4.日本で二番目に短い鉄道と「熊野牛の巻寿し」な夜
12:49に和歌山を出発したきのくに線113系は約1時間で終点御坊に到着する。
JR御坊駅0番線から南に延びる路線が紀州鉄道である。
駅舎に接した1番線を切り欠いて0番線が設置されている。
紀州鉄道は街から外れた場所に敷設された紀勢本線から御坊市の中心部にアクセスする鉄道として、
御坊臨港鉄道の名称で1928年に設立された。
1931年6月15日御坊から御坊町(現・紀伊御坊)が部分開業した。
1932年4月10日には松原口(現・西御坊)まで延伸、
1934年8月10日には終点の日高川まで延伸し、全通した。
1960年代に廃止の危機に追い込まれたが、
1972年には磐梯電鉄不動産が御坊臨海鉄道を買収、翌年社名を紀州鉄道とした。
1979年には鶴屋産業の傘下に入り、リゾート開発に力を入れている。
1989年4月1日に西御坊から日高川までが廃止され、現在の2.7kmの営業区間となる。
紀州鉄道線は非電化単線で、1両編成の列車が全区間を往復する。
そのためすれ違いのための列車交換設備などはなく、
JR御坊駅を除く全駅が1面1線の単式ホームである。
紀伊御坊駅は車庫が併設され、側線に列車が停まっている。
ここが鉄道部門の本拠地となっている。
前の会社では福利厚生の一環で“紀州鉄道”のリゾート施設と契約していて、
夏休みや正月休みなどは申し込むと抽選で利用できるようになっていた。
鉄道に興味のないほとんどの社員が“紀州鉄道”はホテルの名前で、
本当にそういう名前の鉄道が走っているとは思っていなかった筈だ。
また紀州鉄道は日本で一番短い鉄道路線としても有名だった。
しかし2002年10月27日に芝山鉄道が東成田から隣の芝山千代田間で開業し、
この区間が2.2kmだったために一番短い鉄道を明け渡した。
紀州鉄道のホームページには、「日本で一番短い地方鉄道」と書かれている。
13:57に御坊に到着すると既に0番線にキハ600形603号車が停車していた。
紀州鉄道には1985年製の軽快気動車キテツ1形と、
1960年製のキハ600形が在籍している。
キハ600形は大分交通耶馬渓線で使用されていたものだが、
同線が廃止になった1975年に紀州鉄道に移籍された。
停車中の600形603号車に飛び乗り、そのまま隣の学問まで行く。
この車両には冷房がなく、窓を全開にして走る。
学問で下車してこの列車を見送ったあと、折り返してくる列車の写真を撮る。
また同じ車両が御坊で折り返してきた列車に乗り、隣の紀伊御坊まで行く。
予定では学問は取材しないつもりだったが、
予定より1本早いきのくに線に乗ったため、急遽この駅の取材をすることにした。
学門駅は単式ホームに屋根が着いただけの無人駅だが、
ホームに学問地蔵というお地蔵様が設置されている。
紀伊御坊は車両基地が併設されているために有人駅であり、
側線にはキテツ1形とキハ600形604号車が停車していた。
また車庫の中にはもう1両のキテツ1形が停車していた。
予定ではここから西御坊まで行き、折り返しの時間に余力があれば市役所まで行くつもりだったが、
紀伊御坊もそれほど時間がかからず取材できてたしまったので、
思い切って市役所前まで歩くことにした。
線路に沿って歩いていきたいが、線路沿いに道がなかったため当たりを付けて歩いていく。
線路はカーブしていたため見晴らしがきかず、
市役所の建物は分かったが駅が何処にあるのか分からず、
思い切って市役所の中に入っていき、市民課の職員に場所を聞く。
丁寧に教えてくれる。
市役所前駅で取材して、さらに終点の西御坊まで歩く。
ここはそれほど離れておらず、
もともと歩く予定だったので地図を確認していたこともあってスムーズに行けた。
西御坊駅は終点だが、かつてはその先の日高川まで路線が存在したということで、
西御坊から先の線路も残っていた。
しかし小川のある部分は橋が撤去され、その部分だけが突然なくなっている不思議な光景になっていた。
西御坊に歩いている途中で下り列車が走っているのが見え、
到着するとキハ600形603号車が折り返しの時間を待っている。
慌てて駅取材してその列車に乗り込み、JR御坊駅まで戻る。
利用客も少なく、運転手もおいらを覚えていたようで、
紀伊御坊で降りたのに何で西御坊にいるんだろうと不思議そうな顔をしていた。
西御坊から御坊までの全区間を乗っても乗車時間は僅か8分である。
これで紀州鉄道の全区間完乗と全駅取材が完了した。
紀州鉄道のキハ600形が御坊駅に到着するのとほぼ同時に、
和歌山からの113系が御坊駅に到着した。
この列車は5分の待ち時間で折り返し和歌山へと向かう。
その時間にあわてて御坊駅の駅取材する。
改札を出る時は既に紀州鉄道で現金で運賃を払ったため、口頭でその旨を告げて出る。
入る時には青春18切符を使用した。
御坊から和歌山に戻る列車は途中で踏切の遮断機が降りなくなった場所があるとということで、
その区間を徐行運転したために3分遅れで和歌山駅に到着した。
和歌山で下車して和歌山ラーメンの元祖といわれる井出商店を探し出し、
そこで夕食として中華そば600円など喰う。
場所を探すのに苦労した。
駅に戻って水了軒の売店で駅弁「熊野牛の巻寿し」800円を購入し、
予約していた和歌山アーバンホテルにチェックインする。
普通のシングルルームだったが、十分な広さがあり満足のいく部屋だった。
しかも新しいホテルだけあって、バスルームなども綺麗で使い心地が良かった。
クローゼットの中にはドライヤーだけでなく、
空気清浄機や加湿器、ズボンプレッサーに衣類の皺伸ばしまで入っていて、
至れり尽くせりであった。
5,800円でこの設備なら文句はない。
シャワーを浴びたあとに「熊野牛の巻寿し」をつまみにビールを飲む。
早めにチェックインして、早めにビールを飲み始めたせいか、
テレビで「20世紀少年」を見ていたが、途中で眠くなってしまい、
11:00p.m.には就寝した。
※この文章はgooブログ「林檎乃『とほほ・・・。』ブログ」と
ぷらぷらレール「れいの日記」、同時公開です。
ご了承下さい。