加藤陽子さんという東大教授の方が、栄光学園での5日間の日本近代史の講義をまとめた本です。
大学教授をしている高校の同窓生に勧められました。
高校生相手の講義なので平易な言葉で語られていますが、その内容はかなりトリビアなもので、栄光学園の生徒さん、賢いです。
歴史って、例えば「普通選挙の実施」とか「日英同盟」とか「不平等条約の解消」とか、過去の事実として学んだことが多いじゃないですか。
でも、なぜ普通選挙が行われるようになったのか、イギリスは何の目的で日英同盟に応じたのか、どうやって不平等条約を解消したのか、ということになると、高校の授業では教えてくれなかった。
でも、その時代に生きていた人は現実として知ってたわけですよね、その理由を。
この本は、正に自分がその時代を生きているように歴史を科学的に実証するもので、リアリティを持って時代を体験できる、そんな本でした。
こういう授業だったら、歴史も面白いよね。
「日清戦争」「日露戦争」「第一次世界大戦」「満州事変、日中戦争」「太平洋戦争」の5章立て。
日清戦争、日露戦争は明らかに祖国防衛を目的とした戦争ですが、第一次世界大戦あたりから、その防衛の様相が徐々に変わり始める。
満州事変のリットン調査団の報告が納得できなくて日本は国際連盟を脱退してしまったのですが、報告書自体は日本の権益も考慮した公平なもので、これを受け入れられなかったから、国際的に「もう日本は無理かも」って思われ始めてしまった。
それ以前に華夷秩序の国・韓国を併合したことも失敗だし、まして中国を巻き込んで大東亜共栄圏の盟主になろうなんて思い上がりもはなはだしい。
日本が日露戦争の後踏みとどまっておけば、台湾は今もまだ日本で中華人民共和国は成立しなかった、そんな歴史になっていたかもしれません。
軍部の暴走が侵略戦争を招いたとか、大日本帝国憲法で天皇に統帥権を持たせたのが悪かったみたいなステレオタイプの意見の日本人が多いのでしょうが、それでは歴史から学んだことにならない。
政党政治家やジャーナリズムの責任もかなり重かったんだって、わからなければいけないと思いました。
戦争は国としての目的を達成するための外交の一手段であり、それも人と金という国の資源を大規模に消費するものだから、よほど明確な目的がなければやってはいけない。その唯一の目的は「独立自尊を守ること」なのだと思います。
日本は、その一番大切な目的に具体性を持たせ、それをコンセンサスとすることができずに泥沼にはまっていった、そんな気がします。
まあ、後になってみればいろいろなことがわかるわけで、その時代に生きている人にとって客観的であることは難しい。
だからこそ我々は歴史から学ばなければいけなくて、でも日本の場合その学びが全然足りない、そう思いました。
大学教授をしている高校の同窓生に勧められました。
高校生相手の講義なので平易な言葉で語られていますが、その内容はかなりトリビアなもので、栄光学園の生徒さん、賢いです。
歴史って、例えば「普通選挙の実施」とか「日英同盟」とか「不平等条約の解消」とか、過去の事実として学んだことが多いじゃないですか。
でも、なぜ普通選挙が行われるようになったのか、イギリスは何の目的で日英同盟に応じたのか、どうやって不平等条約を解消したのか、ということになると、高校の授業では教えてくれなかった。
でも、その時代に生きていた人は現実として知ってたわけですよね、その理由を。
この本は、正に自分がその時代を生きているように歴史を科学的に実証するもので、リアリティを持って時代を体験できる、そんな本でした。
こういう授業だったら、歴史も面白いよね。
「日清戦争」「日露戦争」「第一次世界大戦」「満州事変、日中戦争」「太平洋戦争」の5章立て。
日清戦争、日露戦争は明らかに祖国防衛を目的とした戦争ですが、第一次世界大戦あたりから、その防衛の様相が徐々に変わり始める。
満州事変のリットン調査団の報告が納得できなくて日本は国際連盟を脱退してしまったのですが、報告書自体は日本の権益も考慮した公平なもので、これを受け入れられなかったから、国際的に「もう日本は無理かも」って思われ始めてしまった。
それ以前に華夷秩序の国・韓国を併合したことも失敗だし、まして中国を巻き込んで大東亜共栄圏の盟主になろうなんて思い上がりもはなはだしい。
日本が日露戦争の後踏みとどまっておけば、台湾は今もまだ日本で中華人民共和国は成立しなかった、そんな歴史になっていたかもしれません。
軍部の暴走が侵略戦争を招いたとか、大日本帝国憲法で天皇に統帥権を持たせたのが悪かったみたいなステレオタイプの意見の日本人が多いのでしょうが、それでは歴史から学んだことにならない。
政党政治家やジャーナリズムの責任もかなり重かったんだって、わからなければいけないと思いました。
戦争は国としての目的を達成するための外交の一手段であり、それも人と金という国の資源を大規模に消費するものだから、よほど明確な目的がなければやってはいけない。その唯一の目的は「独立自尊を守ること」なのだと思います。
日本は、その一番大切な目的に具体性を持たせ、それをコンセンサスとすることができずに泥沼にはまっていった、そんな気がします。
まあ、後になってみればいろいろなことがわかるわけで、その時代に生きている人にとって客観的であることは難しい。
だからこそ我々は歴史から学ばなければいけなくて、でも日本の場合その学びが全然足りない、そう思いました。
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