大橋むつおのブログ

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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『海賊とよばれた男』

2013-07-30 09:07:18 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『海賊とよばれた男』
      

これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が人の迷惑顧みず流している読書感想ですが、面白いので転載しました。

とうとう 手ェ出しちまいましたよ、百田尚樹。

 むか~し昔“プロポーズ大作戦”ってえ番組があったのさ。大体 大学生数人(5人位だっけ)が一人のかぐや姫(女子大生)をめぐって色々アピールし 誰が選ばれるかを競う。大概アイビースタイルにキメたアンチャン達なんだけど、たんまに小汚いのが登場する。
 ある日の番組に、薄汚れた学生ズボンによれよれのカッターシャツの高校生が出演、今で言えば さしずめ“オタク”こいつがテレビでは決して言ってはならない『こいつら狙ってるのはかぐや姫の○◇△だけですよ』なんてな言葉を叫びよる。こんな奴は永久出入り禁止……と思いきや『モテない君キャラ』でチョロチョロと何回も出てきよる。やがて番組終了、この元祖いじられキャラ高校生も姿を消した……と 思いきやある日(数年後)のバラエティー番組のディレクターの中に、いつか見た名前を発見した時には思いっきりずっこけた。その名を“百田尚樹”と言う。この名前で同姓同名はまずおらん。

その後、百田ディレクターの名前はアチコチに登場、そして とうとう作家に成っちまった。

 第一作目からベストセラーなんだけど、どうしても昔日の小汚い高校生のイメージが抜けず、どうも手が出なかった。『永遠の0』が私の回りでは受けが悪かった事もあって尚更敬遠していた。さて、ここで漸く本書に辿り着く。
 本書は名にしおう“本屋大賞”です。まず ハズレの無い賞なんですが、たまに『謎解きは晩飯の後で』なんてなショ~モナイ本を推薦したりもする、ウ~ムゥ~。
 この小説の主人公は“国岡鐵造”と申します。しかして その本名は“出光佐三”……出光興産社主です。他の登場人物は殆ど実名ながら出光一族に関する人だけ名前を変えてある。
 大学生の頃かサラリーマンになった頃、出光一代記を読んだ事がある(ご本人はまだご存命だった) 時代は左翼絶頂、何もかも相対化され 日本から実録物語が消え失せた頃…私だって薄甘いカタカナ“サヨク”朝日新聞(人民日報倭国版)の論調を無批判に信じていた頃だから こんな一代記を読んでも九割嘘だろうと……結果はどうあれ裏があるだろうと、全く素直には解釈できなかった。だから、左翼の大嘘、国家の欺瞞、アメリカの正体に気付いてはいても、一旦相対化されたものを白紙で受け入れるのは難しい。 まぁ、百田君のお手並み拝見と読み出すと…こりゃどうした事か、10頁も読んだ頃には感動に震えて涙が溢れそうになる。
 今や左翼のくびきからは完全に自由である。だからと言って立志伝物語になんの裏も無いと信じる程 ウブじゃない。それらを割り引き差し引いても、本書の主人公/国岡鐵造(出光佐三)が“国士”である事には間違いない。
 “国士”と読んだ途端、やれ右翼だとか何だとか、“国体”と書いただけで右翼言辞だと受け入れ拒否する輩とは話すだけ無駄、一切相手にする気はない。喧嘩する気なら いつでも相手するので、まず ことわってからかかってきなさい。左翼の阿呆にそんな度胸はおまへんやろ。
 本書を読んで 震えてくるのは 主人公の魂が“侍”だから、永らく我々日本人が追い求める理想の姿だからである。ああ、それすら解らない餓鬼ともやり合うつもりもないので宜しく。私にも この小説のエピソードが書かれてあるままで一切裏も取り引きも無いと考える程ナイーブではない。しかし、それ以上に産業界の弱腰、官僚の馬鹿さ加減、アメリカの横暴を思う時 民族資本出光興産がどれほど日本にとって得難い存在であったかを本書は教えてくれる。
 今の日本人の、何もかも自らの器の容量に合うように相対化せざるを得ない、そんな性に配慮して名前を変えた小説の形にしたのだろうと思う。
 私も含めて、今の日本人が失いかけているものが、この本には詰まっている。くしくも、主人公鐵造が終戦後、総てをなくして 0からの再起を誓うのが、私と同じく60歳である。自分自身、本書からどれだけ勇気をもらえたか計り知れない。
 百田尚樹恐るべし、そういえば『男子、三日会わざれば 刮目せよ』って言葉を思い出しました。


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