17年の「新潮文庫の100冊」を読了しました。
9月に読んだのは、以下の7冊、最後はちょっとラストスパート。
◆約束の海 (山崎豊子)
山崎さん、すごい取材をしていたみたいですね。続きを読みたいって思ってしまった。第二部からが本番だよね、うーん、残念。
◆殺人犯はそこにいる (清水潔)
清水さんは「遺言・桶川ストーカー殺人事件」に続き2冊目。
この本も自分の正義感を刺激してくれた。殺人犯はもちろん許せないが、問題は警察という組織の隠蔽体質。組織の維持を優先し、過ちを認めない。そのために被害者をないがしろにし、被疑者を野放しにする本末転倒を行う。なぜ自浄作用が働かないのか、モノカルチャーの組織ゆえなのであれば人事制度などの抜本的な改革が必要だ。
◆笹の舟で海をわたる (角田光代)
左織は、ちょうど私の母の世代。保守的で自分と違う価値観を認められない、責任も取らないのに言うことは言う、自己中心的で友人が少ない、自分の親の世代の悪いところだけをクローズアップされたようで、あるあると思いながらも居心地の悪さを覚えた。でも、親の悪いところって、結局自分も受け継いでしまうもの。身につまされながら読みました。
◆首折り男のための協奏曲 (伊坂幸太郎)
「首折り男の周辺」「濡れ衣の話」「僕の舟」「人間らしく」「月曜日から逃げろ」「相談役の話」「合コンの話」、首折り男に関係した話と、探偵で泥棒の黒澤の話と、どっちでもない話と、相互に関係するような、しないような短編集。といって最後に全部の話がつながるのかといえばそうでもない、伊坂さんらしい短編集。
◆荒神 (宮部みゆき)
大昔に見た大映の怪獣映画「大魔神」とか、ジブリの「もののけ姫」とか、そういう感じの時代ファンタジー・エンタメ小説。NHKでスペシャルドラマ化されるみたいですね。ストーリーはシンプルなので、映像化されるときっと面白いと思います。
◆月の上の観覧車 (荻原浩)
直木賞を取った「海の見える理髪店」は表題作の出来が群を抜いていたが、こちらは粒が揃った短編集という印象。人生の節目や終盤を迎え、主人公は幸福と言えない、大切なものを喪失し、後悔もしている。でも、過去は過去として一歩踏み出そうともしている。それぞれの主人公に「頑張れ」「ご苦労様」と声をかけたくなる秀作。
◆ある奴隷少女に起こった出来事 (ハリエット・アン ジェイコブズ)
この本を文庫化し、今年の「新潮文庫の100冊」に選んだ新潮社に拍手。
子供が売られる、主人から関係を強要される、奴隷であることはどういうことか実感として伝わってきた。それにしてもフリントはストーカー以上に変質的、奴隷の身分で彼をとことん嫌いぬいたヒロインに敬意を表したい。文章が読みづらいのは原文のせいか、それとも訳者のせいか、機会があれば、原作を読んでみたい。
新潮文庫の次はカドフェスに挑戦予定、とりあえず2冊。
◆きりこについて (西加奈子)
ぶすだとか、セックス好きだとか、際どい表現もありながらの、シンプルでストレートなメッセージ。なんとなく元気になれる小説です。外見も、中身も、人生も、自分のものは自分のもの、思いのままに生きようよ。ってことでいいのかな。
◆DIVE!! 上 (森絵都)
アニメを見ているので、ぜひ原作も、と。シドニー・オリンピックといったら高橋尚子じゃないですか。結構古い作品なんですね。とにかく下巻へ。
◆騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編(村上春樹)
上巻を読んでから、少し時間が空いてしまった。
イデアにメタファー、主人公の不思議な体験。分からないことは分からないままでほったらかし。あらすじをたどったところで、この話の意味とか面白さとかは語れない。
延々展開される村上ワールドに満腹。
◆かがみの孤城(辻村深月)
不登校の中学生を主人公とした、ミステリー仕立てのファンタジー。
ミステリー・パートは序盤から伏線がちりばめられていたので大体想像がついたが、普通に小説としてとても良いお話だった。
不登校になってしまう中学生の心の事情、無自覚な加害者、無神経な担任教師、自分の子供が理解できずに戸惑う肉親、辻村さん、どうして?と思うくらいに心理描写が真に迫っている。その中で、どう考えても只者ではない喜多嶋さんの存在、そうきましたか。辻村さん、あざといけど、うまい。
◆月の満ち欠け(佐藤正午)
大学生の三角哲彦と不倫関係にあり、不慮の事故で命を落とした人妻、正木瑠璃が、三角に会いに何度も転生する話。彼女の愛ゆえの転生は、どこかおどろおどろしい。歳をとった三角の眼前に、小学生が「会いたかった」と現れるのだから、本人も周囲も面喰らいますよね。
時系列無視で昔話が輻輳する、この分かりにくさが、物語の不思議な雰囲気を醸成し、いったい何が真実なのかと読者を考えさせる。第157回直木賞受賞作。
◆あとは野となれ大和撫子(宮内悠介)
宮内さんは「彼女がエスパーだったころ」「アメリカ最後の実験」に続き3冊目。前の2冊と違って、疾走感のある、エンタメ要素満載の一作。
干上がったアラル海の上にできた架空の小国アラルスタンを舞台にした、全然日本人っぽくない日本の少女ナツキらの政治活劇。あまりなじみのない旧ソ連の中央アジアの政治力学を確り押さえつつもラノベっぽい軽い印象の作品。
直木賞は残念。でも宮内さんが直木賞を取るとしたらこれではないのではと思った。
ラノベを2冊。
◆エロマンガ先生(9) 紗霧の新婚生活 (伏見つかさ)
うーん、高校生が中学生にプロポーズ、だんだんバカバカしい展開になってきた。。。
まだ続くみたいですね。京香さんの秘密もさほどのことはなかったし、アニメの最終回でやったところまでがピークだったような。
◆なれる!SE16 2年目でわかる?SE入門 (夏海公司)
シリーズ完結。この話、大好きだっただけに終わっちゃくなんて寂しい。アニメ化されるんじゃないかと期待していただけに残念。
それにしても最後に工兵くんが選んだ道が意外というか、ありえなすぎ。夏海さん、SE残酷物語、SEにだけはなっちゃいけないなどと言いながら、SE辞めてラノベ作家になったくせに、SEという職業は愛しているんですね。
9月に読んだのは、以下の7冊、最後はちょっとラストスパート。
◆約束の海 (山崎豊子)
山崎さん、すごい取材をしていたみたいですね。続きを読みたいって思ってしまった。第二部からが本番だよね、うーん、残念。
◆殺人犯はそこにいる (清水潔)
清水さんは「遺言・桶川ストーカー殺人事件」に続き2冊目。
この本も自分の正義感を刺激してくれた。殺人犯はもちろん許せないが、問題は警察という組織の隠蔽体質。組織の維持を優先し、過ちを認めない。そのために被害者をないがしろにし、被疑者を野放しにする本末転倒を行う。なぜ自浄作用が働かないのか、モノカルチャーの組織ゆえなのであれば人事制度などの抜本的な改革が必要だ。
◆笹の舟で海をわたる (角田光代)
左織は、ちょうど私の母の世代。保守的で自分と違う価値観を認められない、責任も取らないのに言うことは言う、自己中心的で友人が少ない、自分の親の世代の悪いところだけをクローズアップされたようで、あるあると思いながらも居心地の悪さを覚えた。でも、親の悪いところって、結局自分も受け継いでしまうもの。身につまされながら読みました。
◆首折り男のための協奏曲 (伊坂幸太郎)
「首折り男の周辺」「濡れ衣の話」「僕の舟」「人間らしく」「月曜日から逃げろ」「相談役の話」「合コンの話」、首折り男に関係した話と、探偵で泥棒の黒澤の話と、どっちでもない話と、相互に関係するような、しないような短編集。といって最後に全部の話がつながるのかといえばそうでもない、伊坂さんらしい短編集。
◆荒神 (宮部みゆき)
大昔に見た大映の怪獣映画「大魔神」とか、ジブリの「もののけ姫」とか、そういう感じの時代ファンタジー・エンタメ小説。NHKでスペシャルドラマ化されるみたいですね。ストーリーはシンプルなので、映像化されるときっと面白いと思います。
◆月の上の観覧車 (荻原浩)
直木賞を取った「海の見える理髪店」は表題作の出来が群を抜いていたが、こちらは粒が揃った短編集という印象。人生の節目や終盤を迎え、主人公は幸福と言えない、大切なものを喪失し、後悔もしている。でも、過去は過去として一歩踏み出そうともしている。それぞれの主人公に「頑張れ」「ご苦労様」と声をかけたくなる秀作。
◆ある奴隷少女に起こった出来事 (ハリエット・アン ジェイコブズ)
この本を文庫化し、今年の「新潮文庫の100冊」に選んだ新潮社に拍手。
子供が売られる、主人から関係を強要される、奴隷であることはどういうことか実感として伝わってきた。それにしてもフリントはストーカー以上に変質的、奴隷の身分で彼をとことん嫌いぬいたヒロインに敬意を表したい。文章が読みづらいのは原文のせいか、それとも訳者のせいか、機会があれば、原作を読んでみたい。
新潮文庫の次はカドフェスに挑戦予定、とりあえず2冊。
◆きりこについて (西加奈子)
ぶすだとか、セックス好きだとか、際どい表現もありながらの、シンプルでストレートなメッセージ。なんとなく元気になれる小説です。外見も、中身も、人生も、自分のものは自分のもの、思いのままに生きようよ。ってことでいいのかな。
◆DIVE!! 上 (森絵都)
アニメを見ているので、ぜひ原作も、と。シドニー・オリンピックといったら高橋尚子じゃないですか。結構古い作品なんですね。とにかく下巻へ。
◆騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編(村上春樹)
上巻を読んでから、少し時間が空いてしまった。
イデアにメタファー、主人公の不思議な体験。分からないことは分からないままでほったらかし。あらすじをたどったところで、この話の意味とか面白さとかは語れない。
延々展開される村上ワールドに満腹。
◆かがみの孤城(辻村深月)
不登校の中学生を主人公とした、ミステリー仕立てのファンタジー。
ミステリー・パートは序盤から伏線がちりばめられていたので大体想像がついたが、普通に小説としてとても良いお話だった。
不登校になってしまう中学生の心の事情、無自覚な加害者、無神経な担任教師、自分の子供が理解できずに戸惑う肉親、辻村さん、どうして?と思うくらいに心理描写が真に迫っている。その中で、どう考えても只者ではない喜多嶋さんの存在、そうきましたか。辻村さん、あざといけど、うまい。
◆月の満ち欠け(佐藤正午)
大学生の三角哲彦と不倫関係にあり、不慮の事故で命を落とした人妻、正木瑠璃が、三角に会いに何度も転生する話。彼女の愛ゆえの転生は、どこかおどろおどろしい。歳をとった三角の眼前に、小学生が「会いたかった」と現れるのだから、本人も周囲も面喰らいますよね。
時系列無視で昔話が輻輳する、この分かりにくさが、物語の不思議な雰囲気を醸成し、いったい何が真実なのかと読者を考えさせる。第157回直木賞受賞作。
◆あとは野となれ大和撫子(宮内悠介)
宮内さんは「彼女がエスパーだったころ」「アメリカ最後の実験」に続き3冊目。前の2冊と違って、疾走感のある、エンタメ要素満載の一作。
干上がったアラル海の上にできた架空の小国アラルスタンを舞台にした、全然日本人っぽくない日本の少女ナツキらの政治活劇。あまりなじみのない旧ソ連の中央アジアの政治力学を確り押さえつつもラノベっぽい軽い印象の作品。
直木賞は残念。でも宮内さんが直木賞を取るとしたらこれではないのではと思った。
ラノベを2冊。
◆エロマンガ先生(9) 紗霧の新婚生活 (伏見つかさ)
うーん、高校生が中学生にプロポーズ、だんだんバカバカしい展開になってきた。。。
まだ続くみたいですね。京香さんの秘密もさほどのことはなかったし、アニメの最終回でやったところまでがピークだったような。
◆なれる!SE16 2年目でわかる?SE入門 (夏海公司)
シリーズ完結。この話、大好きだっただけに終わっちゃくなんて寂しい。アニメ化されるんじゃないかと期待していただけに残念。
それにしても最後に工兵くんが選んだ道が意外というか、ありえなすぎ。夏海さん、SE残酷物語、SEにだけはなっちゃいけないなどと言いながら、SE辞めてラノベ作家になったくせに、SEという職業は愛しているんですね。
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