ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

21年3月に読んだ本

2021-04-05 13:13:13 | 読書
3月は頑張って19冊!
昨年のフェア、「ナツイチ」「カドフェス」から9冊。これで「カドフェス」は残り11冊となりました。6月の今年のカドフェス発表前に全部読めるかな?

◆渋沢栄一 人間の礎 (童門 冬二)
歴史好きを自認していながら、実は渋沢栄一の前半生ってあまり知らなかったんですよね。大河ドラマの予習になりました。

◆空気の発見 (三宅 泰雄)
◆数学物語 (矢野 健太郎)
「空気の発見」は昭和37年に、「数学物語」はなんとこれはなんと戦前に書かれた本。古典ですなー。
科学や数学の歴史を学ぶことは、その精神を学ぶこと。こういうのを子供の頃に読んでおけば、もっと理数系を好きになれていたかも。

◆ゴーストハント2 人形の檻 (小野 不由美)
シリーズ第一作は心霊現象と見せかけて実は、みたいな展開でしたが、第二作はしっかりホラーしてました。なかなか面白かった。小野不由美さん、こういうのも書けるんですね。

◆ファントム・ピークス (北林 一光)
犯人?が獣であることは最初から分かってしまっているので、、、本文中にも言及があった通り、元ネタは吉村昭さんの「熊嵐」でしょう。現代・フィクション版「熊嵐」。ハラハラドキドキで一気読み。

◆ひゃくはち (早見 和真)
恋愛もののような始まり方でしたが、基本的には高校の名門野球部の青春物語。
監督や先輩の暴力は日常、高校球児も、セックスはともかく、普通に飲酒喫煙しているところに時代を感じる。(私も高校はバレー部でしたが、飲酒、喫煙、そういえばしてたし、私立の名門校の監督は試合会場でもミスした選手を殴ってた。)高校球児も8年経ったらただの人、面白くて一気読みはしたものの、なんだかなーと思う部分はあり。

◆鍵のかかった部屋 (貴志 祐介)
嵐の大野君でドラマ化されたやつですね。貴志さんの作品とは知らなかった。シリーズものだったというのも知らなかった。東野圭吾さんのガリレオシリーズの密室版みたいな、ただひたすらに密室の謎解きがテーマ。表題作の「鍵のかかった部屋」が面白かった。

◆地下街の雨 (宮部みゆき)
「地下街の雨」「決して見えない」「不文律」「混線」「勝ち逃げ」「ムクロバラ」「さよなら、キリハラさん」、いずれ劣らぬホラー・ミステリーの短編が6編。
単行本が94年の刊行だから、スマホどころか携帯電話も普及する前に書かれたもの?古さは否めないが、十分に楽しめました。「不文律」だけ、ちょっと意味が分からなかったけど。

◆大泉エッセイ 僕が綴った16年 (大泉 洋)
長いこと積読になっていた本。この程度の文章なら自分にも書けるんじゃないか、画は自分の方がうまいんじゃないかと思ってしまう。
私、大泉洋さんに似ていると言われることがたまにあるのですが、改めて著者に親しみが持てました。

ミステリーを5冊。
◆メインテーマは殺人 (アンソニー・ホロヴィッツ)
一昨年の海外ミステリーの話題作、翻訳物はあまり読まないもので、かなり遅くなりましたがようやく手に取りました。
老婦人が自分の葬儀の手配をした日に殺害されるという、インパクトのあるプロローグでつかみはOK!トリックをこねくり回すのではなく、直球勝負の犯人あてのストーリーの面白さ。語り部著者のホロヴィッツさん自身の一人称、ホームズ役の元刑事は頭は切れるけど相当に自己中な変わり者でキャラも立ってる。反発しあいながらも惹かれていく二人の掛け合いが面白い。

◆死神の棋譜(奥泉 光)
夏尾、天谷、そして山木と奨励会関係者が殺害される連続殺人事件、うーむ、これは、将棋教とか地下神殿とか、オカルトものか将棋ファンタジーと思わせておいて、犯人というか、すべての黒幕は間違いなくあの女なのだが、男どもが骨抜きにされているので、主人公の北沢を筆頭に、人の言うことがどこか信用できない。この話自体が不詰みの詰将棋のような、後味の悪さ。
私自身、著者の意図を余すところなくくみ取れたとはとても思えないが、さすが大御所、芥川賞作家の奥泉さん、すごいものを書くなー。

◆楽園とは探偵の不在なり(斜線堂 有紀)
二人以上の殺人を働いた人間を地獄の業火で焼く、そんな天使が存在する世界。特殊設定の環境下、外界と連絡を遮断された孤島の館で起きる連続殺人。蝙蝠みたいな姿のおおよそ天使とはかけ離れた風袋の天使の存在という設定の面白さと、二人以上殺したら地獄行きなのになぜ5人もの連続殺人が起きたのかという本格ミステリのトリックが見どころ、読みどころ。
天使の存在が決して犯罪の抑止力になりえなかった、むしろ逆に働いてしまったというのも皮肉が効いている。

◆法廷遊戯(五十嵐 律人)
伏線の無辜ゲームと美鈴に対するストーカー行為が、第二部でなるほどとつながる。終盤にきて急にペースアップ、ラストもうまくまとまりました。「このミス」等のランクインは伊達じゃない、面白かった。楽しみな作家さんが登場しました。次回作も期待してます。 

◆名探偵のはらわた(白井 智之)
「はらわた」って名前だったのね。白井さんの作品は気持ち悪くなって途中で読めなくなってしまうこともあったのだが、この作品は大丈夫だった。といって面白かったかと言えば、それは別問題。着想は悪くないのだが、本格とはいえあまりに無理目な設定に、何度か寝落ちした。ここまで読んだんだからという思いでなんとか読了。まあ、この人しか書けない、独特の作風ではある。

直木賞受賞作やら、本屋大賞ノミネート作品やらを4冊。
◆心淋し川(西條 奈加)
小説の舞台になった千駄木は文京区出身なので土地勘あり、東大ができて文化の香りがする町になりましたが、明治の初期までは江戸のはずれのこんな場所だったのですよね。どぶ川沿いに自然発生的にできた集落を題材にした短編連作が6編。訳ありでここに流れ着いた人たちのしんみりとした、「人生、大変だけど、それほど悪くもないんじゃね」と思わせるお話がそれぞれ味わい深い。各話で脇役だった差配さんが主役になる最後の「灰の男」が謎解き、伏線回収になっていてうまい。さすがの直木賞受賞作。

◆八月の銀の雪(伊与原 新)
地球の核、クジラの歌、伝書鳩、珪藻アート、風船爆弾、疎外感に悩む主人公が出会う人とその人にまつわる趣味、科学。読んで心地の良い短編が5編。それぞれの話に関連はないけど、底に流れるテーマは一緒。

◆滅びの前のシャングリラ (凪良 ゆう)
1か月後に地球に隕石が衝突、人類が滅びる。死を前にして絆を取り戻す、いじめられっ子とそのヤンママ、生き別れていたやくざ崩れの父、いじめられっ子の初恋の美少女同級生の4人と孤独な歌姫を主人公にした短編連作。設定は伊坂幸太郎さんの「終末のフール」と同じたけど、よりエンタメよりの作品、面白いことは面白くて、数時間で一気読みできた。
コロナ禍の今に少しだけ情景が被る。人間の本質はあさましい。自分は、死ぬその時まで、当たり前の日常を過ごすことのできる人間でありたいと思った。

◆この本を盗む者は(深緑 野分)
著者の本は「戦場のコックたち」「ベルリンは晴れているか」に続いて3冊目だが、今度のは今までと全然違う、森見さんの「熱帯」や知念さんの「ムゲンのi」のようなファンタジー。膨大な蔵書を所有する御倉館の、その蔵書を愛するあまり、本が盗まれると物語の世界に引き込まれるという呪いをかけたたまきばあさん、その孫娘の深冬が相棒の真白と発動した物語の中の世界を疾走する。発想は面白いけどストーリーがけっこう分かりにくい。評価が分かれる作品なのではないでしょうか。

◆小説家になって億を稼ごう (松岡圭祐)
今は2か月に1冊のペースで「高校事変」を書き続ける松岡さんの小説家指南書。なるほど小説はこうやって書くのか。うん、これなら書けそうな気がする。第二部はともかく、第一部の小説の書き方は大変面白く読ませていただいた。
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