OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

経営リテラシー (V字回復の経営(三枝 匡))

2006-06-08 01:40:10 | 本と雑誌

 三枝氏の示す事業改革の道程は、現実の「日本企業」を対象とした現実感のある着実な歩みです。
 その底流には、高度成長期以降の日本経営に対する真摯な反省が流れています。

(p162より引用) 米国から流れてくるコンセプトを否定し、日本には日本なりの経営があると言うなら、われわれ日本人がこの40年間に時代の変化に合わせて開発してきた新たな経営ノウハウに、どのようなものがあると言えるだろうか。
 ほとんど何もない。・・・

 もちろん「経営」は会社全体としての取り組みです。経営者のみで営まれるものではありません。
 しかしながら、三枝氏は、日本企業の停滞の主要因を、やはり「経営者の責任」と捉えています。

(p162より引用) もともと日本企業は、戦略的思考に弱かった。日本が強かったのは、ミドル以下の若い社員が中心になって推進した現場改善の手法だった。・・・
 日本的経営の特徴だと誇りに思っていたボトムアップ型の組織運営こそが、実はお神輿経営を生み、経営者育成を遅らせる結果を生んだのではないだろうか。そして日本の歴代経営者が現場改善の結果に頼り、それがいつまでも企業戦略として有効だと誤解したところに、90年代の苦境を招く原因があったのではないだろうか。

 この本で再現された事業改革の取り組みでも、トップの姿勢・責任を最重要ポイントとして採り上げています。

(p221より引用) 戦略とはまだ実行していないことを決めるのだから「仮説」である。仮説の良し悪しはロジックで決める以外にないのだ。

 こういう「戦略」をロジカルに構築・選択するのがトップの役割です。

 この「V字回復の経営」という本は、「経営リテラシー」の低い日本の経営者に対する気付け薬です。
 刺激に満ちたにいい本でした。

コメント
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