今回のテーマは、遅まきながら安倍政権への回顧だが、本論に入る前に爺の立ち位置を説明しておきたい。
今年の4月ごろ、安倍首相(当時)が自宅で寛ぐ映像がネットやTV画面に流れたことがある。その時の爺の印象は“このところ首相は休日返上で頑張っているらしいから、そういう息抜きの時間は必要だ。それはともかく、この映像を流した目的は、国民にStay homeというメッセージを送ることだろう。適切な映像だ”である。
しかし、ネットやマスコミの反応は“国民がコロナで苦労している時に、こんな優雅な姿の映像を公開するとは不謹慎だ”だった。すなわち、安倍政権に対する爺の立ち位置は、一部の国民とは違うことを念頭に置いて、以下の本論をご覧頂く。
安倍政権の功績はいろいろあるが、爺としては、外交面の功績を筆頭に挙げたい。特に、これまでの“謝罪外交”に歯止めをかけたことを高く評価する。韓国とは関係が悪化したが、それはちゃぶ台返しをした文大統領の責任である。
さて、保守系各論壇誌の11月号は、安倍政権の回顧と称賛で埋め尽くされた。その中で、爺が注目したのは、Hanadaに掲載された藤原かずえ氏による“安倍政権こそ弱者に寄り添った”である。
この論考は次の文章で始まる。(赤字)
安倍首相ほどマスメディア・野党・活動家・政権不支持者から罵られ続けた首相もいません。彼ら「反安倍陣営」は、自由意志を持つ国民が一貫して支持した長期政権を「腐敗した一強の長期政権」、その中心にいる安倍首相を「強引な手法で政治を私物化するタカ派で歴史修正主義の独裁者」といったレッテル貼りをして、人格攻撃を続けました。(以下省略)
同感である。爺の印象では、モリカケ問題におけるマスコミの常軌を逸した安倍攻撃が特にひどかった。安倍氏にも誤解を招くような発言があったが、爺のような門外漢でさえ、“この案件の大筋は見えた。安倍氏にはなんらやましいことはない”と認識した時があったが、その時でもマスコミと野党は“疑惑はさらに深まった”と叫び、安倍氏に身の潔白を証明するよう迫った。やってないことを証明することは不可能であり、爺は反安倍勢力の理不尽さに呆れたものである。
その時、爺は“首相とはずいぶんしんどい仕事だな。首相でなくてよかった(なるわけないが)”と同情した。
さらに爺が憤慨したのは、2017年10月の衆議院選挙における出来事である。安倍首相を取り囲んだ集団が大声で演説を妨害したとき、安倍氏は“あんな人たちに負けるわけにはいかないんです”と言った。これに対して、マスコミは“あんな人たち”という言葉使いを攻撃したが、選挙妨害をした集団こそ非難されるべきだった。
新型コロナへの対応も後手後手に回ったと批判されたが、10ヵ月経った今にして思えば、台湾や韓国には劣るものの、全世界的には日本の被害は非常に小さいことは明らかである。
そして、安倍政権の退陣時の支持率は、朝日新聞による調査でさえ71%という高い水準となった。もちろん、情緒票もかなりあったとは思うが、総じて国民は悪夢から醒めたかのごとく感じたのではないか。
アベノミクスが失速したことは残念だし、爺としては、憲法改正や北朝鮮の拉致被害者を取り戻すことまでやってほしかった。しかし、過去の政権に比べればはるかにましである。
安倍晋三氏はまだ政界から引退する年齢ではない。第三次安倍政権とまではいかなくても、また国のために尽くして頂く機会があることを期待する。
ともあれ、安倍晋三さん、ご苦労様でした。
【お知らせ】
次回投稿は10月12日(月)の予定です。