4月は19冊、まずまず頑張りました。
◆フィッシュストーリー(伊坂幸太郎) (新潮文庫)
「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」、伊坂さんらしい、何とも人を喰ったような、それでいて少しほのぼのとさせられる軽めの短編が4編。
表題作は、売れないロックバンドの最後の曲に女性を救う正義感の男、ハイジャック犯を叩きのめす正義の味方に、インターネットのセキュリティを守った女性、不思議な連鎖というか、これを因果関係としていいのか。
ポテチはほのぼのとした親子愛が良い。
◆カフーを待ちわびて(原田マハ) (宝島社文庫)
原田マハさんのデビュー作にして、第一回ラブストーリー大賞受賞作。
南の島の話、好きなんですよねー、自分。
なんとなくこーかなーなんて思いながら読んでいたのですが、最後にそう来ましたか。おばぁ、良いですねー。
読後感爽快、ミステリーとしても、ラブストーリーとしても、とっても上質な作品でした。
◆万能鑑定士Qの事件簿 I・Ⅱ(松岡圭祐) (角川文庫)
何でもわかってしまうスーパーヒロイン、美貌の女性が圧倒的な頭脳で謎を解くパターンはGOSICKのビクトリカと一緒、ということは小笠原くんが九条一弥ポジション。
完璧な偽札の意外な真相、政府までが騙されてしまったということか。良くできたミステリーでした。
さまざまな手がかりがほとんど真相とは無縁で、そのいくつかが意外な形でつながっていく。ヒロインの活躍よりも、その仕掛けに感心してしまいました。
続編も読んでみようかな。
◆旅猫リポート(有川浩) (講談社青い鳥文庫)
有川さん初の児童文学ということで、漢字に一々ルビがふってあるのが読みづらかったけど、内容は十分大人の鑑賞に堪えられる話でした。
悟くんに死亡フラグが立ってしまっていたので読み続けるのがつらかったけど、ホントに良いお話で、泣かされました。
私にも、心を通わせている愛犬がいるので、ナナには感情移入してしまいました。
◆ドミノ(恩田陸) (角川文庫)
恩田さんの作品は「夜ピク」「ネバーランド」に続き3作目だけど、恩田さんらしからぬ、テンポの速いコメディ、なぜか、奥田英朗さんの作品と勘違いして読んでました。
東京駅を舞台にした老若男女27人+1匹のドタバタ劇がオムニバス風に展開し、やがて収斂していく。
したたかな麻里花ちゃんの下剤入りカルピスやえり子の姐さんぶり、夫々のキャラが立っていて、読んでいて楽しい。
◆蜩ノ記(葉室麟) (祥伝社文庫)
清廉潔白、凛として武士の本分を貫き、己の運命を受け入れ、淡々と死を迎えようとする戸田秋谷と、その監視役ながら秋谷の生き様に感化を受け、自らも武士の本分を貫く檀野庄三郎。
秋谷の妻子や幽閉先の村人、かつて秋谷が守った側室の松吟尼、様々な人の人間模様を描きながらミステリー仕立てで話が進展していく。
かつてのライバル、家老の大蔵兵衛門の意外な一面や若き日の松吟尼との想い、様々な側面を見せながら、重厚な話は秋谷の切腹を持って幕を閉じる。
直木賞受賞作にふさわしい、重苦しくも清々しいお話でした。
◆ZOO〈1〉(乙一) (集英社文庫)
初乙一さん。中田永一さんの「百瀬こっちを向いて」は読んだけど、全然違うんですね、多才です。
ちょっと現実味のない、寒々とした「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」「SO-far そ・ふぁー」「ZOO」に、ちょっといい話系の「陽だまりの詩」。
「SEVEN ROOMS」の不気味さと強さ、「陽だまりの詩」のほのぼのさが良かった。
◆ぼくは勉強ができない(山田詠美) (新潮文庫)
再読。
世渡りとか空気とか、そういうものを考えずに、実に自然に生きてますよね、秀美くん。そうしていろんなことを学んでいる。
やはり圧巻は初読の時と同様「賢者の皮むき」。自分を作っているのはみな一緒。でもそれが、自分の思う自分になるように努力をするのか、他人にどう見えるかを気にするのかが秀美と山野舞子の違いなのかな。
◆凍える牙(乃南アサ) (新潮文庫)
ずっと昔に読んだことがあるような気がしてたのですが、やはり再読でした。
1996年の直木賞受賞作、ということは今から20年近く前、その頃の40代半ばということは、滝沢は団塊の世代ですね。いたよね、こういう男尊女卑親父。
でも、徐々に音道巡査との間に築かれていく信頼関係が面白い。疾風、かっこいいですねー。他にいい男が出てこない小説で、ひときわ孤高で、凛として、忠実で、覚悟があって。事件は勝手に解決してしまう感があり、疾風が主人公と思って読みました。
◆ほかならぬ人へ(白石一文) (祥伝社文庫)
初白石さん、直木賞受賞作ということで読んでみました。「ほかならぬ人へ」、上質で深い恋愛小説という感じもしますが、明生が煮え切らないのでいらいらしました。あと、人が死に過ぎ、韓国ドラマドラマみたい。「かけがえのない人に」は、ひどい話だけど、共感できました。優しくて安全な、どっちかと言えば好き程度の男と結婚を前に再燃する元上司との関係、気づかぬうちに心の奥底で燃え広がる恋愛感情、でも最後に黒木は身を引いちゃう、みたいな。こっちの方は正真正銘大人の恋愛小説。
読了日:4月22日 著者:白石一文
http://bookmeter.com/cmt/46754764
◆フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン(小路幸也) (集英社文庫)
毎年1冊、楽しみにしている文庫本化、今回は番外短編集でした。時代もバラバラ。
年に一度なので、どうしても細かい部分を忘れてしまっている。復習にちょうどよかったかも。紺と亜美の出会いや我南人と秋実の出会い、そんなことがあったんですか。
一昨年のドラマの配役を思い浮かべながら読みました。
◆あと少し、もう少し(瀬尾まいこ) (新潮文庫)
いじめられっ子体質の設楽、ワルの大田、お調子者のジロー、自分の殻に閉じこもっている渡部、部長の桝井を慕う俊介。他人には見せない中学生なりの想いと葛藤を持ちながら、桝井を中心に寄せ集めがチームとして纏まっていく。
やはり駅伝は特別、団体競技。勝たねばならない、でも勝てばいいのではない。
6区は桝井くんって、上原先生、分かっているなー。
リアリティがある分、私は三浦しをんさんの「風が、」よりこっちの方が断然好き。
◆うそうそ(畠中恵) (新潮文庫)
「しゃばけ」シリーズ初の長編。
盛りだくさんのドタバタ劇って感じ。
◆ダブル・ジョーカー (角川文庫)
結城中佐&D機関シリーズ第二弾。
「ダブル・ジョーカー」「蠅の王」「仏印作戦」「柩」「ブラック・バード」「眠る男」の6編。
表題作の「ダブル・ジョーカー」も良かったけど、「魔術師」と呼ばれた若き日の結城中佐を描いた「柩」が秀逸。
◆木暮荘物語(三浦しをん)(祥伝社文庫)
3年放っておかれた彼につきまとわれる花屋の店員、その彼を居候させる無為に生きる花屋の女性客。不妊を知って男とやりまくる女子大生、それを覗く童貞男、男根の形をした突起がきっかけでやくざと付き合うことになったトリマー、そして70歳にもなってヤリたくてたまらない大家のおじいさん。
少し変な性愛体験をする人たちを、安普請ゆえに結びつけるぼろアパート小暮荘。実に奇妙な関係ながら、そこには都会の孤独はない。
私も学生の頃、国立市でこんな感じのところに住んでいたことがあります。懐かしいです。
◆僕はいかにして指揮者になったのか(佐渡裕) (新潮文庫)
天才ですね。才能です。
それが人を引き付けたのか。
◆まる子だった(さくらももこ) (集英社文庫)
集英社文庫のものは「もものかんづめ」「さくら日和」に続き3冊目だが、前作とは違って、さくらももこが「まる子」だったころのエッセイ12編。おまけに長いあとがき(というよりも近況)、糸井重里さんとの意味不明の対談がついている。
『うわの空』の詳細、やすみたがり屋、親の離婚話の思い出、腹痛の恐怖、やはりさくらももこはちょっといい話よりも自虐ネタの方がキレが良くて面白い。
TVのちびまる子ちゃんそのものがここにいるわけだが、これは真実なのか、創作なのか。でも本当にこういう人だったら、ここまで成功しないよね。
◆会社を変える分析の力(河本薫) (講談社現代新書)
著者の講演会に参加したのが本書を読むきっかけ。データ分析はただのツールです。
目的はビジネスの価値を創出し、仕事に貢献することです。
データ分析の目的の本質を言い当て、文系の私にもデータ・サイエンティストは何をなすべきかをわかりやすく解説した、企業人必読の良書と思います。
◆フィッシュストーリー(伊坂幸太郎) (新潮文庫)
「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」、伊坂さんらしい、何とも人を喰ったような、それでいて少しほのぼのとさせられる軽めの短編が4編。
表題作は、売れないロックバンドの最後の曲に女性を救う正義感の男、ハイジャック犯を叩きのめす正義の味方に、インターネットのセキュリティを守った女性、不思議な連鎖というか、これを因果関係としていいのか。
ポテチはほのぼのとした親子愛が良い。
◆カフーを待ちわびて(原田マハ) (宝島社文庫)
原田マハさんのデビュー作にして、第一回ラブストーリー大賞受賞作。
南の島の話、好きなんですよねー、自分。
なんとなくこーかなーなんて思いながら読んでいたのですが、最後にそう来ましたか。おばぁ、良いですねー。
読後感爽快、ミステリーとしても、ラブストーリーとしても、とっても上質な作品でした。
◆万能鑑定士Qの事件簿 I・Ⅱ(松岡圭祐) (角川文庫)
何でもわかってしまうスーパーヒロイン、美貌の女性が圧倒的な頭脳で謎を解くパターンはGOSICKのビクトリカと一緒、ということは小笠原くんが九条一弥ポジション。
完璧な偽札の意外な真相、政府までが騙されてしまったということか。良くできたミステリーでした。
さまざまな手がかりがほとんど真相とは無縁で、そのいくつかが意外な形でつながっていく。ヒロインの活躍よりも、その仕掛けに感心してしまいました。
続編も読んでみようかな。
◆旅猫リポート(有川浩) (講談社青い鳥文庫)
有川さん初の児童文学ということで、漢字に一々ルビがふってあるのが読みづらかったけど、内容は十分大人の鑑賞に堪えられる話でした。
悟くんに死亡フラグが立ってしまっていたので読み続けるのがつらかったけど、ホントに良いお話で、泣かされました。
私にも、心を通わせている愛犬がいるので、ナナには感情移入してしまいました。
◆ドミノ(恩田陸) (角川文庫)
恩田さんの作品は「夜ピク」「ネバーランド」に続き3作目だけど、恩田さんらしからぬ、テンポの速いコメディ、なぜか、奥田英朗さんの作品と勘違いして読んでました。
東京駅を舞台にした老若男女27人+1匹のドタバタ劇がオムニバス風に展開し、やがて収斂していく。
したたかな麻里花ちゃんの下剤入りカルピスやえり子の姐さんぶり、夫々のキャラが立っていて、読んでいて楽しい。
◆蜩ノ記(葉室麟) (祥伝社文庫)
清廉潔白、凛として武士の本分を貫き、己の運命を受け入れ、淡々と死を迎えようとする戸田秋谷と、その監視役ながら秋谷の生き様に感化を受け、自らも武士の本分を貫く檀野庄三郎。
秋谷の妻子や幽閉先の村人、かつて秋谷が守った側室の松吟尼、様々な人の人間模様を描きながらミステリー仕立てで話が進展していく。
かつてのライバル、家老の大蔵兵衛門の意外な一面や若き日の松吟尼との想い、様々な側面を見せながら、重厚な話は秋谷の切腹を持って幕を閉じる。
直木賞受賞作にふさわしい、重苦しくも清々しいお話でした。
◆ZOO〈1〉(乙一) (集英社文庫)
初乙一さん。中田永一さんの「百瀬こっちを向いて」は読んだけど、全然違うんですね、多才です。
ちょっと現実味のない、寒々とした「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」「SO-far そ・ふぁー」「ZOO」に、ちょっといい話系の「陽だまりの詩」。
「SEVEN ROOMS」の不気味さと強さ、「陽だまりの詩」のほのぼのさが良かった。
◆ぼくは勉強ができない(山田詠美) (新潮文庫)
再読。
世渡りとか空気とか、そういうものを考えずに、実に自然に生きてますよね、秀美くん。そうしていろんなことを学んでいる。
やはり圧巻は初読の時と同様「賢者の皮むき」。自分を作っているのはみな一緒。でもそれが、自分の思う自分になるように努力をするのか、他人にどう見えるかを気にするのかが秀美と山野舞子の違いなのかな。
◆凍える牙(乃南アサ) (新潮文庫)
ずっと昔に読んだことがあるような気がしてたのですが、やはり再読でした。
1996年の直木賞受賞作、ということは今から20年近く前、その頃の40代半ばということは、滝沢は団塊の世代ですね。いたよね、こういう男尊女卑親父。
でも、徐々に音道巡査との間に築かれていく信頼関係が面白い。疾風、かっこいいですねー。他にいい男が出てこない小説で、ひときわ孤高で、凛として、忠実で、覚悟があって。事件は勝手に解決してしまう感があり、疾風が主人公と思って読みました。
◆ほかならぬ人へ(白石一文) (祥伝社文庫)
初白石さん、直木賞受賞作ということで読んでみました。「ほかならぬ人へ」、上質で深い恋愛小説という感じもしますが、明生が煮え切らないのでいらいらしました。あと、人が死に過ぎ、韓国ドラマドラマみたい。「かけがえのない人に」は、ひどい話だけど、共感できました。優しくて安全な、どっちかと言えば好き程度の男と結婚を前に再燃する元上司との関係、気づかぬうちに心の奥底で燃え広がる恋愛感情、でも最後に黒木は身を引いちゃう、みたいな。こっちの方は正真正銘大人の恋愛小説。
読了日:4月22日 著者:白石一文
http://bookmeter.com/cmt/46754764
◆フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン(小路幸也) (集英社文庫)
毎年1冊、楽しみにしている文庫本化、今回は番外短編集でした。時代もバラバラ。
年に一度なので、どうしても細かい部分を忘れてしまっている。復習にちょうどよかったかも。紺と亜美の出会いや我南人と秋実の出会い、そんなことがあったんですか。
一昨年のドラマの配役を思い浮かべながら読みました。
◆あと少し、もう少し(瀬尾まいこ) (新潮文庫)
いじめられっ子体質の設楽、ワルの大田、お調子者のジロー、自分の殻に閉じこもっている渡部、部長の桝井を慕う俊介。他人には見せない中学生なりの想いと葛藤を持ちながら、桝井を中心に寄せ集めがチームとして纏まっていく。
やはり駅伝は特別、団体競技。勝たねばならない、でも勝てばいいのではない。
6区は桝井くんって、上原先生、分かっているなー。
リアリティがある分、私は三浦しをんさんの「風が、」よりこっちの方が断然好き。
◆うそうそ(畠中恵) (新潮文庫)
「しゃばけ」シリーズ初の長編。
盛りだくさんのドタバタ劇って感じ。
◆ダブル・ジョーカー (角川文庫)
結城中佐&D機関シリーズ第二弾。
「ダブル・ジョーカー」「蠅の王」「仏印作戦」「柩」「ブラック・バード」「眠る男」の6編。
表題作の「ダブル・ジョーカー」も良かったけど、「魔術師」と呼ばれた若き日の結城中佐を描いた「柩」が秀逸。
◆木暮荘物語(三浦しをん)(祥伝社文庫)
3年放っておかれた彼につきまとわれる花屋の店員、その彼を居候させる無為に生きる花屋の女性客。不妊を知って男とやりまくる女子大生、それを覗く童貞男、男根の形をした突起がきっかけでやくざと付き合うことになったトリマー、そして70歳にもなってヤリたくてたまらない大家のおじいさん。
少し変な性愛体験をする人たちを、安普請ゆえに結びつけるぼろアパート小暮荘。実に奇妙な関係ながら、そこには都会の孤独はない。
私も学生の頃、国立市でこんな感じのところに住んでいたことがあります。懐かしいです。
◆僕はいかにして指揮者になったのか(佐渡裕) (新潮文庫)
天才ですね。才能です。
それが人を引き付けたのか。
◆まる子だった(さくらももこ) (集英社文庫)
集英社文庫のものは「もものかんづめ」「さくら日和」に続き3冊目だが、前作とは違って、さくらももこが「まる子」だったころのエッセイ12編。おまけに長いあとがき(というよりも近況)、糸井重里さんとの意味不明の対談がついている。
『うわの空』の詳細、やすみたがり屋、親の離婚話の思い出、腹痛の恐怖、やはりさくらももこはちょっといい話よりも自虐ネタの方がキレが良くて面白い。
TVのちびまる子ちゃんそのものがここにいるわけだが、これは真実なのか、創作なのか。でも本当にこういう人だったら、ここまで成功しないよね。
◆会社を変える分析の力(河本薫) (講談社現代新書)
著者の講演会に参加したのが本書を読むきっかけ。データ分析はただのツールです。
目的はビジネスの価値を創出し、仕事に貢献することです。
データ分析の目的の本質を言い当て、文系の私にもデータ・サイエンティストは何をなすべきかをわかりやすく解説した、企業人必読の良書と思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます