愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

閑話休題 233 飛蓬-140 コロナ 治まるか?

2021-10-18 16:15:36 | 漢詩を読む
コロナ感染状況に明るい兆しが見えているように思われますが、錯覚であろうか?異常に拡大した感染第5波により、日常生活のあらゆる面に緊縮を強いられてきたが、心なしか明るく感じられるこの頃である。道端の草花に、草陰で鳴く虫にも、快い気分にされます。

4次緊急事態宣言解除3週間経って、なお感染拡大の兆候が見られない現況をみてホッとしているのだが、即断は許されまい。ワクチン接種の好影響に拠る面が大きいのでしょうが、海外の国々の状況からみて、必ずしも全幅の楽観には程遠いように思える。

‘19年暮以来、コロナ故に仲間や親族との団欒の場を失い、明るい兆しがあるとは言え、この秋から暮れ・正月にかけてもなお集まりを見合わすことにした。かかる状況下、想いを漢詩に留めた。”With-コロナ”下9篇目となるが、次回は“without-”となることを念じて止まない。

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<漢詩原文および読み下し文>  [上平声十一真韻] 
 喜辛丑孟秋似乎稳静着冠状 
          辛丑(シンチュウ)孟秋 冠状(コロナ)の穏静着(オサマリツツ)あるを喜ぶ 
微風楚楚虞美人, 微風 楚楚(ソソ)たり虞美人(グビジン),
蟋蟀唧唧独嘅呻。 蟋蟀(シッシュツ) 唧唧(チチ) 独り嘅(ガイ)して呻(ウタ)う。
杜絶団園秋両次, 杜絶(トゼツ)せし団園(ダンエン) 秋 両次,
有如冠状解至仁。 冠状 至仁(シジン)を解するが如し。
 註] 
  似乎:…のようである; 穏静:おさまる; 楚楚:可憐で美しいさま; 
  虞美人:ひなげし; 蟋蟀:コオロギ; 唧唧:(虫の鳴く声)ジイジイ; 
  嘅:深く心に感じる; 団園:団欒; 至仁:最高の仁徳。 
  
<現代語訳> 
 ‘21年初秋 コロナ感染が治まりつゝあるのを喜ぶ   
そよ風にそよとしてしなやかに揺れる虞美人草、
日が傾くと、虫の合唱はまだ聞けないが、コオロギはひとり快く鳴いている。
親戚や仲間との集まりの途絶えは、今秋含めて2度の秋にわたるが、
コロナも仁徳を心得つゝあるのではないかと思えてくるこの頃である。

<簡体字およびピンイン> 
 喜辛丑孟秋似乎稳静着冠状 
          Xǐ xīnchǒu mèng qiū sìhū wěnjìngzhe guānzhuàng 
微风楚楚虞美人, Wéifēng chǔchǔ yúměirén,  
蟋蟀唧唧独嘅呻。 xīshuài jījī dú kǎi shēn.
杜绝团圆秋两次, Dùjué tuányuán qiū liǎng cì,
有如冠状解至仁。 Yǒu rú guānzhuàng jiě zhìrén.  
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第5波のコロナ感染は格別強烈であった。4次緊急事態宣言は適用地域の拡大、期間の延長など、市民生活、活動に大きな制約を課す結果となり、多大の影響を来した。その間、オリンピック・パラリンピックは開催され、無事終了できたことは幸いであった。

これまでのコロナ感染の経過を概観すると、第1波から5波までは3,4ケ月の間をおいて感染拡大のピークが周期的に現れているように読める。またコロナ感染症では、感染後ほぼ2週間経って症状が発現するようだ。これらの知見を踏まえれば、楽観は許されないようである。

ただ近時、4次緊急事態宣言の解除(9/30)後、ほぼ3週間経って、感染数増加の兆しはなく、むしろ減少傾向にある。それ故に「終息かな!」と楽観的に捉えたいのは、人情というものであろう。ワクチン2回接種率が国民のほぼ60数%に達したという事実も後押ししてくれる。

世界を見渡すと、ワクチン2回接種率がより高い、複数の国で感染の広がり-break-through-が伝えられており、ワクチン接種に基礎を置く考えに100%乗ることはできそうにない。今後の研究に期待を膨らましているところである。

筆者は、コロナが「人類の苦境を知り、“仁(思い遣り、慈しみ)”を理解し、実践している」のでは と空想しています。“仁”の中には、“コロナウイルスの特性として、増殖を繰り返すうちに、弱毒化するとか寿命が短くなって死滅していく”などの自然摂理の可能性および期待をも含めて。
コメント
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