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先週末、とても感動する場に
ご縁をいただいて、足を運びました。
コロナで開催が延期されていた
熊本復興チャリティーのコンサートの第3回目です。
生演奏は、本当に久しぶりです。
演奏者も、実に7ヶ月ぶりとおっしゃっていました。
熊本には、幾つかの建築家の作品(施設)があります。
その中でも、前川國男先生の設計の劇場は、
しっとりとした大人の空間です。
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熊本に帰ってきて、音楽祭などで伺っていました。
それが、熊本地震以降は、伺うのは初めて。
建物自体も被災し、
まだ、外壁の補修を行なっているようでした。
中の様子は、それなりに前のままなので
建築が残って良かったと、胸をなで下ろしながら、
入りました。
車で来ると、駐車場からなので、
毎度裏から。いまだ、前から入ったことがない。
今度ちゃんと、表に回って、入ってみなくては。
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コンクリート建築でも、無機質ではない
温かみのある空間を感じさせてくれるディテール。
巨匠のお仕事を垣間見て、ほくそ笑みます。
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この空間に身を置くことで、
まさに、復興を感じると共に、
各演奏者の音が響き渡るステージで。
大きな 大きな エネルギーを頂きました。
熊本ゆかりの県内外の若手演奏家が集合。
楽器は、トランペットに始まり、
バイオリン、ピアノ、箏、
三味線に、ハンドネオン。
そして、ハンドフルートという、
手が楽器の代わりになる演奏と、実に多種多様。
演目も、ミュージカル曲あり、オリジナル曲あり
オペラ、和洋ミックスで飽きさせません。
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CDでいつも聞いている大好きな、
オペラ曲を歌ってもらえた時は
思わず、口ずさみたくなるし(キーは出ませんが)
私の図面で煮詰まったの突破口の
楽曲「ピアソラ」あり。
そして、響き渡る迫力の音に酔いながら、、、
やっぱり、リアルは良い!
演奏者の息遣い、そして仕草、
挨拶、笑顔、、、、
空間で、そういった人の動きが
あるからこそ、建築になるんだ!と、思った瞬間でした。
建築とは何か?
よく、私たちプロの中では、
議論が重ねられてきたテーマです。
建物という表現と、建築の違いは何なのか?
私は、完成してすぐの建物は、あくまで建物で
建築と果たして呼んでいいのだろうか。。。と
ツルツルピカピカを前にして
よく思っていました。
こうして、年月を経て、味わいを増し、
地域に愛用されて初めて、
建築になるのではないか?
と、改めて感じました。
そして、そこに、命が宿っているか。
つまり、建築とは、時間による熟成と、
人の命輝がける場であるか
が、必須卯条件ではないだろうかと。
建築=空間*時間*命
真剣に演奏を聴いていて
こんな図式が降りてきました。
場の力は、必ずあるのですが、
それを倍増するのが、建築空間ではないかと。
演奏者のエネルギーと、観客のエネルギーとの
相乗効果が、このホールという空間で混ざり合い
溶け合い、そして呼応する。
そんな瞬間を体験し、何度か鳥肌が立ちました。
演奏したくてもできなかったアーティストたちの
演奏できる喜びと
久しぶりにハレの場所に身を置ける観客の嬉しさと
それらが、非常に強く呼応していたのです。
あ〜、コロナの影響による、
人間の飢え、渇きといったものが
こういう風に昇華されていくのかと、
建築空間の、場の役割を理解したのでした。
これからは、快適性や美しさのさらに一歩先の
命輝く、つまりエネルギーが倍増するような
これからは、快適性や美しさのさらに一歩先の
命輝く、つまりエネルギーが倍増するような
そんな空間を目指していこう!
そう興奮した、コンサートでした。
お誘いいただいた方、音楽家の皆様、
感染対策をバッチリしてくださった
施設の管理者の方、
演出の大学デザイン研究室のみなさま
本当に有難うございました。
パワーチャージ出来て
私も、人にエネルギーを
バトンタッチできるような
生き方と、空間創りを目指します。