大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

やくもあやかし物語・96『コルトガバメント・2』

2021-08-29 09:22:29 | ライトノベルセレクト

やく物語・96

『コルトガバメント・2』   

 

 

 お婆ちゃんがお風呂にいくのを見計らって、お爺ちゃんが寄ってきた。

 

「言い忘れてたけど、ピストルの銃口は覗いちゃいけない」

「そうなの? 壊れてるし、弾も入ってないけど」

「万一ってことがある」

「う、うん」

「人に向けてもいけない」

「うん」

「向けていいのは、ちゃんと装備したサバゲーの時だけだ」

「サバゲー?」

 並んだサバをエアガンで撃ってるとこが頭に浮かんだ。

「ゴーグルとかプロテクターとか装着して、きちんとサバゲーのフィールドって決められたとこだけさ」

「うん」

「それから、セーフティーなんだけど……」

 背中に手を回すと、どこに隠していたのか自分のコルトガバメントを取り出した。

「これがセーフティー、安全装置だ」

 グリップの上の突起を示した。

「こいつを上に上げるとロックが掛かって、引き金も撃鉄も動かない。遊ばない時は、必ず上の方に上げてロックしとく。それからグリップのとこ、握ると親指の根元に当るところもセーフティーなんだ。ほら……グリップを握らないと引き金、動かないだろう」

「なるほど……」

 

 部屋に戻って、さっそく自分のガバメントを確認。

 

 カチャ カチャ

 セーフティーを動かしてみる。

 ガシッ!

 上のとこを引いてみる。

 雰囲気だよぉ(#^▽^#)……ガンダムが準備動作してるみたいな、あるいは、宇宙戦艦ヤマトが波動砲発射の直前みたいなカッコよさ。

 お爺ちゃんは、安全のために説明をしてくれたんだけど、弄ってみると、逆に高揚してくる。

 なんだか、逆に、心のセーフティーが外れて行ってしまいそう。

 人に向けてはいけないので天上の隅に銃口を向けてみる。

 

 パン!

 

 ビックリした(*_*)!

 それまで、パスパスとしか鳴らなかったのが、しっかり吠えた。

 周囲から視線を感じる。

 

 机の上のフィギュアたちや、壁のアノマロカリスたちが目を剥いてる。

「アハハハ……ごめんね(^_^;)」

 セーフティーを掛けて、机の上……フィギュアたちがギョッとする。

 仕方がないので、グリップを握ったままベッドに寝転ぶ。今夜は、このまま寝てしまおう。

 

 プルルル プルルル

 

 黒電話が鳴って、慌てて受話器を取る。

「もしもし……」

『寝てるところをすまない』

 この声は俊徳丸。

『そのコルトガバメントを持って、すぐに来てくれないか』

「え、なんで(知ってるの)?」

『詳しく言ってる暇はない、すぐに!』

「う、うん」

 ベッドの足元を見ると、もう例の自動改札が現れていた。

 改札機の向こうは、わたしをせかすように黄色い灯りが明滅している。

 机の上に目をやると、黒猫のチカコが露骨に視線を避けるけど、無視してポケットの突っ込む。

 ヒエー

 チカコの悲鳴も無視して、イコカを改札機にあてるわたしだった。

 

☆ 主な登場人物

  • やくも       一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
  • お母さん      やくもとは血の繋がりは無い 陽子
  • お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
  • お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
  • 教頭先生
  • 小出先生      図書部の先生
  • 杉野君        図書委員仲間 やくものことが好き
  • 小桜さん       図書委員仲間
  • あやかしたち    交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸

 


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