OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

ルリボシカミキリの青 (福岡 伸一)

2020-09-15 20:23:11 | 本と雑誌

 分子生物学者福岡伸一氏の生い立ち、生物学を目指そうとしたきっかけ等々を自ら語ったエッセイ集です。

 「週刊文春」に連載しているコラムを再編集したものなので、その時々の「時事ネタ」も取り混ぜられていてサクサクとページが進みます。
 採録された約70ほどのコラムの中から、私の興味を惹いたくだりをいくつか書き留めておきます。

 まずは、福岡教授がSSH(スーパーサイエンスハイスクール)で講演した際のエピソードです。

(p96より引用) 講演を終えて会場を後にするとき、生徒たちの会話が耳に届く。「モチベーション高まった!」うれしいなあ。教えることは同時に教えられることでもある。彼ら彼女らの澄んだ好奇心を目の当たりにして、あらためてそう思った。

 これは嬉しいでしょうね。私もシチュエーションは全く異なりますが、人前で講演や講義もどきの話をしたことがありますが、こういった反応が返ってくると「やって良かった!」と心から思いますね。

 もうひとつ、戒めの気づき。日食を利用してアインシュタインの理論を実証しようとした科学者エディントンの逸話の紹介です。

(p154より引用) それから何十年も経過したあるとき、科学史家たちがエディントンの撮影した写真を詳細に再検討してみた。するとどうだろう。写真はいずれも極めて不鮮明で、そこにはたくさんの誤差要因が含まれていることが判明した。星のずれの角度は小さくも大きくも解釈可能だった。ずれの角度がアインシュタイン理論のとおりに結論できたのは、他でもない、アインシュタインの理論があらかじめ存在していたからなのだった。つまりこういうことなのだ。 私たちは事実を虚心坦懐に見ているのではない。私たちは見たいものを見ているのだ。日食のニュースであらためて思い出した。福岡ハカセはこの逸話のことを考える。自戒の意味を込めて。

 なるほど、ただ、このエディントンのエピソードはまだ「真面(まとも)」が部類ですね。
 昨今、世の中で流布されている数々の主張や論説の多くは、それこそ、自説に誘導し、自説に与する“根拠?情報”を切り出して、その正当性を語ろうとしているものばかりです。自説に都合のいい情報しか公開しない、自説を裏付ける情報を創作する・・・、さらにあり得ないことに、都合の悪い情報は隠蔽・破棄するところにまで至っています。

 議論の前提となる「事実の扱い」がこれほどまでに軽くなったのはなぜか?「事実の追求」を使命としていた職業人の“矜持”が失われたのは悲劇です。

 

 

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〔映画〕 ファイナル・スコア

2020-09-14 18:33:27 | 映画

 

 想像していたよりも “しっかり” 作ってある映画だと思いました。

 プロット自体はかなり無理筋ですが、シナリオは伏線も含めてそれなりによく考えられていますし、 本場のサッカースタジアムを舞台にしたアクションシーンも様々な趣向が凝らされていて見応えがあります。

 キャスティング面でも、あまり出番は多くなかったもののピアース・ブロスナンは流石の存在感で、主人公をサポートするファイサルのキャラクタや役柄も効いていましたね。結構、いいですよ。

 

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〔映画〕 アメリカン・グラフィティ

2020-09-13 16:54:14 | 映画

 
 気になっていた映画のひとつですが、ようやくこの歳になって初めて観ました。
 
 お決まりの「ちょっととぼけた眼鏡少年」も出ていて、当時のアメリカのティーンエージャーは正にこんなノリだったんだろうなと思わせる映画です。
 思ったより、それなりにまとまった優等生的な出来栄えに感じたのは、最後、過激なシーンもなくラストも予定調和的なHappy End で収束されているからでしょう。
 
 しかし、今、出演者の方々はみなさん70歳前後、誰かと見紛うハリソン・フォードは78歳ですから、芸歴は長いですね。 あと、ジョージ・ルーカスとのコンビもこのころからだったのですね。

 

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〔映画〕 ブッシュウィック ‐武装都市‐

2020-09-12 16:39:24 | 映画

 
 荒唐無稽のプロットです。
 カメラワークも独特で、主人公たちと同行するように移動しながら撮影しています。
 
 ストーリーはないに等しいので、映像が命の作品との印象ですが、その点でいえば完璧に「B級作品」ではありますがチャレンジングで結構頑張っているように感じました。
 
 ただ、結末はと言えば、まったく救いもなにもない幕切れです。作り手の意図が全然理解できません。

 

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〔映画〕 ダーティハリー5

2020-09-11 20:58:49 | 映画

 
 やはりこのシリーズはもう観ないことにしましょう。最後のシーンは全く無意味ですね。
 
 「映画」というより一話完結型の「テレビドラマシリーズ」といった出来です。このころのクリント・イーストウッドも特に魅力的というわけではありませんし。
 
 今回の作品の見どころは、リーアム・ニーソンでしょう。若いころは結構雰囲気もスタイルも “軽量級” だったんですね。

 

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野垂れ死に: ある講談社・雑誌編集者の回想 (元木 昌彦)

2020-09-10 18:02:20 | 本と雑誌

 少し前に後藤正治さん「拗ね者たらん 本田靖春 人と作品」を読みました。
 その中に本田さんの所縁のひとりとして本書の著者元木昌彦さんも登場していて記憶に残っていたので、いつも行く図書館の新着書の棚で目に留まったというわけです。

 「FRIDAY」編集長・「週刊現代」編集長を歴任の後フリーに転身した元木さんですが、本書は、自らの講談社時代のエピソード取り上げ、その時の心情や内幕を吐露した回想録です。
 当時元木氏と深く付き合った方々(多くは物故者)との思い出を紹介したくだりは劇画のようで、元木氏本人の生き様とともに、かなり強烈です。私なぞ、もちろんそういった能力も適性もありませんが、「雑誌の編集長」は絶対に務まらないですね。

 さて、本書を読んで印象に残ったエピソードはそれこそ山のようにありますが、特に、元木氏の「編集長という仕事への想い」を語ったくだりを書き留めておきます。

(p147より引用) 私が週刊誌編集長時代、「反権力」「週刊誌ジャーナリズムの可能性を追求した」などといわれたことがあるが、本人に全くその気はなかった。
 学生時代のほとんどをバーテンダー稼業に現を抜かし、大学紛争や早大学館闘争などとは無縁だった。
 だが、自分の中に、闘争に命を懸けて機動隊と渡り合って殺されたり、退学せざるを得なくなった人間たちに対する「うしろめたさ」があったのはたしかだった。
 志半ばにして倒れていった彼らの「遺志」を継いでやらねば、という思いが、編集者になってからずっとあった。
 ノンフィクション・ライターの本田靖春から、「戦後民主主義」の素晴らしさを教えてもらったことも影響しているはずだ。

 と、こちらにも、本田靖春さんが登場しています。
 そして、本書の「あとがき」にも。

(p261より引用) 片目を失明して、片方もほとんど視力を失い、壊疽のために両脚を切断するという過酷な闘病生活をしながら、2000年から月刊現代に『拗ね者』の連載を始めた。
 本田さんが万年筆を手に縛りつけ、一字一字、石に刻むようにして書き遺した連載の最後の言葉は、講談社の編集者たちへの感謝であった。
 「それがなかったら、私は疑いもなく尾羽打ち枯らしたキリギリスになって、いまごろホームレスにでも転落して、野垂れ死にしていたであろう。これは誇張でも何でもない」
 2004年2月4日、享年71。

 元木氏が本書のタイトルを「野垂れ死に」とした瞬間でした。

 

 

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〔映画〕ブレードランナー 2049

2020-09-09 21:19:01 | 映画

 
 1982年の「ブレードランナー」の続編ということですが、かなり間隔が空いていますね。
 
 ストーリーは、改めて整理して辿ってみるとそれなりに工夫されていることに気づきますが、観ている最中は、如何せん暗くじっとりとした陰鬱な画面が続くので気分的に抑圧された感覚を抱いてしまいます。
 
 もう少しメリハリの効いたつくりの方が、私は好みです。

 

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〔映画〕ワイルド・ストーム 

2020-09-08 20:08:44 | 映画

 

 一言でいえば、「B級パニック」映画です。

 なので、ストーリーよりもハリケーン映像の迫力がウリになるはずですが、その点は、今一歩もの足りなかったという印象です。

 ラストも、どうでもいいとはいいながら「どうやってハリケーンの目を抜けたの?」という素朴な疑問が残りますね。途中に伏線かと思われるセリフもありましたが、その脱出方法も現実的とは思えませんから。

 

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〔映画〕超高速!参勤交代 リターンズ

2020-09-07 16:25:51 | 映画

 

 かなり前ですが、第一作目は観ています。

 シリーズもので続編がレベルアップしているのは稀だと思いますが、この作品は、かなりうまく作ったという印象です。
 登場人物の正邪がはっきりしていて、それに適したキャスティングをしているも一因ですし、前作から直接的な続き物になっているストーリーも正解でしょう。(最後の合戦のシーンは、ちょっといただけないところがありますが)

 あと、深田恭子さん。物語の筋には関係のない役柄ですが、いるといないでは大違いです。間違いなく看板キャラのひとりですね。

 

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〔映画〕のぼうの城

2020-09-06 16:46:00 | 映画

 

 野村萬斎さん主演の作品としては代表作になるのでしょう。

 ちょっと前に見た「花戦さ」と似た芸風ですが、それが萬斎さんを使った意味なのでしょうから当然だとして、こちらの方が楽しめました。プロットが秀逸で、シナリオもエンターテインメント性に富んでいたからでしょうか。

 佐藤浩市さんをはじめ助演の男優陣もそれぞれにキャラクタが立っていてよかったと思いますが、鈴木保奈美さん、榮倉奈々さんの女優陣のキャスティングは秀逸でしたね。
 さらに芦田愛菜さんは、いかにも“しっかりした子役”を演じていたようにすら感じました。

 

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拗ね者たらん 本田靖春 人と作品 (後藤 正治)

2020-09-05 19:56:06 | 本と雑誌

 ノンフィクション作家の柳田邦男さんが推薦していたので手に取ってみました。

 最近読んだ後藤正治さん「リターンマッチ」「スカウト」も人物に焦点を当てた作品ですが、本書で描き出したのもやはり「人物」、読売新聞社会部からフリーのジャーナリストに転身して活躍した本田靖春氏の人となりを、彼の著作を一冊ずつ取り上げながら描き出していきます。

 まずは、本田氏の「書き手としてのスタンス」について。
 金嬉老事件をテーマにした「私戦」を取り上げた章の中で、本田氏の語った言葉を次のように紹介しています。

(p137より引用) 一言でいうと、私の書くものは社会的弱者に対して甘いんです。そこが私の作品の欠陥だと思っています。それは正直な気持ちなんですが、ただ、ジャーナリストの延長線上ということともかかわってきますが、では自分はどこに立っているのかというと、強者と弱者がいたとしたら、迷わず弱者の側に立つというのが、私の基本姿勢なんです。・・・書くとすれば、そのペンは強者に向かうべ きものだと私は思っている。ですから、強者からすれば、「なんだ、アンフェアじゃないか」といわれるかもしれません 開きなおるわけではないけれど、それでいいじゃないか、というより、おれはこういうふうにしか書けないんだ、と。

 この立ち位置は、ノンフィクション作家としての“矜持”でもあります。
 そして、本田氏の数々の作品を通底する主題は「戦後」でした。

(p252より引用) 本田の思想の基底にあるものであろう。〈戦後〉という言葉で意味するものを1960年以前に置いているのは暗示的である。貧困をはじめ深刻な社会問題が山積していたが、それでもなお、戦争の放棄を心から喜び、稚拙であろうと民主主義を育て、個人の自由を重んじ尊ばんとする社会的な気運はそれ以降の時代に比してより濃厚にあった。本田が固執し続けたのは、それらをひっくるめた〈戦後的精神〉ともいうべきものである。

 なので、本田氏の「戦後」という時代の区切りは「60年安保闘争」であり、それゆえ美空ひばりの歌とは「柔」で決別したのです。

 しかし、何を置いても本書を読んで感じたこと。本田氏ほど出版業界の多くの方々の心に残る人物は稀でしょう。病のために片目を失明し、両足は切断、指の壊死が進んだ右手にペンを縛り付けて最後まで原稿を書き続けたといいます。

 講談社の乾智之氏が本田氏の最後となった原稿を受け取りにいったときの様子です。

(p387より引用) 乾がさっと原稿に目を通すと、本田はこういった。
「申しわけないんだが、ご相談がある。あと一回、書かせてもらいたい。そうでないと意を尽くしたことにならないのでね。……俺はまだ死なないよ。(右腕切断の)手術の前に書き上げるよ。もし書けない状態になっていたら、そのときは口述筆記でもかまわない」 この日は比較的、表情も口調もしっかりしていた。 最終回後半"はもうひと月先でいい。口述筆記なら大丈夫だろう。そう思った本田の読みも、乾の判断も、結果的に誤っていた……。

 そして、病院の玄関先で早智夫人が乾氏に「お嬢さんに」といって小箱を手渡しました。駅に向かう道すがら、その箱を開けてみると、そこには可愛らしい手製のお手玉が入っていました。

(p389より引用) ー人の子供のことを案じている場合じゃないでしょうが。なんていう人たちだ……
 ぬぐってもぬぐっても涙がとまらない。道を行き交う人から怪訝な視線を向けられてもどうすることもできなかった。駅までの数分、乾は泣きながら歩き続けた。

 まずは、本田氏の代表作のひとつ、墓碑にも記された「不当逮捕」を読みましょう。

 

 

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〔映画〕ぼくらの七日間戦争

2020-09-04 16:12:35 | 映画

 
 1988年上映ですから。もう30年以上前の作品です。
 
 当時勢いのあった角川映画で音楽も小室等さんなので、かなり力の入った映画だったのだと思います。
 
 内容はといえば、正直 “学芸会” レベルですが、宮沢りえさんのデビュー作ということで大きなプレミアがついているということでしょう。しかし、賀来千香子さんは一定した路線を保っていますね。

 

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〔映画〕デイ・アフター・トゥモロー

2020-09-03 18:26:02 | 映画

 

 観るのは3度目かもしれません。

 ちょっと前に「日本沈没(1973年版)」を観てさすがに特撮の限界を痛感したのですが、天変地異の映像が最近の技術だとどの程度リアリティが増すか、そのあたりの興味もあって観直してみました。とはいえ、この作品も15年以上前になるのですね。

 もちろんプロットはかなり無理がありますが、基本的には主人公が困難を克服してハッピーエンドに至る単純ストーリーなので、エンターテインメントとしてはそれなりに安心して楽しめる作品だと思います。

 

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〔映画〕ナチス第三の男 

2020-09-02 20:24:34 | 映画

 
 実際のラインハルト・ハイドリヒ暗殺を目論んだ「エンスラポイド作戦」を題材とした作品です。
 
 映画という表現方法が相応しい内容ですが、舞台が舞台なので、映像的には凄惨なシーンが避けられずストーリー的には結末にも救いがなく観るのがキツイですね。
 
 ちなみにロザムンド・パイク、どこかで観た記憶があったのですが、「007 ダイ・アナザー・デイ」に出演していたんですね。

 

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〔映画〕 ダーティハリー3

2020-09-01 20:45:49 | 映画

 

 ダーティハリーシリーズは何本か観ていますが、この「3」は初めてです。

 ともかく単純に画面を追っていくだけの作品ですが、その単純さでこれだけのシリーズものとして続かせているのは、それはそれで驚異的ですね。

 

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