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こんにちは。
日に日に寒くなってきていますね。
乾燥も進んできますので、
どうかお風邪を召されませんよう体調管理をしっかりなさって下さいね。
今回は採血検査についてお話したいと思います。
採血は、現在の状況を診て治療方針を決めていく上で、大切な検査の1つです。
当院で行っている採血検査には大きく分けて以下の種類があります。
(1) 初診時、もしくはなるべく早めに行う採血検査
・感染症採血検査(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIVの感染がないかを確認)
・抗精子抗体検査(精子の動きを止めてしまうような抗体がないかを確認)
・AMH検査(卵巣の中にある卵子の残存数を表すホルモン値を測定)
(2) 生理中1~5日目に行う採血検査
FSH(卵胞刺激ホルモン)
LH(黄体形成ホルモン)
E2(卵胞ホルモン)
PRL(乳汁分泌ホルモン)の値を調べます。
生理中のこれらのホルモンを調べることによって、
卵巣機能の低下や月経不順の原因
(※多嚢胞性卵巣症候群、低ゴナドトロピン性腺機能低下症、高プロラクチン血症など)
を調べます。
この検査結果によって、
漢方薬やホルモンのお薬、注射、治療方針を選択していきます。
※・多嚢胞性卵巣・・・多嚢胞性卵巣は卵巣内に卵が多数存在します。
たくさんあっても一つ一つは成熟しにくく排卵が起こらないケースも多いです。
この体質の方はFSH(卵胞刺激ホルモン)の値よりもLH(黄体形成ホルモン)の値の方が高値になることが多いです。
・低ゴナドトロピン性腺機能低下症・・・脳から卵巣に作用して卵を育てていくためのホルモン量が少ないため、
卵が育ちにくく、無排卵となるケースが多いです。
FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の値が低値になります。
・高プロラクチン血症・・・生理周期の乱れや無月経が起こり不妊の原因になります。
PRL(プロラクチン)の値が高値になります。
(3) 高温期に行う採血検査
E2(卵胞ホルモン)、P4(黄体ホルモン)の値を調べます。
卵胞ホルモンの値をみることによって、
今周期に育った卵の評価、飲み薬や注射を使用した場合は、その効果をみます。
また、黄体ホルモンの値をみることによって、確実に排卵したかどうかを確認し、
そして受精卵が着床しやすい環境が整っているかどうかを判断します。
この採血で調べたホルモンの値は、次周期の治療方針を決めていくための大切な指標です。
ホルモンの値は周期ごとに常に変動するので、毎周期の状況を確認していくことが必要です。
より効果的な治療を行っていくために、毎月検査を受けます。
(4) 体外受精に向けて行う検査
腎臓や肝臓の機能、凝固機能(血液が固まりにくくないか、もしくは固まりやすくないか)、
貧血はないか、血糖値、卵巣の機能などの全身状態を調べます。
また、卵の成長を確認したり、移植に向けて内膜が発育しているかどうかも血液から分かります。
採血を行う際に注意していただきたいことがあります。
採血終了後には、刺した部分をしっかりと抑えてください。
抑えが弱いと内出血が起こり、青い痕や痛みが残ってしまいます。
抑え方としては、人差し指と中指、そして薬指も使って広範囲に少し痛いと感じる程度まで圧迫して下さい。
また、親指でしっかりと抑え込んでいただいてもいいですね。
目安は5分間です。
まれに、筋肉注射と間違われて、穿刺部位を揉んでしまっている患者さんもいらっしゃいます。
揉むこともよくありません。
必ずすぐに抑えてください。
また、もし内出血してしまっても痕がずっと残ることはありませんのでご安心ください。
これは一時的なものです。
始めは紫色をしていますが、徐々に青色、黄色になり最後には必ず元の皮膚の色に戻ります。
色が青色になり痛みも落ち着いてきましたら、
その部分を温めてあげると内出血が吸収されやすくなりますので試されてみてください。
そして、これからの季節、
長袖を着て腕まくりをされた状態で採血をするようになると思います。
そうすると、袖の部分が二の腕を締め付けるので、腕から心臓に血液が戻りにくくなります。
それによって、出血が止まりにくく、普段よりも止血するのに時間がかかりますので御注意くださいね。
病院にいらっしゃる日(採血がある日)は腕が締め付けられないよう、
お袖周りにゆとりのあるお洋服だと良いですね。
採血検査によって、
卵の状態、内膜の状態、体質、卵巣年齢など、多くの事が分かります。
各時期・段階によってしっかりと状態を把握して治療に臨んでいきましょう。
治療を進めていく上でご不明な点があれはスタッフにお声かけください。
正しい知識を持って、一日でも早い妊娠を目指していきましょう。
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