吉田善彦(1912~2001年)は、私達が特に好きな日本画家です。
吉田は、長年研究を続けた古画の風化した絵具の味わい、美しさを自身の作品で再現しようと試みました。
そして、一度描いた絵の画面をもみほぐし、その上に金箔のベールをかぶせ、最後に本当の線引きをしていく吉田様式といわれる独自の技法を編み出しました。
その気品あふれる色彩と抑制のきいた線描による作品は、ともすれば地味にとらえられがちですが、
日本人として生きるとはどういうことだろうか?いつも私に静かに問いかけてくれるように思えてなりません。
画家は画家として、惜しむことなく無心に手を動かし続け、画面に投影されていく己と向き合う。
吉田善彦は、祈るようにひたすらそれを繰り返した画家ではないでしょうか?
30年前に、初めてその作品に出会った頃の自分の心を今回の展覧会の作品を見ながら遠く思い出しました。
絵は心。
師である速水御舟の言葉を誠実に受けとめた吉田善彦の作品は、来月半ばまで愛知県小牧市のメナード美術館でご覧頂けます。
※受け継がれる日本の美 特別企画展 吉田善彦・林功
6月19日まで メナード美術館にて
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