やくもあやかし物語 2
せっかくだからお風呂に入ろうということになった。
『いくわよぉ……一の二の三(ヒのフのミ)!』
メキメキメキ!
御息所がデラシネからもらった手袋(036『交換手さんの提案』)を振ると、飯盒ほどの大きさだった燗風呂が立派なヒノキ造りのお風呂になった。
おお(^〇^)(^◇^)!
『うん、今日は調子がいい。おまけよ!』
ザザザザ!
草原の草がひしめくように寄り集まって、脱衣所と囲いができる。
「あらあ、脱衣カゴにバスタオルもあるじゃありませんか(^▽^)」
『一通りはそろっておるぞよ』
「ほんとだ、洗い場にシャンプーとボディーソープもあるよ、御息所って、ここまでできたんだぁ!」
『うん、温泉の素とかもあるからなぁ……箱根の湯なんかどうだぁ?』
「すてき」
『ふふふ、看板も付けようか……それ!』
囲いの上に『御息所温泉』の看板、入り口には『ゆ』のノレンまで付いた。
「さあ、あとはお水を入れて、お湯を沸かすだけですねえ」
「じゃあ、お湯を頼むよ、御息所」
『よし!…………それ!……えい!……やぁ!…………(;'∀')』
「どうしたぁ?」
『ま、魔力が切れた……(-_-;)』
「もう、肝心のお湯が無かったらなんにもならないじゃないよ!」
『し、仕方がないだろ、無いものは無いんだから(''◇'')』
「ここまでそろったのに、もったいないわ。近くに川とか池とかは無いのかしら?」
「そうだ、樺太の時みたいに空を飛んで探してみてよ」
『え、わらわがか!?』
「いくよぉ」
『ちょ、待っ……!!?』
ビュン
手袋に突っ込んで、空高く放り上げてやる。
ウワアアアアアアアア!
さすがデラシネの手袋、あっという間に空高く上がってしまったよ。
☆彡主な登場人物
- やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
- ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
- ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
- ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
- メグ・キャリバーン 教頭先生
- カーナボン卿 校長先生
- 酒井 詩 コトハ 聴講生
- 同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
- 先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
- あやかしたち デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女