ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

22年11月に読んだ本

2022-12-08 17:11:28 | 読書
11月も8冊と低調、今年の「新潮文庫の100冊」を全部読んだので、今は「カドブン」読了に挑戦中、今月4冊読んで残り26冊まできました。

◆悪文 伝わる文章の作法 (岩淵 悦太郎)
悪文の例があまりに悪文過ぎて読むのにとっても苦労しました。50年くらい前の本?この本で誤用とされているものが今は定着していたり、解説に「この使い方はバタ臭い」とかあって、えっ、言葉遣いがバタ臭いって言う?なんて思ったりして。
文章は読む人のことを意識して書かなきゃだめだよねと改めて思わされました。

◆家出のすすめ (寺山 修司)
私ですら寺山修司さんの現役時代を知らない。彼を知る人ももはやほとんどいないでしょうに、「現代の矛盾を鋭く告発する寺山修司流青春論」もすっかり古典になりました。若い人はこの本をどのように読むのかな。この当時よりもさらに地縁、血縁的なしがらみは弱くなっているものの、反面「自立のすすめ」で述べられている若者の性欲に代表されるようパッションも、我々の世代と比べてもますます弱くなっているように思えます。

◆小説 すずめの戸締まり (新海 誠)
映画も観てきました。
東日本大震災の喪失と再生の物語であり、乙女チックなラブストーリーであり、日本神話を下敷きにしたファンタジーであり、宮崎から宮城へのロードムービーでもありと、なかなか盛りだくさんなお話です。
小説は映画そのままの内容なので、映画を観た人にはその補完、反芻という意味で楽しめるのでは。映画を観てないとちょっと退屈に感じるかも。

◆偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理 (降田 天)
中年の交番のお巡りさんがホームズ役の短編連作、倒叙形式なので最初から犯人は分かっている。個々の事件を後半ちょい役っぽく出てくる狩野巡査がねちっこく追い詰める、こういうのも変わり種で面白い。

話題の単行本を4冊。
◆ミーツ・ザ・ワールド(金原 ひとみ)
金原さん、あの芥川賞を取った「蛇にピアス」以来かも。
自己評価が低く、MEATの世界に閉じこもっていたコミュ障腐女子が、ひょんなことから外の世界とMEETする。ライ、アサヒ、ユキ、オシン、常識の枠にはまらない、個性満載のアウトローな面々と親しくなるにつれ、触発されて一気に自ら殻を破っていく、型破りなゆかりんの成長物語。読みにくい文章や言葉の使い方にに若さゆえのセンスを感じます。面白かった。

◆おんなの女房(蝉谷 めぐ実)
芸の持つ魔性と、その芸に見せられた夫を支える妻の在り方、お才、お富、そして志乃の三様。芸のために武家の娘・志乃を娶った野望を秘めた若女形・燕弥が、皮肉なことにその志乃への思いに己の芸を変質させていく。病の原因は白粉の鉛毒でしょうか、職業病ですなー。観念して引退しようとした夫に、ひたすら従順であることを良しとする武家の嫁が最後の最後で取った行動、それなりに面白く、さらっと読めました。

◆底惚れ (青山文平)
人生を諦観した四十路の年季奉公が一人称で語る、青山文平さんのまさかの恋愛長編。元殿様のお手付きになり子を取り上げられて宿下がりとなった下女・芳に同情し復讐を持ちかけ、芳と情愛を通じたと思ったのもつかの間、実は元殿を愛していた芳に逆に殺されかけるも、それでも芳を振り切れずに探す純情男の苔の一一念の立身出世物語。底惚れの表題は主人公の下女・芳に対する気持ちゆえと思っていたが、最後にちょっとしたどんでん返しあり。

◆砂嵐に星屑(一穂 ミチ)
大阪のローカルTV局で働く、ちょっとうまくいってない人4人を主人公にした短編連作。人生いろいろあるけど悪いことばかりじゃない、ほんわかさせてもらえるお話。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コロナから回復 | トップ | 22年12月に読んだ本 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事