爺は日本学術会議という組織の名称には記憶があるものの、具体的にそれがどういう組織なのか、どんな活動をしているのかに注意を払ったことはない。「お前が不勉強だからだ」と言われればそれまでだが、大部分の国民は爺程度の認識ではないだろうか。
その理由は、日本学術会議がこれまであまり目立った活動をしていなかったからではないのかと思っていたら、やはり「法律に基づく政府への勧告が2010年以来、行われていないことから、河野行政・規制改革相の下、妥当性を検証する」とあった(読売新聞10月9日)。
では、その勧告とはどんなものかと「日本学術会議法」を読んでみたら、第五条に「勧告」に関する記述があった。(赤字)
第五条 日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる。
一 科学の振興及び技術の発達に関する方策
二 科学に関する研究成果の活用に関する方策
三 科学研究者の養成に関する方策
四 科学を行政に反映させる方策
五 科学を産業及び国民生活に浸透させる方策
六 その他日本学術会議の目的の遂行に適当な事項
要するに、役割がしっかり定められている。そして、その役割に対して報酬が与えられる。
会員手当(45,000,000円÷210人≒214,000円)は大したことがないが、学術会議会員となれば肩書に箔がつき、活動に有形無形のメリットがあることは言うまでもない。さらに政府の研究開発費や補助金の配分に関わることは、学術会議の大きな利権である。
それでいてその役割をろくに果たしていないとはどういうことか。この学者たちは良心に照らして恥ずかしいと思わないのだろうか。
一方、学術会議は中国科学技術協会と提携しているという。学術会議は軍事目的の研究は行わないと宣言しているが、中國では科学技術に軍事と民生の境がないことをわかっているのだろうか。
また、学術会議は2007年以来、答申もなかったというが、これは政府が諮問しなかったためだろう。換言すれば、政府は学術会議を活用していなかったことになる。
端的に言って、日本学術会議は存在価値がないということになる。
さて、学術会議事務局の常勤職員は50人で、年間3億9千万円の人件費が支払われている(単純平均で一人当たり780万円)。この職員たちはどんな仕事をしているのだろうか。下司の勘繰りだが、時間を持て余しているのではないだろうか。
YouTubeで「日本学術会議」と検索すると、いろいろな意見がでてくるが、学術会議に否定的なものばかりである。
政府が推薦された会員候補者を6名任命せず、その理由を明確に説明しなかったことは、いささか乱暴だったと思う。しかし、それが突破口となって、学術会議のいろいろな問題点が炙り出されたことはよかった。発足してから71年も経てば、錆びついた部分もでてこよう。この際、河野改革相が徹底的に制度を洗い直して、新しい出発点とすることを期待する。