せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

乾燥の季節、お肌だけではなく、住いの乾燥にも注意して!

2019年12月09日 | 季節感のある暮らし


先週末の土曜日は、二十四節気の「大雪」を迎え
東京では、雪がちらつくかも、と言われたお天気でした。

結果的には降らなかったようですね。
横浜は雨となり、冷え込みました。

紅葉の季節から、本格的な冬への季節の移り変わりを感じます。

<この季節、住まいにとって大切なこと>

この季節には、乾燥の季節とばかりに、
化粧品の保湿の宣伝が増えますね。
(はい、気になるお年頃です、笑)

ご自身のお身体も大切ですが、
この季節、お住いの方も用心してください。

気をつけることは、2点あります。

一つは、火災の予防。
もう一つは、室内の空気乾燥。

今日は、一つ目の火災に関して綴ります。

この季節、暖房器具の多用や、
お鍋やコンロなどの出番も多いことでしょう。

木の住まいを提案している当事務所ですが
やはり、気になるのは、火災のこと。

住まいの火災予防は、
「起こさない、もらわない」です。

最近は、新築お祝いに
消火器をプレゼントするようにしています。

<実験による法改正>

先週は、木造建築物の耐火や防火を学ぶ講習会に
参加してきました。

今年、法改正があり、
耐火要件の性能規定化がなされました。

講師は、設計もしながら、大学で実験も行う研究員とあって
建築実験の結果が、現在の法律にどう活かされているのか
学ぶことができました。

特に印象に残ったキーワードが
「燃え抜けないこと」

糸魚川大火を事例に
まちの中での耐火建築物や土蔵の有効性が示されました。

そして、住まいの中では
「燃え広がらないこと」

設計で、コンロ周りには、不燃材を用い、
空間には準不燃以上の材料を選定する必要があると
規定があっても、

どのくらい有効なのかは、
火災を目撃していない我々には分かりません。

それが、実際に火災を起こす様子の実験動画を示され、
天井材の違いによる燃え広がりの様子が、一目瞭然でした。

改めて設計を気をつけなくてはならないことを、実感しました。

<火災から学ぶ初期消火の大切さ>

今年は、首里城の火災もありました。

文化財の初期消火も大事ということが
ニュースでも取り上げられ、
皆さんの記憶にも新しいと思います。

30年という復元時間と労力を思うと
本当に居たまれせんね。

関わった方、地域の方々のお気持ちは
想像を絶することと存じます。

文化財だけではなく、初期消火の大切さは
どの建物も同じです。

学んだこと、情報やニュース
そして、自分の設計、生活経験から

注意事項を整理してみます。

 ◯住宅の内部の場合

・コンロ周りには、燃えやすいものを置かない!
 調味料や油ポット、可燃物など、つい置いてしまいます。私もそうです。
 気をつけなくては!
  • 消火器、有効期限が切れていませんか?
設置義務化されてから、ずいぶん時間も経ちました。
買い替えどきの方もおられるのでは?(我が家もそろそろ)
  • 煙感知器、熱感知器、ついていますか?
  • 改修工事などで、コンロ周りに不燃以外のものを、
    採用していないかも要チェックです。

    高齢者の生活や一人暮らし

  • コンロの消し忘れに注意
    (最近は自動消火機能付きも多いので、オススメです)
    両親も時々あります。怖いです。
調理時には自動消火のタイマーをかけるようお願いしています。
  • 家電は、コンセントごと抜く。
暖房機などのストーブは、寝るときには、
コンセントごと抜くのも有効ですね。
地震でのうっかりスイッチも怖いですしね。

タイマー付き家電はそうはいきませんね。
我が家では、朝方のヒーターや床暖は、タイマー機能を利用してます。

首里城のLED電灯の延長コードの溶け出しの事実を知ると
通電したままの就寝は、コードのショートが起きないように、
まめにチェックが必要ですね。

 ◯住宅の外部の注意点と対策

特に、外壁に板張り採用の建主さんに
お伝えしていることでもあります。

・玄関周りに可燃物を置かない。散らかさない。
(道路から近いと放火の可能性が高まる)

・内部に入ってこられないように、オープンな車庫などは
植木鉢などで、敷地内には行って来られないような工夫をする。

つまり、境界というか、結界をさりげなく引くといいますか。
工夫をお願いしています。(死角があると、放火されやすいデータあり)
  • 人感センサーもよく採用します。

  • いざという時の、水バケツを用意しておく。
特に、大きな道路や歩道付近でしたら
タバコのポイ捨てなどが起きる可能性もあります。
外部にも初期消火対策ですね。
(夏場は、ボーフラが湧くので、蓋が入りますが)

 ◯文化財など
  • 初期消火の設備設置
 首里城以外にも、スプリンクラーのない文化財は多いのです。
 国宝や重要文化財の建造物の緊急調査で約4800件のうち、
 設置は約80件に留まっていたそうです。実に、2%にも満たないですね。

(建築的な理油や文化財を誤作動から守る理由もあるので、
一概に設置が進まないのです)
  • 消火活動の地域参加
ヘリマネでも情報を伺いましたが、公的な建物には、
周囲住民の気づき、地域における消火活動がとても有効であるそうです。

首里城の火災の直後に、世界遺産の白川郷でも火災が起きましたが
茅葺き屋根を消化ポンプで鎮火する様子がありました。
日頃の訓練、本当に大事ですね。

 ◯最後に、山火事

実は、熊本に帰ると、山暮らしでは、
驚くかな、時々、山火事の緊急連絡が入ります。

「消防車が発動しました。」
「消火しました」の放送もあります。

田舎の方では、焚き火やゴミ燃やしも
割とラフに行われます。

また、自然発火で、たまに木が燃えます。
心無い観光客によるタバコのポイ捨てもあります。

我々人間は、火の恐ろしさを知って、用心する
ことに越したことはありませんね。

ギリシャ神話で、人間の暮らしを豊かにするために、
太陽神から火を盗んだプロメテウスが、後に拷問にあったように。。。

便利は、間違うと、恐ろしいことを招くと、
これは神話による人間への戒めですよね。

これから、良い年を迎えるためにも
皆様どうぞ、ご用心を!

私も気をつけます!

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