ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

「砂漠の女ディリー」

2012-08-27 22:41:47 | 読書
ソマリア出身のモデル、ワリス・デイリーの自叙伝です。

遊牧民の娘として生まれ、13歳で駱駝5頭と引き換えに老人の嫁にされそうになり家出、首都モガディッシュの親戚の家を転々と居候します。
親戚の一人が駐英大使としてロンドンに赴任するのにメイドとして同行、大使の帰任後も、最初は不法滞在者として、やがては偽装結婚をしてロンドンに残留、マクドナルドの店員をしているときに写真家に見出され、モデルとしてデビューします。
後に米国に拠点を移してトップモデルとして活躍するまでになり、結婚して子供も儲けました。
まさに、波乱万丈の半生です。
女性は従順であることが当たり前とされる世界で、一人運命に逆らって自分の人生を切り開いた女性、かなり面白い本です。

一番衝撃的だったのは女子割礼を受けた時の件、電車の中で読んでいたのですが、気分が悪くなって思わず本を閉じてしまいました。
ソマリアの女性は、少女のうちに、女性器を切り取られ、排尿と生理用の穴を残して縫われてしまうのだそうです。
それを、ジプシーの老婆が、麻酔もせずに、屋外の不衛生な環境で行うので、痛みのショックや出血、傷口の化膿などで死んでしまう少女も少なくないそうです。
土着の宗教が処女性を重視するはずもない、これは信者獲得のために洗練されたもっとコスモポリタンな宗教、イスラム教の仕業です。
イスラムが貧困と無知と結び付くとこのようなことになってしまう。

イスラム教は、男性には一夫多妻を認め、一方で女性には純潔を求め、再婚も許さない。
結婚できるのは金持ちの男だけ、貧困で子沢山の遊牧民は、娘をモノのように扱い、家畜などと交換に嫁に出してしまう。
そしてその純潔という商品価値を証明するために、このような愚かしいことが、宗教儀式として平然と行われる。

ワリスは、自らの女子割礼の体験を告白し、国連の特別大使として、その廃絶に向けての運動を始めたと書かれていました。
この本が書かれたのは1998年、今から14年前のことで、その時には、まだ、ほとんどすべてのソマリアの少女に対し、このような行為が行われていたということです。
彼女の運動は実ったのでしょうか。
自分にもできることって、何かないのでしょうか。
このような愚かしい行為がこの世界からなくなることを祈ってやみません。
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3 コメント

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Unknown (けーぜ)
2012-08-28 23:49:01
奇遇だなぁ、私もこの本読もうと思って図書館から借りてきてあります(まだ読んでないケド)。
ついでに「ディリー、砂漠に帰る」も一緒に。
これからじっくり読んでみます。
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お久しぶり (RASCAL)
2012-08-29 06:16:27
1年くらい、会ってないよね。

ウィーンに住む友人によれば、女性器切除(Female Genital Mutilation、FGM)は、アフリカ移民がその風習を持ち込むので、欧州では良く知られた問題で、例えばエジプトでは国が禁止しているのですが、宗教儀礼なので、今でもなかなか廃絶できないそうです。
女性は性欲を持ってはいけないということらしい。
少女を中年の男と無理矢理結婚させることも、普通に行われているそうです。

日本人女性にはかなりショッキングな内容ですが、ぜひ一読をお勧めします。
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『砂漠の女ディーリー』 (ETCマンツーマン英会話)
2014-06-10 23:39:46
『砂漠の女ディーリー』読みました。

>一番衝撃的だったのは女子割礼を受けた時の件、電車の中で読んでいたのですが、気分が悪くなって思わず本を閉じてしまいました。

同様の経験をしました。心も重たくなってしまいました。

>彼女の運動は実ったのでしょうか。

おっしゃるとおり、彼女の運動がどのような影響をもたらしているのか、知りたくなりました。今後もこの問題には気を配っていこうと思います。


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