ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

1月に読んだ本(2016年)

2016-02-01 07:54:39 | 読書
今月は24冊、正月休みがあったので、1日1冊を意識していたのですが、新年会ラッシュで中だるみしました。

まずはミステリー、「このミス」などにランクインした作品を中心に読んでみました。

◆死と砂時計 (鳥飼否宇)
死刑囚ばかりの刑務所内という閉鎖空間でのミステリー。このままでは終わらないだろうなーとは思ったけど、最後にそう来ましたか。

◆血の弔旗(藤田宜永)
最初っから犯人が分かっている、「刑事コロンボ」系のミステリー。
15年の歳月が徐々に謙治らを追い詰めていく。
戦後から高度成長期まで、昭和史みたいな感じで話が展開していく、事件とか、ヒット曲とか、なかなかに昭和のなつかしさを感じさせる小説でした。

◆ミステリー・アリーナ (深水黎一郎)
本格ミステリ・ベスト10の第一位作品。
なるほど、ミステリの王道の「閉ざされた館の連続殺人」、全編にちりばめられた伏線からミステリ・ヲタクが真相にチャレンジする、大金と命がかかった争奪戦。
ラストはともかく、なるほど本格ミステリでした。

◆キャプテンサンダーボルト(阿部和重,伊坂幸太郎)
早いテンポでありえない話が展開していく、ハラハラドキドキ、エンタ-テインメント作品としてとても面白かった。
伊坂幸太郎の作品はいくつも読んでいるのですが、阿部和重さんは未読なので、阿部さんもこういう作風の方なのかな。
戦隊ヒーローもの、なつかしいです。

◆ZOO〈2〉 (乙一)
「血液を探せ」「冷たい森の家」「Closet」「神の言葉」「落ちる飛行機の中で」「昔夕日の公園で」、多様な短編が6編、不可思議なライトミステリーでした。

◆十角館の殺人 (綾辻行人)
プロローグが、犯人が真実を書いた紙を瓶に入れて海に流すシーンだし、孤島の屋敷が舞台だし、これはもう、アガサ・クリスティの名作「そして誰もいなくなった」のオマージュだなと。
でも、もうひとひねりしてあった上に、並行して外側でも探偵役が動くという仕掛け、なおかつ、河南くんがコナンだったので、守須くんは、、と思わせるミスディレクションがうまい。
綾辻さんのデビュー作はすごい王道のミステリーでした。

その他、いろんな小説を読みました。

◆アイネクライネナハトムジーク(伊坂幸太郎)
いつもの伊坂さんらしからぬ、恋愛をテーマにした短編連作、「アイネクライネ」「ライトヘビー」「ドクメンタ」「ルックスライク」「メイクアップ」「ナハトムジーク」6篇。
時間の経過をうまく織り込んでいることと、最後の「ナハトムジーク」でいろんなものがつながってくるところはいつもの伊坂さんって感じ。
でも、ほのぼのとしたお話で、よい意味で裏切られました。藤間さんの話、自分に似ているので、身につまされます。

◆美しさと哀しみと (川端康成)
川端康成の代表作と言ったら、普通は「伊豆の踊り子」か「雪国」なのだろうが、英国の新聞、ガーディアン紙が選んだ「死ぬまでに読むべき1000冊」に名前があった作品は、この「美しさと悲しみと」でした。
妻子ある作家、大木と16歳の少女・音子の悲恋が24年の時を経て再燃しようとする。そのとき音子と同性愛の間柄にあった弟子のけい子がとった行動は、、、
魔性の女?京都の美しい四季を背景に繰り広げられる、なんとも美しくも、哀しく、妖しい愛憎劇。
「伊豆の踊り子」よりも、こっちがノーベル文学賞作家の真髄なのかも。

◆坊っちゃん (夏目漱石)
嵐の二宮くん主演のTVドラマを見て、「あれ、こんな平凡な話だったっけ?」と思ったのが再読したきっかけ、おかげでこの小説の面白さ、新しさ、すごさを再発見することができました。
日露戦争に勝利し、一等国の仲間入りを果たした日本、拝金主義とか、出世欲とか、世の中の価値観も時代につれて変化する。夏目漱石は古きよき時代の体現者として坊ちゃんとキヨを描いたのでしょう。
帝大出の赤シャツがエリートの本分を忘れ文明開化の行き届かぬ田舎で私利私欲をむさぼる。それをやっつける坊ちゃんと山嵐の快刀乱麻の活躍、文句なしの傑作です。

◆いちご同盟 (三田誠広)
不治の病をかかえた直美と、その直美を必死で励ます野球少年、徹也。そして勉強にも、スポーツにも、音楽にも中途半端で打ち込めず、不安や劣等感から現実逃避の自殺に漠然と甘美な想いを感じている良一。
この3人の友情の物語。直美のかかえる厳しい現実に打ちのめされながら、徹也に好意とライバル心を感じながら、良一の心に前向きに生きる意欲が芽生えていく、そんな成長物語でした。
アニメの「四月は君の嘘」は、これが元ネタか。

◆猫を抱いて象と泳ぐ (小川洋子)
変わったタイトルなんでどんな話かなと思ったが、チェスのお話とは。
無口で孤独な少年がそのチェスの才能をからくり人形の閉鎖空間の中で開花させる。チェスというゲームを心の対話、魂の表現の手段にまで昇華させた「盤下の詩人」の青年の一生。
静かな、ひっそりとした物語。

◆ブンとフン (井上ひさし)
昭和の匂いのする、とてもばかばかしい小説でした。

◆サラは銀の涙を探しに (サラの柔らかな香車)(橋本長道)
「サラの柔らかな香車」がすごく面白かったので続編も読んでみた。将棋に限らず、スポーツでも何でも、素質ってのはあるもんだけど、、、まあ、元棋士だった著者にしかわからない感覚で書かれた小説です。

◆だれもが知ってる小さな国(有川浩,村上勉)
佐藤さとるさんの「誰も知らない小さな国」は、全く知りませんでした。
でも、メルヘンですね。なんとなく、ジブリ映画の「借りぐらしのアリエッティ」を思い出しました。

◆ハケンアニメ!(辻村深月)
自分はアニヲタなので、大変面白く、感動して読ませていただきました。
仕事にかける愛情、情熱は程度の差こそあれどの業界でもいっしょなのでしょうけど、アニメは格別ですよね。だから我々が魅了されるのでしょう。辻村さん、よく取材されていると思います。
私も、秩父市とかに聖地巡礼行った口なので、第三章では少し涙が出てしまいました。

◆チームII (堂場瞬一)
「チーム」「ヒート」に続く、天上天下唯我独尊ランナー・山城悟の第3弾。
あの山城クンももう30歳、「ヒート」でマラソン日本最高記録を出して以来、鳴かず飛ばずだったんですね。ピークを過ぎた天才の「こんなのは自分じゃない」と思う気持ち、ランナーの本性、わかります。
そういう風にしか立ち回れない彼を支援し続ける、浦をはじめとする7年前の仲間たちが熱いです。これで終わり?それとも山城がどんな走りをしたかは、次回作でわかるのかな?

◆チーム (堂場瞬一)
「チームⅡ」を読んだ勢いで再読。
箱根駅伝を描いた小説というと、三浦しをんさんの「風が強く吹いている」が有名だけど、自分は、市民ランナーとして、そして駅伝ファンとして、断然こっちが好き。何といってもリアリティがある。
自分も市民レースの駅伝に出ることがあるけど、あれは特別、心が熱くなる。

ライトノベルを4作。

◆ソードアート・オンライン プログレッシブ (3) (川原礫)
久々のSAO、巷ではプログレッシブの4巻がでているようですが、1年遅れで3巻を読みました。
キリト、孤高のビーターって感じじゃなくて、ラブコメ化すらしてますね。ま、面白きゃいいか。

◆業物語 (西尾維新)
オフシーズンは短編集みたいですね。
忍ちゃんがキスショットになった時のエピソード「あせろらボナペティ」は600年前の話、「かれんオウガ」は火憐ちゃん高一の夏、ということは暦くんが危機を脱した卒業後の夏、「つばさスリーピング」は暦くんたちが高三の秋、大ピンチだったころの話。
前作の「愚物語」は3話全部後日譚だったので、「つばさスリーピング」のみが本編がらみ?
個人的には委員長の冒険譚をまだまだ聞きたいところですが。ところで、まだ続くみたいですね。これ。

◆掟上今日子の退職願(西尾維新)
ミステリーと思わずに、ライトノベルとして読んでます。
シリーズ第五弾は軽めの短編集。
タイトルからしてそろそろ最終話?と思ったら、そこは西尾維新さん、全然違った。次作の「掟上今日子の婚姻届」も近々発刊されるみたいです。いつまで続く?このシリーズ。ドラマの最終話とかは、あれはあれで全然違う話ってことなのだろうか、うーん。

◆なれる!SE (14) 世にも奇妙な?ビジネスアライアンス (夏海公司)
今回は短編集。でも今回のメインストーリーは何といってもエピソード1で、あとはおまけみたいなもの。
主人公が次郎丸縁と梅林とは!でも、アズマ電機の話、実際にこんなことあるかもって思えて、ちょっとブラックで怖かったです。

ノンフィクションを2冊。

◆帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い(朴裕河)
私の祖父は日中戦争に応召され北京に駐屯していた。その祖父から一度だけ慰安所の話を聞いたことがある。
この本に書かれていることは祖父の話とも符合する。日韓の市民団体が主張する「軍が強制連行した性奴隷」でもウヨクの人がい言う「民間の娼婦」とも違う、日本の帝国主義政策が必然的に生み出したもの、これが歴史の真実なのだと思う。
元慰安婦を置き去りに右翼対左翼の政治問題となり、解決不能と思われたこの問題が、安倍・朴両国首脳会談で電撃合意された。
歴史はこの本の著者の希望するとおりの方向に進んでいる。日本人必読の良書。

◆漱石先生ぞな、もし
反骨の歴史家、半藤一利さんの漱石本。
この本を知ったきっかけは宮崎駿さんとの対談本「腰抜け愛国談義」、半藤さんって、漱石の縁戚(奥様が漱石の長女の娘)なんですね。晩年の義祖母と面識があったそうで、興味深いです。
漱石本なのですが、歴史家らしく近代史的な視点で書かれていて面白い。「三四郎」「草枕」再読してみます。


ビジネス書を1冊。

◆図解入門業界研究最新アパレル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本(岩崎剛幸)
6年ぶりくらいにこちらの業界のお仕事に携わることになったので、復習に。



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