ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

22年9月に読んだ本

2022-10-11 07:37:10 | 読書
9月も低調で10冊しか読めませんでした。
でも、なんとか「新潮文庫の100冊2022」のラスト3冊を読めました

◆つめたいよるに (江國 香織)
江國さんのショートショート。彼女の書く話って、ややこしい男女のあれとか、眉を顰めないと読めない話も多いのだけど、これは怪談っぽいものあり、何気ない日常の一コマあり、読みやすい。

◆樽とタタン (中島 京子)
コミュ障?の幼年時代、唯一の楽天地だった喫茶店に集う妙な人たち。子供の頃の記憶ってあいまいだし、誇張され美化されて上書きされているし、理解力がなくって妙な解釈になってしまっていたり。今訪ねても、それはもうそこにない。夢、幻か?そんなあれこれが面白い話を紡ぎだす。

◆夜空に泳ぐチョコレートグラミー (町田そのこ)
これ、町田さんのデビュー作?すごすぎます。ひりひりするような、いずれ劣らぬ5つの短編が連作になっています。でもやっぱり表題作が一番かな。晴子の決心、それを応援するしっかりものの啓太の気持ちはちょっぴり淡い恋心が入っているのかな。「海になる」は最後の最後でそうきましたか。

◆東京ロンダリング (原田ひ香)
初原田ひ香さん。ずっと積読になっていた本、やっと読んだ。家のロンダリングなんて、そんな商売成り立つのだろうか?そしてロンダリングするのに特別な能力や特性がいるのだろうか。なんかよくわからないけど、すごい無気力っぷりのりさ子が何とか立ち直る様はそれなりに面白かった。真鍋夫人の下町風のおせっかいっぷりと恋する男の行動力はすごい。

◆絞め殺しの樹(河崎 秋子)
直木賞候補作。北海道の東、二つ突き出た半島、岬のうち、知床はよく話題になるけど、根室のことは意外と知らない。釧路が都会に思えるほどの地の果てだったのですね。一部は吉岡家に奉公に出されたミサエの苦労話。二部は母の記憶もないままに養子にだされたミサエの子、雄介の苦労話。厳しい暮らしがそこで暮らす人々の人間性を蝕んでいるのか、あまりに暗い話、読後感が重い。

◆剣持麗子のワンナイト推理(新川 帆立)
「元彼の遺言状」でドラマ化された話が3つ、されなかった話が2つ。剣持麗子はもちろん綾瀬はるかに脳内変換して読みました。ちなみに篠田は出てきません。麗子さん、金金言っている割にはタダ働きばかり、結構人がいいよね。謎解きよりも麗子のキャラを楽しむものと思って読んだのであまり気にはなっていないのですが、でも最初の事件は未解決、最後のも後味が悪いというか、続編あるのかな。

◆夜に星を放つ(窪 美澄)
窪美澄さんの直木賞受賞作。窪さんは割と好きな作家さんだけど「晴天の迷いクジラ」「ふがいない僕は空を見た」「よるのふくらみ」のような作品のイメージが強いので、それが一転正統派のお話。別れとその喪失感を題材に、星座でつないだ静謐な短編連作、それぞれがいい話ではあるんだけど、らしくないような、、、直木賞としても前回の「黒牢城」「塞王の盾」が受賞して「同志少女よ敵を撃て」が取れなかったときに当たってたらどうなってたんだろうかと思うとうーん。

◆女人入眼 (永井 紗耶子)
大河ドラマと同時進行の鎌倉時代もの歴史小説、大河のキャストに脳内変換して読みました。政争もあくまでバイオレントな鎌倉と、これが政治と言わんばかりの京都のやり方。大姫入内の準備のために京都から遣わされた女房から見た尼御台・北条政子のパラダイムシフト的圧倒的存在感が際立ってて面白かった。

◆100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集(福井県立図書館)
自分が想像がつく間違いも、全く想像外の間違いも。笑えると同時に、司書の方々のご苦労と本に対する造詣と愛が感じられました。

◆QED 神鹿の棺 (高田 崇史)
このシリーズ、第一作の次にいきなり最新作を手に取っちゃいました。私もたいがいな歴史ヲタクですが、なるほどこれはマニアック。天孫側の鹿島神宮、香取神宮も、出雲大社同様怨霊を祭る社だったとは、参拝しているのに全く気が付きませんでした。このシリーズ、かなり癖強ではありますが、興味があるものをゆるゆる読んでいきたいと思います。
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