魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
84『婚姻届』
クロマキーの撮影はにぎやかだったぞ(^▽^)。
グリ-ン一色のスタジオで、宙づりになったりデングリガエシになったりしてよ。 知井子なんか、首から下はグリーンの前進タイツを着せられ、一人で『コスモストルネード』を歌わされたりしたぞ(^_^;)。
ラッシュを見ると、グリーン一食の世界で、自分の首だけが歌っているようで、なんともケッタイなんだけどよ、映像スタッフがPCのエンターキーを押すと、ティンカーベルの妖精みてえな姿になりやがって、コスモス畑の真ん中で、メンバーに取り囲まれて歌っていやがる。
黒羽Dと美優は、昨日ほどには恋人らしくなかった……というか、距離の取り方が自然で、最年長の服部八重なんか『かえって自然な関係に見えた』って言ってゃがった。
クロマキーの撮影は、CGとの合成になるんで一見簡単そうだけどよ、CGの画面と完全にシンクロさせることは意外にむつかしい、シーンによっては、テイク二十ぐらいいくものもあって、昼の休憩は午後の一時半を回っちまったぞ。
黒羽Dと美優は、昨日ほどには恋人らしくなかった……というか、距離の取り方が自然で、最年長の服部八重なんか『かえって自然な関係に見えた』って言ってゃがった。
クロマキーの撮影は、CGとの合成になるんで一見簡単そうだけどよ、CGの画面と完全にシンクロさせることは意外にむつかしい、シーンによっては、テイク二十ぐらいいくものもあって、昼の休憩は午後の一時半を回っちまったぞ。
控え室が狭いんで、メンバーの半分とスタッフは、スタジオのそこここで、ロケ弁を食ってるぞ。
「ちょっと、美優ちゃん、いいかな」
スタッフといっしょに衣装直しのチェックをしながらロケ弁を食べている美優に、黒羽Dが声をかけやがった。
「ちょっと、美優ちゃん、いいかな」
スタッフといっしょに衣装直しのチェックをしながらロケ弁を食べている美優に、黒羽Dが声をかけやがった。
「ちょっと待って、打ち合わせ終わって、お弁当食べたら……で、いい?」
「あ、ごめん。むろん、それでいいよ、そこの事務スペースで五分後」
「うん」
今日の二人の何気なさは、それを仕事の打ち合わせと思わせ、服部八重でさえも気がつかなかったぞ。
「この子達の動きに合うようにするんですね」
「この子達の動きに合うようにするんですね」
大石クララがCGの画面にくいいってやがる。
「多少は、CGに手を加えて直せるけど、オモクロ対決には間に合わせろって、会長のお達しだから」
「みんな、がんばるんだぞー!」
おおー!!
クララが檄を飛ばすと、みんなが拳を突き上げた。突き上げた半数の拳には、まだお箸が握られていたぜ。
AKRの新曲発表に、みんな、並々ならぬ闘志が籠もっているぜ!
「もう、どこ行ったのよ?」
事務スペースに、きっちり五分後にやってきた美優は言い出した黒羽Dがいねえことに、口を尖らせやがる。
「もう、どこ行ったのよ?」
事務スペースに、きっちり五分後にやってきた美優は言い出した黒羽Dがいねえことに、口を尖らせやがる。
「やあ、ごめんごめん。みんなのテンションが高いんで、午後の分の打ち合わせにも熱が入ちゃって……これにサインとハンコくれる」
「うん」
美優は、納品関係の書類だと思って、気楽にハンコを出しやがる。
「……これは」
書類の左上には「婚姻届」と記してあった……ぞ!!
「英二さん……」
書類の左上には「婚姻届」と記してあった……ぞ!!
「英二さん……」
「異議あり?」
美優はブンブン首を振った。
「じゃ、お気楽に……早く」
「フフ、これって一種の納品書ね」
「どっちが納品されるの?」
「英二さん。だって、先に名前が書いてあるから、わたしが受領者……ね」
「尻に敷かれそうだ……」
美優は、ポーカーフェイスで署名捺印した。スタジオのみんなは気にも留めないか、仕事上の書類のやりとりだろうと思っていたぞ(〃艸〃)。
と、そこに一陣の風が吹いてきやがった!
スタッフが、午後から使う送風機のテストをやりやがったんだ。むろんみんなの邪魔にならねえように、外に向け、パワーも微弱にしてあったけどな。壁を伝った風が、その書類を吹き飛ばすのには十分な力があったぜ。
スタッフが、午後から使う送風機のテストをやりやがったんだ。むろんみんなの邪魔にならねえように、外に向け、パワーも微弱にしてあったけどな。壁を伝った風が、その書類を吹き飛ばすのには十分な力があったぜ。
そんで、その書類は、スタジオのセットの前に輪になっていたAKRのメンバーの真ん中に落ちてきやがったぞ!
「なに、これぇ……?」
知井子が、それを拾って、マユの体を借してる拓美が気がついたぞ!
「なに、これぇ……?」
知井子が、それを拾って、マユの体を借してる拓美が気がついたぞ!
「これ、婚姻届……じゃん!」
拓美がマユの声で叫ぶと、メンバー全員が、磁石にくっつく釘のみてえに集まって歓声を上げやがる(^_^;)!
ウワー! キャー! ウソ! ヤダー! ガチ!
口々に年相応の短い感想を叫びやがって、スタジオの隅で固まっている黒羽と美優にいっせいに目を向けやがった……。
「親父、見えるか、これが……」
黒羽は、美優とベッドの傍らに立ち、しわくちゃになった婚姻届をかざしやがる。
「親父、見えるか、これが……」
黒羽は、美優とベッドの傍らに立ち、しわくちゃになった婚姻届をかざしやがる。
「今日は、ほとんど意識が無いの……」
妹の由美子がポツリと言った。
黒羽ジジイの命は、美優同然、あと二日余りになっていやがる。美優はマユが電池代わりになっているんで、まるで病人には見えねえけど、黒羽ジジイは末期ガンそのままで、意識もはっきりしねえ。
――ジジイの手を取ってやれ――
マユは、美優の意識に働きかけたぞ。
――ジジイの手を取ってやれ――
マユは、美優の意識に働きかけたぞ。
美優が手を取ると、ジジイはうっすらと目を開けやがった。マユがエネルギーの一部を父に送ってやったんだ。
「……ああ、来ていたのか」
「昨日は、仕事でこられなかったけど、今夜は……二人揃って来た」
「お義父さん。これ見てください」
「婚姻届……いいのかい、美優ちゃん……」
「だって……だから言ったでしょ。わたしは本当に英二さんと結婚するって」
「そうか……その指輪?」
「うん、親父が、お袋に送った指輪を作った、同じ店で」
「そうか……昨日は、ちがう指輪のように見えたが」
「ちゃんと、覚悟の程を、ちゃんとお義父さんに分かってもらうために、英二さん作り直してくれたんです」
「分かってくれたかい、親父?」
「ああ、美優ちゃん……このボンクラを、よろしく頼むよ」
「ボンクラはないだろう」
「ああ、すまん。英二にしちゃ、上出来だ。好きな女を清いまま……オレは、てっきり、お前のヤラセだと思っていた」
美優の心臓は大きく高鳴って顔が真っ赤になってきやがった。だからよ、使うエネルギーも増えちまって、ジジイに送っていたエネルギーを遮断したぞ。
「あ、眠っちゃった……きっと安心したのね」
由美子も嬉しそうに父の手を握って、掛け布団の中に収めてやったぞ。
その夜、家にもどり、食事やあれこれをすませ、お風呂に入ったあと、美優はいったん自分の部屋に戻りやがる。
その夜、家にもどり、食事やあれこれをすませ、お風呂に入ったあと、美優はいったん自分の部屋に戻りやがる。
そしてガウンを着て黒羽の部屋の前に立ちやがる。そして……大きな深呼吸をしてドアをノックしやがった。
コンコン
「どうぞ」
黒羽の声がした。
「え、英二さん……(//▭//) 」
声がかすれてやがる。
美優は、自然な飛躍をするために、ゆっくりとドアの中に身を滑り込ませていきやがった……。
マユは、美優の体の中で3200万個目のガン細胞を殺しにかかるところだったぞ……。
マユは、美優の体の中で3200万個目のガン細胞を殺しにかかるところだったぞ……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 美優 ローザンヌの娘
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 上杉 オモクロのプロディューサー
- 片岡先生 マユたちの英語の先生