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二人の会話 (脳と日本人(松岡正剛・茂木健一郎))

2008-03-20 09:26:00 | 本と雑誌

 松岡正剛氏茂木健一郎氏、お二人の本はそれぞれ何冊か読んでいます。
 特に、松岡氏の著作は、時間的にも空間的にも広い視野でテーマをとらえ、刺戟的な視点から意外な立論がなされるので非常に勉強になります。

 本書は、その松岡氏と脳科学者?である茂木氏との対談集です。

 お二人の話の中から、興味を惹いたやりとりや、松岡氏・茂木氏各々の考え方が際立ったフレーズを私の覚えとして記しておきます。

 松岡氏は、従前より「編集」というコンセプトで、広汎な事象の間の新たな「関係性」の発見に取り組んできました。この「関係」というキーワードに対する茂木氏の経験からの言葉です。

 
(p28より引用) 茂木 その時、はっきりと思ったのは、遠さというか、隔絶しているという性質は、世界の中にあるというよりも、われわれの中、あるいは、われわれと世界との関係の中という位置にあるのではないかということでした。

 
 このイメージは、三内丸山遺跡での土器を前にして感じたのだと言います。

 次は、習慣が生む創発とでもいうのでしょうか、グーグル・アマゾン化するフラット社会に対しての松岡氏のアンチテーゼのフレーズです。

 
(p80より引用) 松岡 千の単位で繰り返された習慣が臨界値に達して何かを創発することと、習慣もないのに便利になった道具を持っていることとの格差が、これから、ますます開いていくだろうね。

 
 もうひとつ、松岡氏の薦める「前向きな断念」について。
 「何を断念するかということが選べるのが大事」と松岡氏は言います。

 
(p92より引用) 茂木 松岡さんがつくられた名文句に「香ばしい失望」という言葉があります。断念することでかえって自由になれる、前に行けるということがありますよね。ぼくは、文学というのは、そもそも断念から始まるんじゃないかと思っています。・・・
松岡 ・・・科学でも、ほんとにいい仕事というのは断念から始まっていますよ。たとえば、相対性理論を発表したアインシュタインであっても、・・・みんな制限、限界というものを感じていて、断念しているんですよ。

 
 最後に、本書で語られた松岡氏のことばの中で最も印象に残ったフレーズをご紹介します。

 
(p218より引用) 松岡 自分の生きてきたかたちでいえば、障害や衝突や解けない問題がどんなに小さくても、その奥は広いと思っています。よりよくするためには、何かつまずいたものを見つめるしかないのじゃないか。そこに絶対、ヒントがあるように思います。

 
 目の前に生起し存在することどもを真摯に受け止め、それを深く洞察する姿勢は、私も、是非とも見習いたいと思います。

 

脳と日本人 脳と日本人
価格:¥ 1,800(税込)
発売日:2007-12

 

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