この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

チェンジリング。

2009-02-21 23:27:04 | 新作映画
 クリント・イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演、『チェンジリング』、2/21、Tジョイ久留米にて鑑賞。2009年11本目。

 実はこの映画、観ようかどうか直前まで随分迷いました。
 というのも映画監督としてのクリント・イーストウッドって好きじゃないんですよね。
 好きじゃないというとまるで評価していないというふうに解釈されるかもしれませんが、その真逆で、自分はイーストウッドを現在最も確かな演出手腕を有する監督の一人だと思っています。
 じゃあ何故好きじゃないかというと、それは他ならぬ彼の確かな演出手腕ゆえ、です。

 彼の近年の代表作に『ミリオンダラー・ベィビー』という作品があります。
 ボクシングに人生を捧げたトレーナーと女性ボクサーのお話です。
 一分の隙もない傑作ではありますが、同時に見ると気が滅入ること必至な作品でもあります。
 もう一度見ろといわれても勘弁してくれといいたくなる作品です。

 おそらく『チェンジリング』もそうなのだろうな、と自分は思ったのです。
 果たして『チェンジリング』は完璧な映画でした。
 ケチのつけようがない映画でしたね。
 脚本、キャスティング、セット、音楽、その他諸々の、およそ映画を構成するすべての要素が完璧。
 おそらく、今年観る映画の中でも完成度だけでいえばNo.1でしょう。
 そうそうこれ以上の作品があるとは思えません(あるとすれば同じイーストウッドの『グラン・トリノ』ぐらいのものでしょう)。

 しかし、その完璧さ、完成度、何よりモチーフの重さゆえに、やはり好きにはなれない映画でした。
 子供を突然奪われた母親に待ち受ける過酷な運命、そして考えうる限りもっとも残酷な結末、これほど胃が痛くなる作品は凡百な映画監督には作れるものではない、そう思います。

 お勧めはしません。
 気楽に観れる映画でもありません。
 しかし、観る価値があるかどうかと聞かれたら、その問いには自信を持って「イエス」と答えられます。
 複雑かもしれませんが、世の中にはそういう映画もあるのです。

 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。

 ps.本作のレビューをざっと見回って、1920年代のロサンゼルス警察の腐敗ぶりが恐ろしかった、と書かれている方を見かけましたが、現代の日本の警察の腐敗ぶりも(ごく一部だと思いますが)負けず劣らず恐ろしいものがあると思いますけどね。
 高知県の白バイ事故とか、心底ゾッとさせられましたが…。
コメント (3)
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