あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

名月の里・姨捨を歩く(長野県)

2008-09-18 22:18:10 | カントリーウオーク
 2008年9月6日(土)

 久比岐(くびき)自動車道歩きからの帰途も、往路同様に青春
18きっぷで戻ることにした。JR信越、篠ノ井、中央、武蔵野
各線を乗り継ぐルートを検討した結果、直江津を朝早く出れば、
途中で4時間くらいの寄り道ができそう。

 そこで、カントリーウオークの仲間が5月に歩いたが、私は腰
痛で参加できなかった千曲市内のコースのうち、JR篠ノ井線の
姥捨(おばすて)駅周辺だけを回ることにした。

 直江津駅発6時50分の長野行きに乗る。乗り換えた長野発
松本行き3両編成の電車は、稲荷山駅を過ぎると上り急勾配を
一気に上がり、千曲川沿いの町並みがどんどん下になって行く
のが分かる。

 いったん駅の下方を先方まで進み、スイッチバックして、姨捨
駅に9時半に下りた。



 姥捨駅の標高は547m、駅は25/1000(40m進んで1m
の高低差がある)の急勾配の場所にあり、スイッチバック式に
なっている。

 高所なので眺めが良く、熊本県えびの高原線の矢岳駅、北海
道・根室本線狩勝駅とともに日本3大車窓の一つに数えられて
いる。

 ホームのベンチは普通、線路側を向いているものだが、この駅
では善光寺平を眺められるよう、反対側を向いていた。


 遠方の山並みはちょっと霞んでいたが、東側に「田毎(たごと)
の月」で知られる色づいた棚田や、千曲川沿いの家並みなどが
一望できる。


 無人の駅を出て、戻る方向に進んで最初の踏切を東に下る。
踏切は上下二つあり、最初は駅構内の延長上の線路、その下
は乗ってきた長野方向からの線路である。

 下の踏切際に、古い姥捨公園案内板があったのでその方向
に進む。線路の下の林を上がると、公園の東屋(あずまや)が
あった。

 桜などの木が伸びて、さほどの展望はないが、背後の5つの
氏神が並ぶところに上がると、北側の千曲川沿いの家並みや
田んぼが見下ろせる。


 公園内に、

 「名月や 思ふまじきは 過去未来」
 
   と自然石に刻まれた可都三の句碑が立っていた。

 色づきはじめたリンゴ畑の横を下り、姥捨集落に入る。曲がり
くねった道路が上下にあり、地図のどのあたりかが分かりにくい。
民家のの周囲にも小さい棚田が何枚もある。

 広い車道に出て緩やかに下ると、大きな黒瓦の建物があった。
姨捨観光会館で、更科(さらしな)そばが食べられるが、11時
からとのことだった。


 そばに、かやぶき方形屋根、舞台造りの建物が見えた。天台
宗の古寺、長楽寺の観音堂である。


 長楽寺は、信濃三十三番札所第14番霊場。曲がり家になっ
ている本堂もかやぶき屋根。ともに天保5年(1834)の再建と
いう。

 姨捨は、古今和歌集(905)の時代から月の名所として知ら
れ、松尾芭蕉など多くの文人墨客が訪れており、境内には松尾
芭蕉の、

「信濃では 月と佛と おらが蕎麦」

   を初めとする、数え切れぬほどの句碑が立ち並んでいる。


 観音堂と南側の月見堂(下)の間には、姥石と呼ばれる大岩が
あり、月見堂のかたわらに樹齢800~1000年というカツラの
古木が立つ。


 この日、長野県内は30℃を超えて残暑が厳しく、ここまで来る
だけでも大汗をかく。木陰でひと休み後、姨捨の棚田巡りに向か
うことにした。


 小さい流れの更級川を渡った東側斜面に、色づいた棚田が一
面に広がる。棚田の中心にある姪石苑(めいしえん)と呼ぶ建物
の向こうで先客が5人、棚田の眺望を楽しんでいた、と思って近
づいたらかかしだった。


 棚田内の道をあちこち回り、上の方にある東屋にも上がり、す
ばらしい棚田の展望を満喫した。



 姪石苑の下には、10数個のかかしが立ち、その下にある姥石
とよぶ岩には、お地蔵さんのような石仏が祭られていた。


 棚田に接したリンゴ畑のリンゴも、色づきはじめている。






 ビオトープになっている湿地の横を下って更級川の新雲井橋を
渡る。対岸の車道上には、「田毎の月」の名のおこりという、小
さい田が集まった四十八枚田が、保存会の手で守られており、
中ほどに宝永3年(1760)銘の田毎観音が祭られていた。


 かんかん照りにもかかわらず木陰がないので暑い。まだ1時
間以上余裕があるが、棚田巡りはこの辺で切り上げることにした。

 車道を上がって最初に寄った姨捨観光会館に正午近くに入り、
とろろそばを注文、了解を得て持参の弁当も一緒に昼食をする。

 時刻を見計らって観光会館を出る。姨捨集落を抜け、下ったと
きとは反対の松本方向の踏切に上がって姥捨駅に戻り、12時
38分発松本行きで帰路についた。

 (天気 晴、距離 5㎞、地図(1/2.5万) 稲荷山、麻績(おみ)、
 歩行地 長野県千曲市)
コメント
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