タキさんの押しつけ読書感想
『白洲正子「かくれ里」』
昨年の春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ
これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している読書感想ですが、もったいないので転載したものです
正子さんシリーズ、とりあえず最終回です。本書も芸術新潮に2年に渡って連載された随筆です。
「かくれ里」とは、字面通り「世を避けて隠れ忍ぶ村里」の事、民族学的には「祭りに現れた神人が 祭りが終わり、いずこともなく去って行く山間の僻地」の事であるとされる。
歴史上の人物が一身上の理由から隠れ住んだ場所が、民族学的「かくれ里」と共通する場合が多く、ここから伝承・伝説が生まれ、神話に成っていく可能性が数多く語られる……歴史伝奇の元ネタが明かされているようにも読めて、なかなかスリリングな読書体験でした。
本書内に書かれている「かくれ里」は、ほぼ全て近畿周辺、現実 近畿に住む私にとっては馴染みの地名が次々現れる。 あるいは昔、町内の運動会(町内会で弁当を持ってあちこち行くのを「運動会」と言った)で訪れた寺、登山やキャンプでテントを張った山中。あるいは、サラリーマン時代 営業に回っていた会社のすぐそば……油日や吉野、京田辺など帰り道にぶらっとお参りした場所もある。
文中にある写真に見覚えがあったりしたら大感動。それなりに当時 感じる物はあったものの、こんなに深い歴史があったとは……殊に近畿在住者には是非とも手にしていただきたい一冊です。
タウンマップ片手に出かける奈良・京都の町から ほんの少し外れてみると、まさに神話に繋がる場所がある。そういう体験は「歴史を生きて感じる」事に繋がって行くと思います。文中、様々な人物の名前が出てきます。あまり覚えがない名前もあるでしょうが、小学校~高校の間に必ず何度か聞いた名前です。ちょっと調べれば「ふ~ん」くらいには思い出しますから……調べる気になったら、その人物に関わる前後にも目を向けて下さい。必ず一人か一つ、知っている事柄に出くわします。
普段、なにげに見上げる山や ドライブしている道筋に思わぬ歴史が埋もれているかもしれませんぞ。
明日は「真夏の方程式」に行ってきます。混雑が予想されるので今日チケットゲットしておきまた。 本は筒井巨匠の「聖痕」 なにやら巨匠は実験作だとおっしゃっています。どんなゲヘヘな話なのか、もしくはイッヒッヒなストーリーなのか……今から震えておりまする。
『白洲正子「かくれ里」』

昨年の春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ
これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している読書感想ですが、もったいないので転載したものです
正子さんシリーズ、とりあえず最終回です。本書も芸術新潮に2年に渡って連載された随筆です。
「かくれ里」とは、字面通り「世を避けて隠れ忍ぶ村里」の事、民族学的には「祭りに現れた神人が 祭りが終わり、いずこともなく去って行く山間の僻地」の事であるとされる。
歴史上の人物が一身上の理由から隠れ住んだ場所が、民族学的「かくれ里」と共通する場合が多く、ここから伝承・伝説が生まれ、神話に成っていく可能性が数多く語られる……歴史伝奇の元ネタが明かされているようにも読めて、なかなかスリリングな読書体験でした。
本書内に書かれている「かくれ里」は、ほぼ全て近畿周辺、現実 近畿に住む私にとっては馴染みの地名が次々現れる。 あるいは昔、町内の運動会(町内会で弁当を持ってあちこち行くのを「運動会」と言った)で訪れた寺、登山やキャンプでテントを張った山中。あるいは、サラリーマン時代 営業に回っていた会社のすぐそば……油日や吉野、京田辺など帰り道にぶらっとお参りした場所もある。
文中にある写真に見覚えがあったりしたら大感動。それなりに当時 感じる物はあったものの、こんなに深い歴史があったとは……殊に近畿在住者には是非とも手にしていただきたい一冊です。
タウンマップ片手に出かける奈良・京都の町から ほんの少し外れてみると、まさに神話に繋がる場所がある。そういう体験は「歴史を生きて感じる」事に繋がって行くと思います。文中、様々な人物の名前が出てきます。あまり覚えがない名前もあるでしょうが、小学校~高校の間に必ず何度か聞いた名前です。ちょっと調べれば「ふ~ん」くらいには思い出しますから……調べる気になったら、その人物に関わる前後にも目を向けて下さい。必ず一人か一つ、知っている事柄に出くわします。
普段、なにげに見上げる山や ドライブしている道筋に思わぬ歴史が埋もれているかもしれませんぞ。
明日は「真夏の方程式」に行ってきます。混雑が予想されるので今日チケットゲットしておきまた。 本は筒井巨匠の「聖痕」 なにやら巨匠は実験作だとおっしゃっています。どんなゲヘヘな話なのか、もしくはイッヒッヒなストーリーなのか……今から震えておりまする。