この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

シャッフル。

2009-02-01 16:44:23 | 新作映画
 サンドラ・ブロック主演、メナン・ヤポ監督、『シャッフル』、2/1、Tジョイ久留米にて鑑賞。2009年7本目。

 例えばクリストファー・ノーラン監督の『メメント』のように、これまでの映画には存在しなかった新機軸のある映画は、そのチャレンジ精神だけで一定の評価を与えてよいと思います。
 この『シャッフル』は一人の女性の一週間を描いた映画なのですが、その一週間は普通の一週間のように日曜日に始まり、六日後の土曜日で終わるのではありません。完全にシャッフルされ、次の日が何曜日なのか、主人公であるリンダ(と観客)にはまったく不明なのです。
 まさにこれまでなかった、新機軸の映画といってよいでしょう。
 しかし、残念ながらそれだけの映画でした。

 これまでにない映画なのですから、多少の矛盾点、不自然さには目をつぶるつもりでしたが、本作のそれは些か度を越えていました。
 例えばリンダの行動が、未来を知るもののそれとしてはあまりに不自然なんですよね。
 彼女は早い段階で土曜日に精神科医であるロスから非人間的な扱いを受けることを知ります。しかしながらその後に訪れた火曜日に、彼女はロスに、自分の身に起こったことを打ち明けるのです。
 やがて自分に非人間的仕打ちをする相手に対して、すべてを打ち明けたりするでしょうか?ありえないと思います。
 これに限らず、リンダは未来に起こること、つまりこれから起こる悲劇を知りながら、それに沿った行動をとるのです。ちょっとした別の行動で未来は変化するはずなのに、何もそこまで律儀に予定調和につきあわなくてもいいやん、とツッコミたくなりました。

 今述べたことは作品の構造上の矛盾点ですが、それ以外にもツッコミどころが満載の作品でした。重箱の隅を突付くような行為かもしれませんが、一応触れておきます。
 冒頭、夫であるジムがリンダに目隠しをさせたまま、彼女を車である一軒屋の前まで連れて行きます。
 さぁ、目を開けてご覧、これが僕らのスィート・ホームだよ、と彼女を驚かせるのです。
 ありえんだろう!!!
 妻に一言の相談もせずに自分たちの住む家を一人で勝手に決めてしまう夫がどこの世界にいるっていうんでしょうか(いたら教えて下さい)。
 まだしも一週間がシャッフルされる非現実さの方がすんなり受け入れられる、というものです。
 他にも専業主婦であるにも関わらず、出張する夫よりも遅くに起きる妻とか、家族への愛を確認したからといって唐突に保険金の額を三倍に増やす夫とか、本筋とはまったく関係のないところで受け入れられないことが多かったです。

 お気に入り度は★☆、お薦め度は★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
 
 次回鑑賞は『ベンジャミン・バトン/数奇な人生』(2/7公開)の予定です。
コメント (9)
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