、父親の自殺、子供はなすすべもない。自分がそういう環境に生まれなかったことに感謝です。
悪い循環を断ち切るのは親の務めですが、社会や政治の仕事でもあると思います。
ご主人とのことは、小泉今日子主演の映画、「毎日かあさん」でみましたが、西原さん、子供のころから、何ともすさまじい人生です。
◆新参者(東野圭吾) (講談社文庫)
昔、阿部寛主演のドラマを見ていたので、何となくストーリーは覚えてました。
加賀刑事の卓越した観察眼と、刑事らしからぬ優しい心配り、人形町界隈の下町風情や登場人物の下町気質と相まって、上質のミステリーに仕上がっていました。面白かった。
◆天風の彩王〈下〉―藤原不比等 (黒岩重吾)(講談社文庫)
再読。先月上巻を読んだのですが、やっと読了しました。
藤原氏といえば大化の改新の藤原鎌足が有名ですが、ホントの藤原氏中興の祖はこの藤原不比等。
政敵の寵臣の子として天武朝では不遇だった史(不比等)が、持統天皇の下、その実力を発揮していく。
官僚として律令政治の中核となるとともに、持統天皇の女人、肉親の情につけこみ、軽皇子の立太子に暗躍し、自分の娘を入内させて孫を皇太子とする。持統、文武、元明の3代にわたり天皇の寵を得て、位を極め、後の藤原氏の繁栄の基礎を築くが、この後の藤原氏と皇親勢力との波乱も匂わせる。
黒岩さんはこの後の時代の話を書いていないので、次に読むのは永井路子さんの「美貌の女帝」かな。
◆住宅営業という修羅場で26年 7000軒売った男が教える勝ち残る営業の36の掟(斉藤孝安)
自分の事を「城東の虎」とか言っている割には普通の営業本、自分にとって特に新鮮と思える話はなかった。
◆青年のための読書クラブ(桜庭一樹) (新潮文庫)
聖マリアナ学園、読書クラブがなければ「マリア様がみてる」のリリアン女学園みたい。
ミッション系有名お嬢様学校という閉鎖空間で醸成される、「マリみて」を表とすれば、これは裏歴史です。
実際にこういうことって起きていそうな気がする。「一番星」が面白かった。
「GOSICKシリーズ」「私の男」とこの作品、桜庭さん、多彩です。
◆ユリゴコロ(沼田まほかる) (双葉文庫)
沼田さんの本は「九月が永遠に続けば」「アミダサマ」に続いて3冊目だが、失礼ながら初めて彼女の作品が面白いと思った。
前半のイヤミス振りが後半一転数奇な運命の家族とその絆の話に。つい引き込まれて一気読みしました。
書評は賛否半々みたいだけど、ミステリーはこれくらい毒がある方が良いと思う。
◆チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷(塩野七生)(新潮文庫)
タイトル買いしたまま、1年くらい積読本になっていた本。
歴史ものは好きなのですけど、読んできたのはほとんど日本史もの。世界史にふれるのは受験勉強以来かも。
イタリア戦争についても、チェーザレ・ボルジアについてもあまり知識がなかったので新鮮でした。
ローマ教皇の権威が世俗にまみれはじめた15世紀、その教皇の庶子チェーザレ。
単に権謀術策の人というよりも、弟殺し、イタリア統一の野望、織田信長みたいな戦略家だったのかも。その末路も残念。
◆心霊探偵八雲〈1〉赤い瞳は知っている(神永学) (角川文庫)
ミステリーというよりも、より娯楽作品です。
主人公・斎藤八雲の性格設定も、いかにもって感じで軽い。
「天命探偵 真田省吾シリーズ」同様、シリーズでは読まないと思います。
◆ジョーカー・ゲーム(柳広司)(角川文庫)
モデルは陸軍中野学校ですよね。
007みたく脚色されたものではなく、スパイという職業の本質をとらえた、リアリティ溢れるミステリー小説でした。
◆時をかける少女 〈筒井康隆〉 (角川文庫)
原田知世主演の映画は見た記憶がある(古っ!)が、どんな話だったか、もう忘れていた。なるほどこういう話だったのか。
◆死神の精度(伊坂幸太郎) (文春文庫)
伊坂さんは、「オー・ファーザー」「重力ピエロ」「ゴールデンスランバー」に続いて4作目、短編は初めて。良く構成された連作短編だと思う。
びっくりの死神が主人公、でも、死神と言っても特にすごい能力があるわけではない。彼が係わる6人の人生の客観的な観察者にして、ささやかでユーモラスな伝道者の役割。
最後の「死神対老女」で納得。
◆終末のフール(伊坂幸太郎) (集英社文庫)
地球滅亡を8年後に控え、仙台の同じ団地に住む8人の生き方をオムニバス方式で描いた小説。
太陽のシールの土屋さん、演劇のオールの私、鋼鉄のウールの苗場さんの生き様がいい。
淡々と、でもひたむきに、人間らしく生きよう。
◆ネバーランド (恩田陸)(集英社文庫)
恩田さんの本は「夜のピクニック」に続いて2作目。夜ピクに負けず劣らず良い作品です。
美国、寛司、光浩、統、それぞれが抱える複雑な家庭事情とトラウマ。
古い、人気のない学生寮がおとぎの国になって、それぞれの秘密が自然と明かされていく。それにつれて、深まっていく絆。いーですねー。
◆酔って候(司馬遼太郎) (文春文庫)
佐幕も勤皇も、幕末の主役は下級武士。脇役に過ぎない大名の側から見た幕末ものは珍しい。
長年の太平と幕府の政策ですっかり無能になった大名の中で、数少ない、聡明と言われ、多少なりとも歴史にかかわった山内容堂、島津久光、鍋島閑叟でもこんな程度か。
特に島津久光は滑稽なくらいに気の毒ですね。歴史は残酷です。
◆まんまこと(畠中恵) (文春文庫)
「しゃばけ」と、シリーズは違えど、同じようなお話。
ただし主人公は健康でアクティブな三人組。これはこれで楽しい。
ライトノベル感覚で読めました。
◆アンのゆりかご―村岡花子の生涯(村岡恵理) (新潮文庫)
NHKの朝ドラと吉高由里子さんのファンだったもので、、、
朝市も、吉太郎も、醍醐亜矢子さんもいないのですね。父は、実はそんなにいい人じゃなかったのですね。
やはりドラマはフィクションだったことが分かりました。
戦時中の話が重苦しい。女性の地位向上のためには参政権が必要、徴兵のある男性には選挙権が与えられた、女性も選挙権を得るためには戦争に貢献しなければならない、そんな図式で、著名な女性は積極的に戦争に協力をしたってことか。
◆神去なあなあ日常 (三浦しをん)(徳間文庫)
山岳マラソンのレースなどで、観光地ではない、山間の過疎地帯へ行くことが時々あります。
人里で暮らしていると絶対にわからない、同じ日本とは思えない生活がそこにあったりします。美しい自然というのとはちょっと違う、畏れみたいなもの。そこで暮らすにはなあなあで受け入れ、同化するしかないのでしょう。
勇気という部外者の目で、その様子が軽妙かつ好意的に描かれている、楽しいお話でした。
◆夜の桃 (石田衣良)(新潮文庫)
「百年目の新潮文庫」ということで読んでみたのですが、単なるエロ小説でした。
そんなに都合よくいくわけねーだろ、というのが率直な感想。
肌が触れあっただけで声を出してしまったとか、電流がちりちりとか、思わず笑ってしまいました。千映のなかの形が変化したとか、形状記憶合金かよ!と突っ込みたくなります。
男なんて、いくつになってもこんなもの?雅人さん、素直に羨ましいです。
◆百瀬、こっちを向いて。(中田永一) (祥伝社文庫)
こういうの、好きなんですよねー。「良いお話を読んだなー」って気持ちになりました。
4つとも爽やかに良い話で、ほのかにミステリー要素もあって、地味だけどしっかり青春してて。
映画も見てみたいです。
◆この世でいちばん大事な「カネ」の話(西原理恵子)(角川文庫)
アル中、ギャンブル狂、貧困、父親の自殺、子供はなすすべもない。自分がそういう環境に生まれなかったことに感謝です。
悪い循環を断ち切るのは親の務めですが、社会や政治の仕事でもあると思います。
ご主人とのことは、小泉今日子主演の映画、「毎日かあさん」でみましたが、西原さん、子供のころから、何ともすさまじい人生です。
◆新参者(東野圭吾) (講談社文庫)
昔、阿部寛主演のドラマを見ていたので、何となくストーリーは覚えてました。
加賀刑事の卓越した観察眼と、刑事らしからぬ優しい心配り、人形町界隈の下町風情や登場人物の下町気質と相まって、上質のミステリーに仕上がっていました。面白かった。
◆天風の彩王〈下〉―藤原不比等 (黒岩重吾)(講談社文庫)
再読。先月上巻を読んだのですが、やっと読了しました。
藤原氏といえば大化の改新の藤原鎌足が有名ですが、ホントの藤原氏中興の祖はこの藤原不比等。
政敵の寵臣の子として天武朝では不遇だった史(不比等)が、持統天皇の下、その実力を発揮していく。
官僚として律令政治の中核となるとともに、持統天皇の女人、肉親の情につけこみ、軽皇子の立太子に暗躍し、自分の娘を入内させて孫を皇太子とする。持統、文武、元明の3代にわたり天皇の寵を得て、位を極め、後の藤原氏の繁栄の基礎を築くが、この後の藤原氏と皇親勢力との波乱も匂わせる。
黒岩さんはこの後の時代の話を書いていないので、次に読むのは永井路子さんの「美貌の女帝」かな。
◆住宅営業という修羅場で26年 7000軒売った男が教える勝ち残る営業の36の掟(斉藤孝安)
自分の事を「城東の虎」とか言っている割には普通の営業本、自分にとって特に新鮮と思える話はなかった。
◆青年のための読書クラブ(桜庭一樹) (新潮文庫)
聖マリアナ学園、読書クラブがなければ「マリア様がみてる」のリリアン女学園みたい。
ミッション系有名お嬢様学校という閉鎖空間で醸成される、「マリみて」を表とすれば、これは裏歴史です。
実際にこういうことって起きていそうな気がする。「一番星」が面白かった。
「GOSICKシリーズ」「私の男」とこの作品、桜庭さん、多彩です。
◆ユリゴコロ(沼田まほかる) (双葉文庫)
沼田さんの本は「九月が永遠に続けば」「アミダサマ」に続いて3冊目だが、失礼ながら初めて彼女の作品が面白いと思った。
前半のイヤミス振りが後半一転数奇な運命の家族とその絆の話に。つい引き込まれて一気読みしました。
書評は賛否半々みたいだけど、ミステリーはこれくらい毒がある方が良いと思う。
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