今週の古楽の楽しみはホストの大塚直哉が毎日ゲストを招いての1週間。
トラヴェルソの日には、調のハナシが興味深かった。
D管(シャープ2個)のトラヴェルソで、フラットが多い曲を吹くと、
難しいのはともかく、ストレートに響かず音がかすれたようになってしまう。
それなら、例えばヘ短調(フラット4個)の曲を下げて、シャープ1個のホ短調に
すれば良く響くじゃんというのは、考えが甘い。
中村忠さんが例に出していたのが、ヨハネ受難曲の最後のアリアで、フラットが
多くなって横笛の音色がくすむことがバッハの狙いで、『わが心よ、涙となって
融け流れよ』という歌詞で始まるこのアリアにはこの音が必要だったという。
古楽器から音色の均一化を目指した現代の楽器に移行した結果、特に木管楽器は
失ってしまったものが、大変大きい。
モダン楽器奏者の皆さん、古楽器を選ぶのには理由があるのです。