6月は15冊読みました。
6月初旬に早々と「カドフェス2020」が発表になったので、そこから7冊
◆悪魔の手毬唄 (横溝正史)
恥ずかしながら横溝正史初読みでした。土俗的な風俗とおどろおどろしい見立て殺人、過去の因縁と犯人の動機、名作と言われるだけあって、バランスの取れた、良くできた作品。
◆メゾン・ド・ポリス 退職刑事のシェアハウス (加藤実秋)
ひねりもなく展開も速い短編連作ミステリー(一応ほめてます)。軽い気持ちで読めるので、電車の中で読むのとかには良い。
◆鹿の王 水底の橋(上橋菜穂子)
「鹿の王」が本屋大賞を取ったのは15年だから、もう5年も経つのですね。ストーリー、忘れかかってました。続編はホッサルを中心とした医療ファンタジー、皇位継承者毒殺未遂事件とそれを治す薬を巡っての医療の在り方、清心教とオタワル医術の対立がテーマ。奈良仏教が医療的な側面も持っていたように、古来宗教と医療は近いもの、傲慢なところがあったホッサルも、清心教医術にも良いところがあることに気づき、今後に期待ってところでしょうか。
ところで、ヴァンとユナの方は???
◆民王 (池井戸潤)
ドラマチックな勧善懲悪ものがお得意の池井戸さんの作風とはちょっと違ったコミカルな小説。でも、まあ、それっぽいか。菅田将暉さんや本仮屋ユイカさんでドラマ化されてたみたいですね。知らなかった。
◆東京百景 (又吉直樹)
タイトルに反して、紀行文ではありません。又吉さんの文章って、いかにもって感じで分かりやすく純文学っぽくて、好き。「ドブの底を這うような日々を送っていた」
◆わたしの幸せな結婚 (顎木 あくみ)
明治・大正ロマン+陰陽師+純愛ラブストーリー、意外と面白かった。こういうのもたまには良い。
◆超・殺人事件 (東野圭吾)
ミステリー小説をネタにした、コミカルでシニカルな短編集。これはこれで面白い。
図書館が再開、図書館本がどっと来た。小説が5冊、うち3作品はミステリー。
◆時空旅行者の砂時計(方丈貴恵)
鮎川哲也賞受賞作。いきなりのタイムリープはあったものの、「そして誰もいなくなった」的な正統派ミステリーか、それにしては随分と謎解きのハードルが高そうだぞと思いつつ読み進んだが、途中から急にSFファンタジー的展開に。かと思えば読者への挑戦状が出てきて「おお、やはり本格か」となり、最後は意外なツイン探偵による、本格ミステリーお約束の怒涛の謎解き、エピローグは一転ほんわかで、お腹いっぱいになりました。
◆そして誰も死ななかった(白井智之)
白井さんの小説はグロすぎて最後まで読めないことがあるのだが、今回は白井さんにしてはグロさはやや控えめ。タイトルはクリスティの名作のオマージュっぽいが、良くも悪くも本格ミステリ。死者が生き返るというありえない前提での、動機そっちのけで二転三転する謎解きと、細かすぎる怒涛の伏線の回収。評価が分かれるのはこの作者の常なのでしょうが、グロさよりも本格的な本格っぽさの方についていけませんでした。
◆スワン(呉勝浩)
今年の吉川英治文学新人賞、第162回直木賞候補作品。巨大ショッピングモールでおきた無差別殺人事件、極限状態の中で露わになる人間の真実。テラハ事件を思わせる心無いバッシング。クローズドサークルの中の1時間で何が起きていたかを解き明かすために集められた生存者たち。その結果発生した拉致事件。ミステリーとしてすごく面白いと思う反面、それぞれのエピソードがちょっとずつ惜しいような気もする。いっそもっととことんおぞましい話になってたらどうだったのかなとちょっと思った。
◆夜が暗いとはかぎらない(寺地はるな)
大阪のはずれの時代から取り残された感のある街、その街を象徴するような、近々取り壊されることが決まっている「あかつきマーケット」と扉絵にあるその微妙な感じのゆるキャラ「あかつきん」。13の短編で構成されるこの作品、登場するこの街の人は、閉塞感、疎外感、なにかしら悩みや鬱屈を抱えている。それぞれの短編の登場人物が微妙にクロスするのだが、とりわけ全編にチョイ役で登場する「あかつきん」の中の青年もそんな悩める一人。彼のささやかな努力が、悩みながら日常を生きる市井の人の背中を後押しする心温まる作品。
◆イマジン?(有川ひろ)
久々の有川さんの小説、ここしばらく何をされていたのでしょうか。充電期間?ペンネームも変えて心機一転?でも、お話の方はいままでの有川さん。
「県庁おもてなし課」や「シアター」のような、仕事の現場で頑張る人に対する愛情あふれる作品でした。「天翔ける広報室」、「空飛ぶ広報室」が懐かしいです。
その他、歴史、スポーツ、宗教が各1冊。
◆親日派への弁明(金完燮)
約20年前に書かれたこの手の草分け的な本、多少日本をよいしょしすぎの感はあるが、洗脳がかかった人へのショック療法としてはこれくらいの方が良い。日本にはWar Guilt Information、韓国には反日教育、思想からの武装解除、米国恐るべし。この時に比べても、日韓関係は明らかに悪化、アジアにおける日本の経済力も相対的にかなり低下している。ますます難しい世の中になってしまった。
◆筋トレは必ず人生を成功に導く 運命すらも捻(ね)じ曲げるマッチョ社長の筋肉哲学(Testosterone)
自分は昔マラソンをやっていたのだが、その時の「走った距離は裏切らない」を「筋肉は裏切らない」に置き換えた内容。やっぱりスポーツってみんな同じなんだな。マラソンは足を故障してできなくなったけど、筋トレならできそう、よし、老体に鞭打っていっちょやってみるかと思わせてくれる1冊。
◆つぎはぎ仏教入門(呉智英)
我が家の宗派は浄土真宗なのだが、予言者を一にするユダヤ教、キリスト教、イスラム教とは全く教義を異にするはずの仏教が、極楽浄土だとか、南無阿弥陀仏だとか、キリスト教の発想に近いことに疑問を持っていた。そもそも仏陀と阿弥陀如来はどういう関係なのかとか。真言宗なんて、ほとんど弘法大師が本尊みたくなってるし。難しくて、分かったような分からないような部分がありつつも、「ああ、やっぱり偽教なんだ」と言うことは理解、仏教の根源が無我、我執を捨てることにあり、そこから出発しなければ仏教の未来はないことは納得。
6月初旬に早々と「カドフェス2020」が発表になったので、そこから7冊
◆悪魔の手毬唄 (横溝正史)
恥ずかしながら横溝正史初読みでした。土俗的な風俗とおどろおどろしい見立て殺人、過去の因縁と犯人の動機、名作と言われるだけあって、バランスの取れた、良くできた作品。
◆メゾン・ド・ポリス 退職刑事のシェアハウス (加藤実秋)
ひねりもなく展開も速い短編連作ミステリー(一応ほめてます)。軽い気持ちで読めるので、電車の中で読むのとかには良い。
◆鹿の王 水底の橋(上橋菜穂子)
「鹿の王」が本屋大賞を取ったのは15年だから、もう5年も経つのですね。ストーリー、忘れかかってました。続編はホッサルを中心とした医療ファンタジー、皇位継承者毒殺未遂事件とそれを治す薬を巡っての医療の在り方、清心教とオタワル医術の対立がテーマ。奈良仏教が医療的な側面も持っていたように、古来宗教と医療は近いもの、傲慢なところがあったホッサルも、清心教医術にも良いところがあることに気づき、今後に期待ってところでしょうか。
ところで、ヴァンとユナの方は???
◆民王 (池井戸潤)
ドラマチックな勧善懲悪ものがお得意の池井戸さんの作風とはちょっと違ったコミカルな小説。でも、まあ、それっぽいか。菅田将暉さんや本仮屋ユイカさんでドラマ化されてたみたいですね。知らなかった。
◆東京百景 (又吉直樹)
タイトルに反して、紀行文ではありません。又吉さんの文章って、いかにもって感じで分かりやすく純文学っぽくて、好き。「ドブの底を這うような日々を送っていた」
◆わたしの幸せな結婚 (顎木 あくみ)
明治・大正ロマン+陰陽師+純愛ラブストーリー、意外と面白かった。こういうのもたまには良い。
◆超・殺人事件 (東野圭吾)
ミステリー小説をネタにした、コミカルでシニカルな短編集。これはこれで面白い。
図書館が再開、図書館本がどっと来た。小説が5冊、うち3作品はミステリー。
◆時空旅行者の砂時計(方丈貴恵)
鮎川哲也賞受賞作。いきなりのタイムリープはあったものの、「そして誰もいなくなった」的な正統派ミステリーか、それにしては随分と謎解きのハードルが高そうだぞと思いつつ読み進んだが、途中から急にSFファンタジー的展開に。かと思えば読者への挑戦状が出てきて「おお、やはり本格か」となり、最後は意外なツイン探偵による、本格ミステリーお約束の怒涛の謎解き、エピローグは一転ほんわかで、お腹いっぱいになりました。
◆そして誰も死ななかった(白井智之)
白井さんの小説はグロすぎて最後まで読めないことがあるのだが、今回は白井さんにしてはグロさはやや控えめ。タイトルはクリスティの名作のオマージュっぽいが、良くも悪くも本格ミステリ。死者が生き返るというありえない前提での、動機そっちのけで二転三転する謎解きと、細かすぎる怒涛の伏線の回収。評価が分かれるのはこの作者の常なのでしょうが、グロさよりも本格的な本格っぽさの方についていけませんでした。
◆スワン(呉勝浩)
今年の吉川英治文学新人賞、第162回直木賞候補作品。巨大ショッピングモールでおきた無差別殺人事件、極限状態の中で露わになる人間の真実。テラハ事件を思わせる心無いバッシング。クローズドサークルの中の1時間で何が起きていたかを解き明かすために集められた生存者たち。その結果発生した拉致事件。ミステリーとしてすごく面白いと思う反面、それぞれのエピソードがちょっとずつ惜しいような気もする。いっそもっととことんおぞましい話になってたらどうだったのかなとちょっと思った。
◆夜が暗いとはかぎらない(寺地はるな)
大阪のはずれの時代から取り残された感のある街、その街を象徴するような、近々取り壊されることが決まっている「あかつきマーケット」と扉絵にあるその微妙な感じのゆるキャラ「あかつきん」。13の短編で構成されるこの作品、登場するこの街の人は、閉塞感、疎外感、なにかしら悩みや鬱屈を抱えている。それぞれの短編の登場人物が微妙にクロスするのだが、とりわけ全編にチョイ役で登場する「あかつきん」の中の青年もそんな悩める一人。彼のささやかな努力が、悩みながら日常を生きる市井の人の背中を後押しする心温まる作品。
◆イマジン?(有川ひろ)
久々の有川さんの小説、ここしばらく何をされていたのでしょうか。充電期間?ペンネームも変えて心機一転?でも、お話の方はいままでの有川さん。
「県庁おもてなし課」や「シアター」のような、仕事の現場で頑張る人に対する愛情あふれる作品でした。「天翔ける広報室」、「空飛ぶ広報室」が懐かしいです。
その他、歴史、スポーツ、宗教が各1冊。
◆親日派への弁明(金完燮)
約20年前に書かれたこの手の草分け的な本、多少日本をよいしょしすぎの感はあるが、洗脳がかかった人へのショック療法としてはこれくらいの方が良い。日本にはWar Guilt Information、韓国には反日教育、思想からの武装解除、米国恐るべし。この時に比べても、日韓関係は明らかに悪化、アジアにおける日本の経済力も相対的にかなり低下している。ますます難しい世の中になってしまった。
◆筋トレは必ず人生を成功に導く 運命すらも捻(ね)じ曲げるマッチョ社長の筋肉哲学(Testosterone)
自分は昔マラソンをやっていたのだが、その時の「走った距離は裏切らない」を「筋肉は裏切らない」に置き換えた内容。やっぱりスポーツってみんな同じなんだな。マラソンは足を故障してできなくなったけど、筋トレならできそう、よし、老体に鞭打っていっちょやってみるかと思わせてくれる1冊。
◆つぎはぎ仏教入門(呉智英)
我が家の宗派は浄土真宗なのだが、予言者を一にするユダヤ教、キリスト教、イスラム教とは全く教義を異にするはずの仏教が、極楽浄土だとか、南無阿弥陀仏だとか、キリスト教の発想に近いことに疑問を持っていた。そもそも仏陀と阿弥陀如来はどういう関係なのかとか。真言宗なんて、ほとんど弘法大師が本尊みたくなってるし。難しくて、分かったような分からないような部分がありつつも、「ああ、やっぱり偽教なんだ」と言うことは理解、仏教の根源が無我、我執を捨てることにあり、そこから出発しなければ仏教の未来はないことは納得。
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