秦建日子著、『SOKKI!人生には役に立たない特技』、読了。市立図書館蔵書。
自分ぐらいの本読みになるとタイトルだけでその本が面白いかどうかわかってしまいます。
というのは大袈裟だけれど、タイトルを見て、面白そうだな、と思った本が大概面白いのは事実。
最近の例を挙げると誉田哲也の『武士道シックスティーン』は「武士道」と「シックスティーン」の組合わせに、これは面白そうだなと思い、実際読んでみると期待に違わぬ面白さでした。
それで本書ですが、『SOKKI!』というタイトルは面白そうだなと思ったのですが、ただ、作者名が秦建日子とあって、読もうかどうか躊躇しました。
秦建日子(「はたたてひこ」と読みます。当然男。)は世間的には映画化もされた篠原涼子主演のテレビドラマ『アンフェア』の原作者として知られているのではないでしょうか。
自分はその『アンフェア』にいいイメージを持っていなかったので、自然と秦建日子の著作も敬遠していました。
それでも速記という未知の世界に対する興味が勝って小説『SOKKI!』を読んでみることにしました。
で、読んでの感想ですが、、、面白い!!!やはり自分の勘に狂いはありませんでした。
映画や小説や漫画で、マイナーな競技や世界をモチーフにした作品があります。
その競技のことを作り手や原作者がよく熟知しているなぁと感心することもあれば、逆に下調べやアプローチが不十分だろ、といいたくなる作品もあります。
前者は『ヒカルの碁』、後者は『うた魂♪』などが挙げられるかな。
本書はどちらかというと間違いなく前者、、、というか作者が青春時代に筆記に打ち込んだことは疑いようもありません。
本書は、筆記の基礎中の基礎、筆記がどのようなものか、そして筆記がどれぐらい実際には役に立たないかが、よくわかるように書かれています。
速記経験者ならではだと思います。
もちろん作者がモチーフのことを熟知していたとしてもそれが物語の面白さにリンクしていなければ意味がありません。
役に立たない筆記というものに打ち込む青春、そういうのもありなのかな、そう思わせるリアリティがありました。
ヒロインの希美も自分の目には非常に魅力的に映りました。
どうして筆記のような役に立ちそうもないことをやるのかと主人公がヒロインに尋ねるシーンがあります。
以下抜粋。
気がつくと、彼女は食べる手を休めて、じっとぼくを見ていた。なんだか、その表情が、今までの雰囲気と違っていて、ぼくはドキリとした。
「本多くんはさ、そんなに役に立つことが好き?」
「えっ?」
「そんなに、『役に立つこと』、好き?」
くっきり、はっきり。
そして、悪戯っ子ぽい笑顔を浮かべて、更にこう言った。
「そういうのって、『豚に食われろ』って感じかな」
カッコよくないですか?そういう啖呵を切る女の子って。
まぁそう思うのは自分だけかもしれないですけどね。
人によっては希美の思考回路についていけないかもしれませんが、自分は回りに流されない彼女のことがカッコいいって思えました。
主人公の本多はひたすら冴えない、ださくてキモい奴として書かれています。
もう読んでて悲しいぐらい本多に自分を投影しちゃいましたよ。
そんな本多に唯一見せ場があります。
恋する希美と恋敵である黒田に自らの人生観(?)を披露するシーン。
本多は二人に、
1.自分に厳しく、他人にも厳しい者
2.自分には甘いけど、他人には厳しい者
3.自分に甘くて、他人にも甘い者
4.自分に厳しく、他人には甘い者
という四つの人間のタイプで、一番理想的なタイプはどれか?と問うのです。
本多の用意した答えに、自分は思わずなるほどな、って頷いてしまいました。
その答えが知りたい人は是非本書を読んでみてください。
自分は図書館で読んだ本をあえて買う、ということはほとんどありません。
大概の人がそうだと思います。
でも、一度読んだだけでは飽きたらず、また読みたい、何度でも読みたい、いつでも読みたいという本は手元に置きたいので買うようにしています。
例えば、森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』などがそうです。
本書も今度福岡に行くことがあったら購入したいと思います。
それぐらい気に入ったということです。
自分ぐらいの本読みになるとタイトルだけでその本が面白いかどうかわかってしまいます。
というのは大袈裟だけれど、タイトルを見て、面白そうだな、と思った本が大概面白いのは事実。
最近の例を挙げると誉田哲也の『武士道シックスティーン』は「武士道」と「シックスティーン」の組合わせに、これは面白そうだなと思い、実際読んでみると期待に違わぬ面白さでした。
それで本書ですが、『SOKKI!』というタイトルは面白そうだなと思ったのですが、ただ、作者名が秦建日子とあって、読もうかどうか躊躇しました。
秦建日子(「はたたてひこ」と読みます。当然男。)は世間的には映画化もされた篠原涼子主演のテレビドラマ『アンフェア』の原作者として知られているのではないでしょうか。
自分はその『アンフェア』にいいイメージを持っていなかったので、自然と秦建日子の著作も敬遠していました。
それでも速記という未知の世界に対する興味が勝って小説『SOKKI!』を読んでみることにしました。
で、読んでの感想ですが、、、面白い!!!やはり自分の勘に狂いはありませんでした。
映画や小説や漫画で、マイナーな競技や世界をモチーフにした作品があります。
その競技のことを作り手や原作者がよく熟知しているなぁと感心することもあれば、逆に下調べやアプローチが不十分だろ、といいたくなる作品もあります。
前者は『ヒカルの碁』、後者は『うた魂♪』などが挙げられるかな。
本書はどちらかというと間違いなく前者、、、というか作者が青春時代に筆記に打ち込んだことは疑いようもありません。
本書は、筆記の基礎中の基礎、筆記がどのようなものか、そして筆記がどれぐらい実際には役に立たないかが、よくわかるように書かれています。
速記経験者ならではだと思います。
もちろん作者がモチーフのことを熟知していたとしてもそれが物語の面白さにリンクしていなければ意味がありません。
役に立たない筆記というものに打ち込む青春、そういうのもありなのかな、そう思わせるリアリティがありました。
ヒロインの希美も自分の目には非常に魅力的に映りました。
どうして筆記のような役に立ちそうもないことをやるのかと主人公がヒロインに尋ねるシーンがあります。
以下抜粋。
気がつくと、彼女は食べる手を休めて、じっとぼくを見ていた。なんだか、その表情が、今までの雰囲気と違っていて、ぼくはドキリとした。
「本多くんはさ、そんなに役に立つことが好き?」
「えっ?」
「そんなに、『役に立つこと』、好き?」
くっきり、はっきり。
そして、悪戯っ子ぽい笑顔を浮かべて、更にこう言った。
「そういうのって、『豚に食われろ』って感じかな」
カッコよくないですか?そういう啖呵を切る女の子って。
まぁそう思うのは自分だけかもしれないですけどね。
人によっては希美の思考回路についていけないかもしれませんが、自分は回りに流されない彼女のことがカッコいいって思えました。
主人公の本多はひたすら冴えない、ださくてキモい奴として書かれています。
もう読んでて悲しいぐらい本多に自分を投影しちゃいましたよ。
そんな本多に唯一見せ場があります。
恋する希美と恋敵である黒田に自らの人生観(?)を披露するシーン。
本多は二人に、
1.自分に厳しく、他人にも厳しい者
2.自分には甘いけど、他人には厳しい者
3.自分に甘くて、他人にも甘い者
4.自分に厳しく、他人には甘い者
という四つの人間のタイプで、一番理想的なタイプはどれか?と問うのです。
本多の用意した答えに、自分は思わずなるほどな、って頷いてしまいました。
その答えが知りたい人は是非本書を読んでみてください。
自分は図書館で読んだ本をあえて買う、ということはほとんどありません。
大概の人がそうだと思います。
でも、一度読んだだけでは飽きたらず、また読みたい、何度でも読みたい、いつでも読みたいという本は手元に置きたいので買うようにしています。
例えば、森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』などがそうです。
本書も今度福岡に行くことがあったら購入したいと思います。
それぐらい気に入ったということです。