梅若玄祥さんの舞台を観たいと以前京都に出かけましたが、ご本人が体調を崩され休演。
ふとしたきっかけで今月5日に名古屋でまた梅若さんの舞台があることを知り、慌ててチケットを求めました。
当日は佐橋は京都に仕事で出かけましたので、私一人で名古屋能楽堂に出かけました。
演目は 「巻絹」
偶然にもチケットを求めたのは実父の亡くなる前日。今の私にはとてもぴったりの作品だと思い期待していましたが、やはりあまりに直前だったためか良いお席が残っておらず、なかなか鑑賞に集中することができませんでした。
ただこの演目の中心になる歌に
「音無にかつ咲きそむる梅の花 匂わざりせば誰か知るべき」があり
また「神は人の敬いによって威を増し。人は神の加護に依れり。」という地謡があり・・
私にはこの歌や言葉が人生の様々なことに通じるように思え、心に響きました。
自ら音を発したり、光を発することなく何時も静かにそこにある絵画。
そこに香しい気品、深い芸術性がなければ誰にも気づかれることはありません。
見る人の作品や画家に対する敬いの気持ちが、作品に美しさを増させ、
その美しい作品を人は心の拠り所とする。
お能はいつも丁寧に丁寧に私の心を鎮めてくれ、本当に美しいものに
出会う力を授けてくれます。