11月は低調。
「新潮文庫の100冊」挑戦が終了したので、カドフェスをちょっと頑張って6冊。
◆行きたくない (加藤シゲアキ、他)
いろいろな「行きたくない」をテーマにした短編が6本、阿川せんりさん、小嶋陽太郎さん、奥田亜希子さんは初読み。アンソロジーということであまり期待せずに読み始めたが、なかなかに面白かった。お気に入りは小嶋さんの「シャイセ」。
◆15歳のテロリスト (松村涼哉)
実名で新宿駅爆破テロの犯行予告を行った15歳の少年・渡辺篤人の意外な真実。犯罪被害者の人権と少年犯罪の厳罰化の問題をテーマに、ネット社会の功罪も浮き彫りにした、なかなかに読みでのある1冊でした。願わくは、篤人とアズサに平凡な青春が訪れますように。
◆私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。 (日向奈くらら)
何かどんでん返しがあるのではと思っていたが、特に何もなく終わってしまった。実在する「悪魔の目」によってやたらと人が死ぬ展開はリアリティが感じられず、荒唐無稽すぎてホラー感も今一。B級ホラーとして読めば、まあ、これはこれで。
◆恋する寄生虫 (三秋縋)
表紙とタイトルに惹かれて手に取ったが、期待した程度には面白かった。著者の本は「三日間の幸福」に続いて2冊目。寄生虫に操られた恋でも、恋は恋ってか。二人のこれからがあることを祈ります。
早速、目黒寄生虫館、行ってきました。
◆葡萄が目にしみる (林真理子)
ぽっちゃりで容姿に自信がなくスポーツも苦手な乃里子のおくてな青春、モデルは林さんご自身ですよね。そうすると弘明館は日川高校で岩永のモデルは藤原優選手か。秘めた思いと失恋、嫉妬、ひがみがひりひりするほどリアル。
コンプレックスをばねに何とか成り上がって、社会人になって獲得したポジションで岩永と対等に話せるまでになったサクセスストーリーともとれる。こういう人、好きじゃないけど、気持ちはよーくわかります。
◆放送禁止 (長江俊和)
ノンフィクションっぽいホラー、面白く読めたけどなんか引っかかるので、ネットでネタバレを見て初めて「ああそういうことだったのか」と真相がわかった。思いのほか深い話、秀作、おすすめ。
◆落日(湊かなえ)
登場人物が最後にいろいろとつながってくるあざとさは良い意味でいつもの湊さん。すごくやな奴は紗良くらい、「告白」とかほどにはいやーな読後感にはならず、全体的に面白く読み進めることができた。
第162回直木賞は残念でした。面白かったけど、受賞作の「熱源」と比べると、スケールの大きさ、突き抜ける感じは今一つなかったからのかな。
◆ザ・ロイヤルファミリー(早見和真)
私も競馬はちょっとだけ好きで、東京競馬場で朝から全レースを観戦したことがある。新馬、未勝利馬戦で1勝することがいかに難しいか、重賞レースだけを見ていてはわからない、そんな世界がそこにあった。
競馬の馬主の表と裏をあますところなく描いた作品。競走馬と馬主の家族、血統をテーマにした、因縁と悲願の物語。やはり最後の有馬記念は豪雨だったんですね。
山本周五郎賞受賞が伊達じゃない。文句なしに面白いヒューマン・ドラマ。
◆獄門島 (横溝正史)
横溝さんの代表作の一つですよね。土俗的な閉鎖社会で起きるおどろおどろしい見立て殺人、金田一耕助は殺人を予告されていたのに全く防げなかったのか、真剣に防ぐ対策を講じていなかったのか?後になって謎解きをしたって負けですよね。
◆扇物語 (西尾維新)
やや蛇足の感があるモンスターシリーズ、ファイナルシーズンまでは購入して読んでたが、最近は図書館本。前作からだいぶ間が空いたので、ちょっとよくわからなくなってきた。おうぎフライトがシリーズ最終作の「死物語」の序章なのかな。貝木と撫子と余接ですか。でも語り部が撫子って、暦くんより面白いかも。
それよりも主役級が不在で話が軽くなった?羽川はどうした?
◆(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法(三宅香帆)
紹介されている本で、既読は「グレート・ギャツビー」「吾輩は猫である」「金閣寺」「羅生門」「雪国」「キャッチャー・イン・ザ・ライ」「老人と海」「ドグラ・マグラ」「源氏物語」、本質に迫れたと思った本も、よくわからなかった本もあり、「ドグラ・マグラ」に至っては2回読み返してもさっぱりだったが、なるほどこう読めばいいのか、大学院ってこういうことを学べるのかと大変参考になった。今後の読書で悩ましい本に当たった時に役立てたい。
◆娘のトリセツ (黒川伊保子)
黒川伊保子さんの講演を聴いたのをきっかけに「妻のトリセツ」「夫のトリセツ」「定年夫婦のトリセツ」と読んだ勢いそのままに、乗り掛かった舟で本書も読んだ。
私にも娘がいる。娘が就職・転勤で家を出ていくときは「自分は良い父親だったのか」と自分自答したものだった。その娘は2年で会社を辞めて家に帰ってきた。さてさて、今度はどうす接すればよいのか。黒川さんの本はすっと腑に落ちることが多く、とても参考になる。
◆まなの本棚(芦田愛菜)
読書感想も優等生ですなあ。私は、今でこそ愛菜さん以上に本を読んでいますが、子供の頃はとてもじゃないけどこんなに読んでいなかった。共読本も多数。
◆反日種族主義 日韓危機の根源(李 栄薫)
1902年生まれの私の祖父から聞いた日中戦争の慰安所(祖父はピー屋と言った)の話も概ねこの本の通りだった。敗戦により日本の領土は日清戦争以前に戻すよう分割、はからずも独立することになった韓国は、進んでいた日本化から一転、敗戦国と同一視されぬよう反日を推し進めアイデンティティを確立する必要があった。それが韓国特有の「嘘を恥と思わぬ文化」と相まって戦後30年ほどの年月を以て「反日種族主義」が国民に浸透したというのがこの本の主張。韓国内からこのような声が上がり始めたのは良い傾向、広く読まれてほしい一冊。
「新潮文庫の100冊」挑戦が終了したので、カドフェスをちょっと頑張って6冊。
◆行きたくない (加藤シゲアキ、他)
いろいろな「行きたくない」をテーマにした短編が6本、阿川せんりさん、小嶋陽太郎さん、奥田亜希子さんは初読み。アンソロジーということであまり期待せずに読み始めたが、なかなかに面白かった。お気に入りは小嶋さんの「シャイセ」。
◆15歳のテロリスト (松村涼哉)
実名で新宿駅爆破テロの犯行予告を行った15歳の少年・渡辺篤人の意外な真実。犯罪被害者の人権と少年犯罪の厳罰化の問題をテーマに、ネット社会の功罪も浮き彫りにした、なかなかに読みでのある1冊でした。願わくは、篤人とアズサに平凡な青春が訪れますように。
◆私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。 (日向奈くらら)
何かどんでん返しがあるのではと思っていたが、特に何もなく終わってしまった。実在する「悪魔の目」によってやたらと人が死ぬ展開はリアリティが感じられず、荒唐無稽すぎてホラー感も今一。B級ホラーとして読めば、まあ、これはこれで。
◆恋する寄生虫 (三秋縋)
表紙とタイトルに惹かれて手に取ったが、期待した程度には面白かった。著者の本は「三日間の幸福」に続いて2冊目。寄生虫に操られた恋でも、恋は恋ってか。二人のこれからがあることを祈ります。
早速、目黒寄生虫館、行ってきました。
◆葡萄が目にしみる (林真理子)
ぽっちゃりで容姿に自信がなくスポーツも苦手な乃里子のおくてな青春、モデルは林さんご自身ですよね。そうすると弘明館は日川高校で岩永のモデルは藤原優選手か。秘めた思いと失恋、嫉妬、ひがみがひりひりするほどリアル。
コンプレックスをばねに何とか成り上がって、社会人になって獲得したポジションで岩永と対等に話せるまでになったサクセスストーリーともとれる。こういう人、好きじゃないけど、気持ちはよーくわかります。
◆放送禁止 (長江俊和)
ノンフィクションっぽいホラー、面白く読めたけどなんか引っかかるので、ネットでネタバレを見て初めて「ああそういうことだったのか」と真相がわかった。思いのほか深い話、秀作、おすすめ。
◆落日(湊かなえ)
登場人物が最後にいろいろとつながってくるあざとさは良い意味でいつもの湊さん。すごくやな奴は紗良くらい、「告白」とかほどにはいやーな読後感にはならず、全体的に面白く読み進めることができた。
第162回直木賞は残念でした。面白かったけど、受賞作の「熱源」と比べると、スケールの大きさ、突き抜ける感じは今一つなかったからのかな。
◆ザ・ロイヤルファミリー(早見和真)
私も競馬はちょっとだけ好きで、東京競馬場で朝から全レースを観戦したことがある。新馬、未勝利馬戦で1勝することがいかに難しいか、重賞レースだけを見ていてはわからない、そんな世界がそこにあった。
競馬の馬主の表と裏をあますところなく描いた作品。競走馬と馬主の家族、血統をテーマにした、因縁と悲願の物語。やはり最後の有馬記念は豪雨だったんですね。
山本周五郎賞受賞が伊達じゃない。文句なしに面白いヒューマン・ドラマ。
◆獄門島 (横溝正史)
横溝さんの代表作の一つですよね。土俗的な閉鎖社会で起きるおどろおどろしい見立て殺人、金田一耕助は殺人を予告されていたのに全く防げなかったのか、真剣に防ぐ対策を講じていなかったのか?後になって謎解きをしたって負けですよね。
◆扇物語 (西尾維新)
やや蛇足の感があるモンスターシリーズ、ファイナルシーズンまでは購入して読んでたが、最近は図書館本。前作からだいぶ間が空いたので、ちょっとよくわからなくなってきた。おうぎフライトがシリーズ最終作の「死物語」の序章なのかな。貝木と撫子と余接ですか。でも語り部が撫子って、暦くんより面白いかも。
それよりも主役級が不在で話が軽くなった?羽川はどうした?
◆(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法(三宅香帆)
紹介されている本で、既読は「グレート・ギャツビー」「吾輩は猫である」「金閣寺」「羅生門」「雪国」「キャッチャー・イン・ザ・ライ」「老人と海」「ドグラ・マグラ」「源氏物語」、本質に迫れたと思った本も、よくわからなかった本もあり、「ドグラ・マグラ」に至っては2回読み返してもさっぱりだったが、なるほどこう読めばいいのか、大学院ってこういうことを学べるのかと大変参考になった。今後の読書で悩ましい本に当たった時に役立てたい。
◆娘のトリセツ (黒川伊保子)
黒川伊保子さんの講演を聴いたのをきっかけに「妻のトリセツ」「夫のトリセツ」「定年夫婦のトリセツ」と読んだ勢いそのままに、乗り掛かった舟で本書も読んだ。
私にも娘がいる。娘が就職・転勤で家を出ていくときは「自分は良い父親だったのか」と自分自答したものだった。その娘は2年で会社を辞めて家に帰ってきた。さてさて、今度はどうす接すればよいのか。黒川さんの本はすっと腑に落ちることが多く、とても参考になる。
◆まなの本棚(芦田愛菜)
読書感想も優等生ですなあ。私は、今でこそ愛菜さん以上に本を読んでいますが、子供の頃はとてもじゃないけどこんなに読んでいなかった。共読本も多数。
◆反日種族主義 日韓危機の根源(李 栄薫)
1902年生まれの私の祖父から聞いた日中戦争の慰安所(祖父はピー屋と言った)の話も概ねこの本の通りだった。敗戦により日本の領土は日清戦争以前に戻すよう分割、はからずも独立することになった韓国は、進んでいた日本化から一転、敗戦国と同一視されぬよう反日を推し進めアイデンティティを確立する必要があった。それが韓国特有の「嘘を恥と思わぬ文化」と相まって戦後30年ほどの年月を以て「反日種族主義」が国民に浸透したというのがこの本の主張。韓国内からこのような声が上がり始めたのは良い傾向、広く読まれてほしい一冊。
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