すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

北欧の中のノルウェー、
北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

「考えない」

2010-10-27 | 素老日誌

素老日誌 2010.10.13.(リハビリ日誌 26日目)

レモンの里の仲間のお一人が亡くなられた。

危ない状態になって二週間。
連日家族さんの泊り込みの看護の下、
穏やかに逝かれた。

今日は、出棺の日。

ちょうど整体の先生が来てくださることになっている。
待っている間、
母は、はらはらはら・・・と泣いている。

しかし、朝起きたばかりの母は、出棺ということはわかっていないはず。

娘:どこか痛いの?
母:(首を横に振る)
娘:悲しいの?
母:(首を横に振る)
娘:泣けてくることもあるよなあ。
母:(首を縦に振り、またはらはらはら・・・と涙)

この涙の正体は何だろう?と思いつつも、
私は勝手に体が不自由になった母の胸中を想った。

そこへ、整体の岡先生が来てくださる。
先ほどからずっと涙している母の様子を話すと・・・

「今日のこのホーム全体の空気を脳が察知して、
泣いてみえるんでしょう」。

なるほど・・・確かにそうかも・・・。

道理で、今日の涙には、
感情が乗った重さ、激しさがなかったわけだ。

言葉にできる理由はわからなくても涙が自然に出てくる。
音楽を聞いたり、絵を見たりして無自覚に泣けてくる・・・
そういう感覚に近いだろうか。
いやいやもっと深いか・・・

こういう感性って、
何かにつけ理由をつけたがる頭でっかちの私には、
むしろ羨ましい。

だけど、そういう感性って、
私たちの中にも本当はもっとあるはずなんだよなあ。

そう、これも認知症の母から教わった大事なことの一つ。

それは・・・
「考えない」。

 

コメント
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