大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・ムッチャンのイレギュラーマガジン・40『橋下徹氏の功罪』

2015-05-18 11:49:20 | イレギュラーマガジン
ムッチャンのイレギュラーマガジン・40
『橋下徹氏の功罪』



 昨日(2015・5・17)大阪の歴史に残る混乱に終止符が打たれた。

 わたしの知る限り、大阪の歴史で大阪の人間の意識を真っ二つにした事件はなかった。いわゆる大阪都構想である。


 橋下氏は、これで政界を引退されるそうである。本当に引退したら潔い退場になるが、これだけの力を持ってしまった維新の会は、簡単には氏を引退はさせないと思う。維新の会は多くの政党がそうであるように、組織存在が目的化してきている。憲法改正を目標とする今の与党は、中央政界では維新の会を手放したくはないだろうし。

 氏の功績は、大阪の人間に自分たちの大阪のことを人任せにせず、自分たちの問題として考えさせたことである。

 歴史上、大阪は、ほぼハッタラカシにされてきたし、大阪の人間もホッタラカシをもって良しとしてきた。
 大阪には、かつて経済的にも文化的にもそれだけの力があった。

 明治維新が成就したとき、日本の首都は大阪でほとんど決まりかけていた。江戸期を通じて大阪は米や銀の相場を決定するほどの力を持ち、経済や交通の面でも当時の日本が考えていた国の大きさに見合った首都になれる条件を備えていた。
 それが、維新当時無名であった元幕臣前島密(まえじまひそか)の大久保利通への建白書でひっくり返った。
「大阪は、経済・文化共に進んでおり、放っておいても、自立して反映していきます。比べて江戸は武士の存在によって成り立っていた街で、幕府が瓦解し、武士のいない街に成り果て、このままでは百万の江戸市民が(半分は武士であるが)路頭に迷い、江戸は太田道灌のころの寒村に落ちぶれ果てるでしょう。また、日本の将来を考えた場合、大阪では狭すぎます。広い坂東平野をひかえた江戸をもって首都とすべきであります」
 この手紙に感動した大久保が、周囲を説き伏せ、ほとんど一朝にして江戸が東京(ただしくは「とうけい」と呼んだ)と改称して、日本の首都となり、前島は、その後の日本の郵政の創設を任されることになる。

 前島が建白し、大久保によって決定されたように、東京と大阪は、歴史的には、ついこないだまでうまくやってきた。

 それが、前世期の後半から下り坂である。サントリーが見本のように本社機能を東京に移した。今や大企業のほとんどの本社が東京に移ってしまった。で、この凋落ぶりは橋下氏が、大阪の行政の権を握ってからも改善されるどころか悪化に拍車がかかった。

 わたしの目には、氏は大阪のあれこれを潰しただけにしか思えない。長くなるので青少年文化に限って述べる。

 大阪には、かつて森ノ宮に、青少年会館があった。元々は府立で、役所同然の文化施設であった。小ホールの移動式階段一つ動かしただけで、会館のお役人から注意された。会議室などで芝居の稽古をしていたが「声が大きすぎる」「正規の使用目的から逸脱している」などとケチを付けられた。
 それが、利用者の声や、青少年活動振興協会(ユースサービス)の協力もあって、関西で一番青少年の文化活動に理解ある施設になった。
 二十年ほど前に老朽化した小ホールが取り壊され、大和銀行(当時)の寄付金を基にして、プラネットホールが作られた。単なる箱ものではなく、運営そのものが大阪の青少年を運営に参画させ、自治的な貸しホール、稽古場、資料館としての役割を果たしてきた。
 同時に、本館の四階を改装、それまで、どこか不良の集まりのように見られていたロックやジャズなどの音楽関係の貸しスタジオも作り、ここは希望者が殺到し、毎回プラネットホールも含め、抽選で使用が決められていた。

 これを、あっさりと採算がとれないということだけで、廃止解体されてしまい、直後にマンションが建てられた。

 プラネットホールの寿命は二十年に満たなかった。

 以来、大阪の青少年の文化活動は、その拠点を失ってしまった。
 青少年会館を、真に文化活動の拠点にするのに三十年かかった。橋下氏は、まるで蚊を叩き潰すようにして一瞬で消滅させた。

 以来、大阪は青少年文化に関しては、根なし草になってしまった。軽音やブラバン、ダンスなどは企業の肝いりもあるようで、なんとか勢いを保っているが、こと演劇の文化拠点としては壊滅させられた。

 個人的には、橋下氏が、これで引退されることを切望して止まない。



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