せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

大型家具店

2007年04月09日 | デザイン

昨日、家具の新店舗「イケア」に足を運んだ。4月の入学、入社、引越ーシーズンなので予想はしていたが、午後は入場制限がかかる程盛況。順路が全ての商品を巡ってから会計、コストを押さえるための倉庫群、カフェテリア形式の食堂、などなど商売上手な手法が面白かった。
ただ、パソコン利用で自分でレイアウトを検討したり、商品を引きずり出したり、組み立てたり、、能力がないと対応が難しそうな部分も多く、世代も若い層や、ファミリー層が多かった。家族ずれで半日は過ごせる場所としては貴重かもしれない。今後も人気は衰えないだろうと想像する。
これまでも洗練されたシンプルデザインで比較的安い「Bo concept」など組み立て家具店もあったが、コスト面で大きな差があり驚かされる。ホームセンターと家具店の中間に位置するだろうか?
070408 070408_1 購入者が責任を持って自主的にインテリアをコーディネートしていくというのは、生活者として非常に自主性、感性が磨かれてよいと思う反面、消費で終わらないといいが、、と懸念も。衣類のように安いからどんどん買い替えでは、環境問題に影響が大きい。家具のリサイクルも当たり前の時代へ移行していくだろうが、、。

ほとんど店員を見かけず、質問したりアドバイスを受けたりするのは難しそうだ。(今度は平日に行ってみよう)これからは、専門家の視点からアドバイスする家具店との住み分けが出来るだろうなと予測する。(イケアで買うと店舗で見るといいのだが、実際家に運んでみると大きくて困るという声も聞く、カラーも多様なのでコーディネートを一歩間違うと気違いじみてくる恐れも、、。)

人間の「衣食住」の中で、日本の現在「食」飽和状態、「衣」はストリートファッションに外国が注目するなど成熟しつつあり。いよいよ「住」の部分である「インテリア」にも市民の消費対象が移って来た様子をまざまざと見せつけられ、そのような方向性が果たしていいのか、考えさせられている。
070408_2 (一応買い物もしてみた。シンプルで洗面台下に置けるコンパクト体重計790円、国産メーカーの機能満載のものに興味なく、求めていたものにぴったり。値段はびっくり。さて、品質は、、?使ってみます。)


壁に向うデザイン

2007年03月31日 | デザイン

今月始め、大手ゼネコンの技術センターの見学で、最新技術の紹介を受けた。様々な提案の中、採用してみたいと思ったものがあった。ハニカム構造を利用した壁に埋め込む薄型スピーカーだ。0703311
意匠的には設備機器はなるべく表に出て来ないで欲しいという設計者の本音の部分をくすぐられる商品だった。法的な部分、コスト面などのクリアはこれからのようだが、施設の壁には実際に埋め込まれており、仕上げは他の壁と同じ、近づくと音が聞こえるという存在感のないクールなものだった。0703312
深沢直人氏がギャラリートークの中で、生活で毎日使っているもののデザインの話をされた時、携帯電話と薄型TVの例をとって「身体の方に寄っていくものと壁に近寄っていくものがある」と方向性を示されたが、まさにその壁に向っていく例として、ここまで来たかぁ、、という感想を持った。


生活の中のデザイン

2007年03月04日 | デザイン

柳宗理ー生活の中のデザインー展に足を運んだ。
展示では、残念ながら手に取ったり座ったり使ってみられないので、使うことによってじわっと広がるそのデザインの良さは、展示会では半減してしまうと感じた。

最初の出会いは、早くお湯が沸くやかん、そしてカトラリー、フライパン、、、と生活の中で愛用させてもらっている柳宗理デザイン。工業製品なのにどれも優しい温かみを持っている。そのキュートさはどこから生まれてくるのかいつも不思議に思いながら、料理を楽しんでいる。

赤ちゃんを授かった時、初めての離乳食づくりに小さい鍋を買い足した。これが大正解。歯がはえそろわない乳児のための食事は柔らかくしたり、すりつぶしたり、煮込んだりちょっと面倒。大人とは料理のし方も味付けも違うので、小さいお鍋があると便利、という料理家のアドバイスを育児書で読み、小さいお鍋を探して廻った。
蓋付きでステンレス製で炒め物も煮物も出来るものを、と求めたがなかなか小さい物がない。
結局、最後の砦にしておいた宗理のお鍋に行き着いた。これまでの愛用の蓋付きフライパンと並べるとまるで親子。思わず微笑んでしまう。この、何だかクスッとしてしまうのがデザインの魅力で、生活を豊かにしてくれるなぁと感謝の気持ちも生まれてくる。
070304離乳食が終わった今でも、ゆで卵、お肉の湯通し、子ども用カレーづくりなどに大活躍。その大きさ、重さ、深さ、それらが本当に使い回しの効くサイズなのに感心。料理しながらデザインのセンスも学べる柳宗理調理器具はとってもお得。