ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

18年6月に読んだ本

2018-06-02 13:17:23 | 読書
5月は15冊、あまり読めなかったなー。
昨年のカドフェス全冊読破に挑戦中、5月に5冊読んで、これで84冊、残り13冊まで来ました。
でも、6月末には今年のカドフェスが発表になってしまうので、、、1か月で13冊は無理だわな。

◆僕は小説が書けない (中村 航,中田 永一)
不幸体質で性格も暗い高校一年生、高橋くんが文芸部に入り、中二病時代に書きかけたまるっきりRPGみたいな設定の小説を完成させるはめになった。彼を強引に文芸部に誘ったのは二年生の佐野七瀬。高橋くんは七瀬先輩に遅めの初恋をしてしまう。でも、彼はさらに誰にも言えない出生の秘密を抱えていた。。。告白できない、小説も書けない、そんな高橋くんのじれったくもピュアな成長物語。
それにしても、共著とは珍しい。

◆名のないシシャ (山田 悠介)
子どもの姿をした人ならざる者、シシャは、人の寿命が見え、そして合計3年間の寿命を人に与えることができるが、寿命を与え終えると消えてしまう。名前を付けてくれるということは存在を認めてくれるということ。名前を付けてもらったテク、直弥、心美の3人のシシャは、自らの存在と引き換えに相手の幸せを願う。
少し無理目のところもあるが、心温まるファンタジー。

◆今日も一日きみを見てた (角田 光代)
題名からして恋愛小説かなと思ったら、全然違った。角田さんの愛猫についてのエッセイだった。
私の実家は2回猫を飼っていたことがある。私が小学生の頃と、私が結婚して家を出た直後。いずれも私は都合の良い時にかわいがるだけであったが、ペットを飼う楽しみはその世話をすること。一方的に無償の愛をささげることによって、代りに癒しをいただく、そんな関係を、今、私は、かなり猫っぽい愛犬でエンジョイしている。共感度100%のエッセイだった。

◆記憶屋 (織守きょうや)
都市伝説をネタにしたライト・ホラー。でも周囲の人の記憶が消され、自分自身も記憶が消されたのではと悩む、当人にしてみればかなり怖いか。
遼一にとっては衝撃の真実なのかもしれないが、岡目八目、記憶屋の正体、何となく見当がついてしまった。杏子のようにトラウマ、PTSDになっているものを消すのは心療内科の範疇に入るのかもしれないが、つらい記憶も歳月が乗り越えさせてくれる。遼一に同感、自分には他人に消してもらいたい記憶なんて一つもない。

◆死者の学園祭 (赤川 次郎)
赤川次郎さんの初期作品ですね。シンプルなストーリーの、少女漫画っぽい、昭和な感じの学園ミステリーでした。
読了日:05月18日 著者:赤川 次郎

◆新版 悪魔の飽食―日本細菌戦部隊の恐怖の実像! (森村 誠一)
細部がどこまで真実なのかとは思うが、大筋において戦時中にこのような人体実験が組織的に行われていたことは間違いないのだろう。
そもそもが、70万人の軍隊を派兵しなければ維持できない国を作った帝国主義そのものが過ちであり、大東亜共栄圏構想自体が思い上がりであり、それがこのようなおぞましい狂気の勘違いを生んだということ。何ともやるせない。

第158回直木賞候補作、今年の本屋大賞候補作から夫々1冊
◆火定(澤田 瞳子)
政治の実権を握った藤原房前ら藤原四兄弟が天然痘で4人とも死に、聖武天皇は遷都を繰り返したのち仏教で疫病を押さえようと奈良の大仏を作ったというのが私の日本史の知識。当然一般庶民の間でも大流行してはずの天然痘、澤田さんの死の描写はなんとも激しい。
火定とは仏道の修行者が火の中に自らの身を投げて死ぬことだが、この本で火中に身を投げるように病と闘うのは仏僧ではなく綱手、名代、広道ら施薬院で庶民の治療にあたる人。奈良時代版白い巨塔に似非宗教、動乱の中で医療に身を投じた人々の志を描いた、なんともすさまじい作品。

◆崩れる脳を抱きしめて(知念 実希人)
知念さんというと、「天久鷹央」とか「神酒クリニック」とか、ラノベタッチのものしか書けないのではと思ってましたが、認識が変りました。
前半は終末医療の高級ホスピスを舞台にしたワケありの研修医と不治の病の女性の不器用ながらも切ない恋愛物語、と思わせておいて、後半は一気にミステリー展開でどんでん返しもあり。読みやすくも確りした内容、本屋大賞ノミネートも納得の一冊でした。

◆爽年(石田 衣良)
「娼年」「逝年」「爽年」、三部作の完結編ですね。変った性癖の女性の話とドS娼夫アズマの死、そして自らの咲良との結婚と妊娠。後半で無理やりまとめた感、前の二作に比べるとインパクトは薄いかな。考え方自体は、強い賛同も反発も感じないけど、昨今の不倫=犯罪者扱いの世論を見るに、もっと書いてくれという気もしないでもない。

◆教場0: 刑事指導官・風間公親(長岡 弘樹)
教場の前日譚、風間教官の刑事時代のお話。風間さんのスーパー振りが強調されてますが、軽く読める短編連作ミステリーでした。

新書を2冊。
◆京都ぎらい 官能篇 (井上章一)
前作がウィットに富んだ自虐ネタで面白かったので読んでみたのですが、今回のは、刺激的なタイトルとは裏腹に、普通に歴史の薀蓄の部分が多かった。
武骨な東国の武士たちを老獪な政治力で手玉に取ろうとした皇室、公家勢力という図式で日本の中世を見ていたのですが、なるほど、政治力の中には「女」も入るわけですね。

◆たべたいの (檀 蜜)
グルメ本かと思いきや、全然違う。食べ物の話はほとんどオマケ、自ら「味音痴」を標榜する彼女の、ウィットに富んだ、自然体の自虐ネタがさえる。彼女、才女ぶらないけど、そこが才女ですよね。俳句とイラストもGOOD。

ラノベとコミックを夫々1冊。
◆幼女戦記 5 Abyssus abyssum invocat(カルロ・ゼン)
第5巻も500頁を超える大書だった。
外交下手の帝国を取り巻く環境は刻一刻と深刻になっていく。ソ連っぽい連邦に攻め込まれ四面楚歌状態に。ターニャは正に孤軍奮闘。
副題の”Abyssus abyssum invocat.” ラテン語で「地獄は地獄を呼ぶ」という意味だそうで、”The finest day”の3巻を頂点に帝国を取り巻く環境は悪化の一途。最終的には第一次、第二次世界大戦のドイツみたいなことになるのだろうけど、その歴史を知っているはずのターニャは、運命に抗えるのだろうか。

◆機動警察パトレイバー 全22巻完結 [マーケットプレイス コミックセット](ゆうき まさみ)
転勤になった息子の部屋を掃除していたら、「機動警察パトレイバー」も全22巻が発掘された。といっても、これを買ったのは多分私と思う。少年サンデー連載、TVアニメ、OVAアニメ、劇場版アニメにも何回かなった。駐在していた香港でも広東語吹替えでTV放映されていた。98年式Advanced Vehiclel、当時は近未来だった1998年も今や遠い過去になってしまった。「光陰矢の如し」、野明も遊馬も今やアラフォーかと思いながら懐かしさに一気読み。

◆ブラタモリ 10 富士の樹海 富士山麓 大阪 大坂城 知床
すべてTV放映を見たやつだが、改めて興味を掻き立てられた。私も一度富士山に登ってみたが、あの時代にこれだけの人があの山に登ったとは、信仰の力とはいえ、江戸時代のツーリズムってすごい。
難波宮、石山本願寺、そして大阪城、上町台地はそれだけ交通の要所ということ。豊臣秀吉の城塞づくりと都市計画はすごい。豊臣の大阪城を破壊した徳川の秀吉コンプレックス、近江アナの目の付け所はなかなかに鋭い。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 息子の部屋からお宝「機動警... | トップ | 多摩湖自転車道の紫陽花 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事