佐橋の腰が随分良くなりましたので、日曜日にやっと伺うことができました。
三重県立美術館さんへ。
三重県立美術館さんは三重県の津市、名古屋から近鉄特急か急行に乗って1時間ほどの場所にありますので、その気にならなければなかなか出かけにくいのですが、いざ伺ってみるととても良い環境にあり、また館内も広々としているので、絵画をゆっくり鑑賞する事が出来ます。
今回は横光利一生誕120年 川端康成コレクション
川端康成と横光利一展 が12月16日まで開かれています。
美術品への興味から川端康成のコレクションは何度も拝見していますが、やはりこのクラスの作品は何度鑑賞しても良いと思える事、また「文学の神様」と言われ、学生の頃からこの人を超える作家はいないのではないかと思ってきた横光の、その人柄に触れてみたいという思い、また美術館としてこの2人にどのようなアプローチをされるのか?という興味から伺ってみたいと思いました。
展覧会はまず横光と川端の関係から、、
若い頃に菊池寛の紹介で知り合った2人が生涯を通じ無二の親友であったということ、ともにその存在を敬い、新しい文学表現を目指したことの紹介から始まります。三重県に住んだことのある横光の川端への書簡が沢山紹介され、その文字や文章内容から、横光が川端をいかに頼りにしていたか、また心を許していたかが伺えます。横光の文章は書簡の中でも冴え渡っている気が致します。
そして私が今回1番驚いたのは、横光利一の作品の装丁を多く佐野繁次郎が手がけていること、
川端の作品を古賀春江が手がけていることでした。
この古賀の作品は今まで観てきた古賀の作品の中で1番良いと思えました。
美術品としては、佐野、古賀も展示されている作品はほんの少しですが、特に古賀の作品はこの展覧会で私たちの視点が変わったのか?とても良いと感じられました。
後半の川端のコレクションについては思っていたより特に骨董の作品の展示は少なかったのですが、晩年に川端が親交を深めた東山魁夷の作品など、どの作品もやはりレベルは高いものでした。
この展覧会では2人の作家に多方面からのアプローチがあり、それぞれの分野での展示に少し甘さがあるのかとも感じましたが、横光と川端が文学的にも、芸術的にも日本の先端を歩いていたこと、そしてその責任の重さを若い2人がよくわかっていたこと、ともに繊細な美意識を持ち得て、多くの画家や美術品に触れてきた意味をあらためて知る事が出来ました。
そして何よりも私の川端康成観が随分と質を変えたように感じます。
私たちはやはり日本の近代美術、文学が好きなのだなぁと思います。
画家や作家がどの時代より迷い、悩み続けた時代のように感じ、またその成果が見事に作品に現れているように思うのです。
久しぶりに伺った展覧会が、絵画ばかりの展示で無かったことになぜかとても救われました。
「時代」をよくお分かりになっている、そうした視野で企画されたよい展覧会であったと思います。
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