「悪魔の赤ちゃん3/禁断の島」
原題:IT'S ALIVE III: ISLAND OF THE ALIVE
1986年 アメリカ 95分
■監督:
ラリー・コーエン
■出演:
マイケル・モリアーティ
カレン・ブラック
ローレン・ランドン
マクドナルド・ケリー
●あらすじ
悪魔の赤ちゃんの父親のひとりであるステファンが法廷で赤ちゃんの処刑は不当だと訴え、
赤ちゃん達を隔離された無人島に移すという判決を勝ち取る。
5年後、ステファンを含む調査隊が島を訪れるが、
成長した赤ちゃん達はステファン以外の隊員を惨殺して船を奪い、本土へと向かう。
彼らの目的とは?
(TSUTAYA DISCASより)
★感想など
ラリー・コーエンのライフワークである「悪魔の赤ちゃん」シリーズのパート3。
カレン・ブラックってどこかで聞いたことあるなあ、見た事あるなあと思っていたら
「エアポート'75」で実質主役だった、あのスチュワーデス役の人だったか!
他にも「イージー・ライダー」にも出ているらしいが、そちらはさっぱり覚えてないな。
まあ対して面白くなかった印象だったしな。
さて1986年と言えば、ホラー映画ブームの嵐が吹き荒れていた頃。
そのブームに乗って「悪魔の赤ちゃん」シリーズもパート3を作ろうと思ったに違いない。
赤ちゃんの動きがコマ撮りなのは嬉しい限りだが、キャラの変貌ぶりは凄まじく
まず悪魔の赤ちゃんはみな5歳になっている。
すでにその時点で「悪魔の赤ちゃん」ではないが、それをさておいても5歳にして2メートルくらいの巨大化。
だがビジュアルは悪魔の赤ちゃんまんまなので、まるで死ぬ直前の鬼舞辻無惨のようである。
相変わらず言葉は喋れないが赤ちゃん同士はテレパシーで意思疎通ができ、さらに普通の人間の心を読むことができる。
さらにさらに5歳にして赤ちゃんを作って子孫を残す事も可能となる。
とまあ設定が暴走している。
そもそも赤ちゃんだけで無人島に放置されて、一体どうやって生き延びたのか。
主食は何だったのか?
たまにやってくる人間を捕食していたらしいけど。
そんなこんなで完全に精神の均衡が崩れて人に嫌われる言動しか出来なくなった男と
分かれていたものの、昔悪魔の赤ちゃんを産んだことにより幸せになれない女が
わが子を受け入れ、さらにその子供を受け入れて育てると誓う。若いのに二人はおじいちゃんおばあちゃんとなった。
金もなく。車は窃盗者。そんな現状がおかしくて悪魔の赤ちゃんを抱きながら、狂ったようにゲラゲラ笑う二人の姿で終わるこの映画。
まるでアメリカン・ニュー・シネマのようだが、わからんでもないところがちょっと深い。
シリーズを通して観ると、どんな子が産まれても親の愛は変わらない。がテーマのように感じるのだが
その部分の描写が薄く、ホラー要素を強くしちゃっているのが惜しいかな。
もっと深く掘り下げた脚本なら、ホラーとは言え感動を呼ぶ名作に成りえた題材だよね。
こういったテーマ本当に感動させられるホラーを作れる監督は何人かいるのだが、
逆にそういったことが出来るからこそ、彼らは巨匠と呼ばれるのだろうな。