【One Color Flower Arrangement 】
***White ・白***
父が好きだった純白のムクゲの花が
カントリーハウスにあった、
本当に偶然にも。
長野から祖母が持ってきて家の前に植えたら、
毎年夏になると透き通るような
白い花を咲かせ、それをこよなく愛していた。
ある年の秋こと。
区の道路整備の人たちが来て
街路樹の剪定に来た時に
ムクゲもバッサリと切ってしまった。
それはそうだ。区の植え込みに勝手に植えて
かなり大きく育ってしまったのだから。
無惨にも太い枝だけになってしまった姿を見て
関西弁で「何をするんや…」と
何度となくつぶやいて落ち込んでいた。
そのしょんぼりと肩を落とした父が
今でも忘れられない。
けれど翌年になって春が来ると
急に若い枝があちこちから伸び始めたかと思うと、
夏には今までに見たことがないほどの
ムクゲの花をつけたのだった。
なんと、剪定した方が良く花が咲くんだ…
そちらの方が私にとっては衝撃的だった。
その年からは花が終わると枝を切って
束ねるのが私の仕事となった。
そしてそれをお花のレッスンやデザインに使うのである。
行政の人々が無断で引っこ抜くこともなく、
植え込みの隙間や間に区民が植える花々を
一緒に大切にしてくれたのもなんだか嬉しかった。
父はガンになって、どんどんと痩せていっても
仕事の合間には白いムクゲを手入れし、
「綺麗ですね!」と話しかけて来る人たちと
その前で誇らしげにおしゃべりをしていた。
そういえば父が亡くなった年は55才。
私がここで結婚をしたのも55才。
今年の初めに
ブラジリアンのミュージシャンの
音楽葬に出席した時
白い服を着てほしいと言われた。
ブラジルでは(宗派によると思うが)
お葬式では白などの淡い色を着て
参列するのだという。
親族は皆、純白のドレスやスーツで
歌ったり踊ったりして、まるで
結婚式のようににぎやかだった。
白は始まりの色であり、
終わりの色なのである。
そして終わったらまた始まるのだ。
だから「永遠の色」なのかもしれない。
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