とくおかレディースクリニック~ブログ~

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5月の診療部便り

2024年05月02日 | 受付便り
5月の診療部便り

晴れ渡った空に、新緑の木々。すがすがしさを感じる季節になりました。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」についてお話したいと思います。

当院では、体外受精を行う際、
一度に複数の卵子を採取するために、
注射や内服薬など排卵誘発剤を使用します。

女性の卵巣は親指大ほど(3~4cm) の臓器ですが、
その中の卵(卵胞)が不妊治療における排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって、
卵巣がふくれ上がり、お腹や胸に水がたまるなどの症状が起こることを、
卵巣過剰刺激症候群 (OHSS) と呼びます。

重症例では、
腎不全や血栓症など様々な合併症を引き起こすことがあります。


OHSSの症状として
お腹が張る、急激な体重増加、吐き気、
尿量減少、息苦しさ
などが挙げられます。

これは、卵巣内の卵胞が一度に成長するため、
卵巣が腫れて卵巣表面の血管から水分が腹腔内に露出することが原因です。

露出した水分は腹水となり血液が濃縮され尿量が減少します。
その結果、電解質の異常、血栓症、呼吸障害などが起こります。

一般的には排卵誘発剤に敏感に反応する方が発症しやすくなります。
・年齢が若い方
・やせている方
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群:卵巣内に小さな卵胞が多数存在する)の方
・OHSS や多胎妊娠の既往がある方 
・妊娠

このように聞くと、排卵誘発剤を使用しない方がよいのではないか、
採卵をすることはとっても怖いことなのではないかと思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、OHSSは必ず発症するものではありません。

また、排卵誘発剤に対する反応性には個人差があり、
また同じ方でも周期によって反応に差がみられます。

一度の採卵で複数個の卵子を獲得できることは、
よい受精卵に巡り合える可能性も高まることや複数の凍結胚を得られる可能性が上がることなど大きなメリットがあります。

当院では、毎回超音波を拝見し、その日の卵胞の状態に合わせて自己注射の量を調整致します。
最適な卵巣刺激を行い、細心の注意を払って治療を行っておりますのでご安心下さい。

気になることがありましたら、
スタッフへお声かけくださいね!


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