この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

正月休みの予定。。。

2017-12-11 21:40:35 | 旧作映画
 気がつくと12月も10日を過ぎ、街はクリスマスのイルミネーションに彩られ、もういくつ寝るとお正月って感じですが、皆さんはお正月の予定を何か立てられましたか?

 自分はですねー、思い切って言っちゃおうかな~、恥ずかしいな~、言うのやめとこうかな~、まぁ引っ張るのはこれぐらいにして、、、正月休みの予定、まっっったく無し♪
 生まれてから一番予定のないお正月を迎えようとしています。
 
 せめて麻雀ぐらいはしたいなと思って、まささんに声をかけたんですけど、(12月)29日しか空いてないとのこと。
 むぅ、、、自分は正月休みまるまる空いているというのに、(当たり前だけど)他の人はそうでもないんだなぁ…。

 1日しか空いてない休みを付き合わせるのも悪いと思って、今年は麻雀をするのは諦めました。
 観たい映画も特にないし、こうなりゃ正月は遊園地にでも行ってきます、一人で!
 ・・・・・。

 まぁそれだけじゃ1日しか潰せないんで、あとはツタヤあたりでテキトーにDVDでも借りてきて見ようかと思っています。

 以前はDVDを借りるときって、店内をぶらぶらしながら、その場で借りるものを決めていたんですけど、最近はそのやり方だと借りる5本が決めきれなくて、、、う~~~ん、年なのか何なのか。
 というわけで事前にネットで評判のいい作品をある程度調べておくことにしました。
 備忘録代わりにピックアップしておきます。主にホラー系の作品が多いです。


『ソムニア -悪夢の少年-』
 アマゾンの評価も高く、なかなか面白そう。

『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』
 アマゾンでの評価が恐ろしく高くて、逆に見るのが怖いな。

『ホラー・シネマ・パラダイス』
 ホラーコメディのようです。そういうのも結構好き。

『ゾンビハーレム』
 ゾンビもののコメディ。これも評価が高いな。

『ザ・アブノーマル』
 『ザ・アブノーマル』というタイトルの割にエロいお話ではないようです。ちょっと面白そう。

 とりあえず5本挙げましたが、問題はこの5本が必ずしも地元のツタヤにあるわけではないってことでしょうか。笑。
 まぁそのときはテキトーに借りるまでですけどね。
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カタンで15ポイントを取る方法。

2017-12-10 23:32:55 | ゲーム
 突然ですが、『カタン』というボードゲームをご存知ですか?
 ボードゲーム好きであれば知っていて当然のゲームなのですが、そうでない方に説明しておくと、『カタン』はボードゲームを変えた!といわれるほど革新的で、全国大会が開催されるほど流行っているボードゲームなのです。

 では今度は『カタン』を知っている人に質問です。
 『カタン』の勝利ポイントはいくつか知っていますか?

 これも簡単ですね。
 『カタン』の勝利ポイントは10ポイントです。先に10ポイントをゲットしたプレイヤーが勝ちになります。

 ただ、10ポイントが勝利ポイントではあっても、11ポイント以上取れないかというと必ずしもそういうわけではありません。
 最終ターン前に9ポイントゲットしておき、最終ターンで道王か、騎士王になれば11ポイントになりますからね。
 ともかく、『カタン』で11ポイント以上取ることは必ずしもルール違反というわけではないのです。
 ではもう一つ質問。
 『カタン』で12ポイント以上取ることは可能か否か?

 通常の対人プレイしかしたことがない人は「否」と答えるかもしれませんね。
 しかし答えは「可」なのです。
 証拠はこれ。

 
   

 『カタン』は無料のパソコンゲームがあるのですが(ただしオンライン対戦は出来ない)、それだと勝者が勝利ポイントをゲットした後も引き続きプレイ出来るので、最終ターン前に9ポイントをゲット、最終ターンで開拓地を一つ作り、都市化し、道王と騎士王を同時にゲットすると、15ポイントゲットというような芸当が出来るわけです。

 パソコンゲームは通常の『カタン』のルールに準拠しているので、通常の『カタン』においても同じように12ポイント以上ゲットすることは可能だと思われます。

 ただ実際対人プレイでこんなことをやったらめちゃめちゃ非難轟轟、嫌われること間違いなしだと思いますけどね…。
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2017年劇場鑑賞映画ワースト5!

2017-12-09 22:23:00 | 新作映画
 2017年は12月10日現在、51本劇場で映画を観ました。
 12月の鑑賞予定映画は『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』だけで、あとは正月休みに入ったら、もしかしたら一本ぐらいは観るかもって感じで、まぁ最終的には52、3本といったところでしょう。

 その『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』が駄作ではないという希望的予想の元に、2017年の劇場鑑賞映画ワースト5を発表したいと思います。


 まずはワースト1から!
 2017年に観た劇場鑑賞映画の中でぶっちぎりに面白くなくて、不愉快だったのがこれ、『ソウル・ステーション/パンデミック』。
 いやー、本当につまんなかったですねー。特に後日譚である『新感染/ファイナルエクスプレス』がベラボーに面白かったので余計にそう思っちゃうのかもしれません。
 ただ、この作品を推している人も少なからずいて、人の感性って本当に人それぞれなのだな~と思わずにはいられません。

 続いてワースト2は『ザ・マミー/呪われた砂漠の女王』!
 個人的なワースト1である『ソウル・ステーション/パンデミック』よりもおそらくこちらの方が世間的な評価は低いのでは?って思いますね。
 何でも「ダーク・ユニバース」というモンスターを中心に据えたシリーズものの第一弾だそうですが、第一弾がこのつまらなさで果たして第二弾があるのかね?と思わずにはいられません。

 ワースト3は『夜明け告げるルーのうた』です。
 何でも著名なアニメ映画祭で最高賞を受賞したようですが、自分はまっっったく受け入れられませんでした。
 こういうことがあると自分と世間では良いと思うものの基準が乖離してるなぁと思いますね。

 ワースト4は『グリーンルーム』かな。
 これは観る前にかなり期待した分だけ、つまらなさが上乗せされました。

 ワースト5は『ジャスティス・リーグ』ですね。
 これまた世間的な評判はいいようで、自分の評価とは乖離してるな~って思います。
 結局あれを見ると、「ジャスティス・リーグ」ってスーパーマンと彼のサポート要員たち、ぐらいにしか思えないんだけど、そういう見方をしてしまうのって自分だけなんですかね?


 以上2017年劇場鑑賞映画ワースト5でした。
 2018年は面白くないと思う映画を一本も観なくて済みますよーに!!
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美食家、その4。

2017-12-08 22:41:15 | ショートショート
 うつらうつらと眠りに落ちていたダドリーは階段を降りてくる足音で目を覚ました。
「叔父さん、お早うございます」
 ダドリーは内心驚いていた。目の見えない状況では、ずいぶん時間の流れるのが速い。
「ご機嫌いかがですか、叔父さん」
「ああ、しごく良好だとも、クリスフォード・ケイン」
 実際ダドリーは目も見えず、手足もろくに動かせないというのに、近ごろでは覚えがないほど気分が上々だった。
「そ、それは良かった。何よりです」
 クリスはダドリーの返答に多少意表を突かれたようだった。
「それで何のようだ、クリス」
「朝食をご用意しました」
「フフ、まさか、昨日と同じメニューではあるまいな」
 前回の食事との違いはクッキーの枚数が一枚増えたことだけだった。もっともそのことでダドリーは文句をつけようとは思わなかった。一歩も動けない自分が満腹であっても意味はない。
 だが用を足さざるをえない時の屈辱感といったらなかった。足を椅子に固定されたまま、上半身を起こし、ズボンのファスナーを下ろされ、箸のようなもので(いや箸に間違いない)彼の性器をつまみ出され、目標を定めることもなく放尿する。特製の便器とはすなわち金属製のバケツであり、しかもそこから少なからずこぼれる始末だった。
「頼む、今だけでいい、手錠を外してくれ!」
 ダドリーの必死の懇願もクリスは非情にも拒否した。
「駄目です、それだけは聞き届けるわけにはいきません」
「くそっ、クリス、頼む…」
 やがてダドリーの尿意が収まった。
「クリス、許さんぞ…」
「申しわけありません、叔父さん。初めてだから上手くいかなかっただけで、次はきっと大丈夫ですよ」
 ズボンの汚れを拭かれ、再びダドリーは椅子に座らされた。
 それからダドリーは数度の食事と(結局セサミクッキーとミルク以外のメニューはなかった)、その間に何度か放尿をした。クリスの予言通り二度目からはうまく的に収まるようになった。
「三日目の、朝です」
 いつの間にか寝入っていたダドリーの耳元でクリスが囁いた。
「長い間、お疲れさまでした」
 ダドリーは、クリスがいると思われるほうへ顔を上げた。
「クリス、お前に、言っておかなければならないことがある」
「何ですか、叔父さん」
 ダドリーは少しばかり迷っていたが、やがて言った。
「こんな状況で言っても、お前は信じてはくれないかもしれないが、私はお前のことを、愛していた」
 クリスはダドリーの言葉に少し間を置いてからこう答えた。
「叔父さん…。こんな状況では、とても信じてはくれないでしょうけど、僕も、叔父さんのことを心から愛していますよ…」
 人に聞かれたら馬鹿馬鹿しいと笑われるだろう。だがダドリーは、クリスのその言葉を信じた。
「人はいつか、死ぬ。愛するお前の手にかかって死を迎えられるのであれば、考えてみれば、それも幸福な 死に方かもしれないな…」
 ダドリーのその問いに対して、クリスは何も答えようとはしなかった。その代わりにダドリーの口に匙を当てた。
「これが、最後の晩餐です。お口に合うといいのですが」
 ダドリーはその匙を口に含んだ。タドリーの口の中に芳醇で素朴な味がゆっくりと広がっていった。およそダドリーが今まで口にしたことのない、シンプルだが、それでいて何かに例えようのないほどの広がりを持つ味だった。
「これは、何だね?」
 ダドリーは思わず尋ねた。
「粥です。中華粥です」
 クリスの答えにダドリーはゆっくりと息を吐いた。美食を極めた自分の最後の食事が粥とは…。そう思いながらもダドリーの目隠しされた両眼の奥から涙が一筋流れた。
「もう、思い残すことはない…」
 その言葉を待っていたかのように、クリスがダドリーの足の戒めを解いた。そして次に両手の手錠を外し、最後に目隠しを取った。
「叔父さん…」
 ダドリーは二度、三度目を瞬かせた。そしてアッと短く叫んだ。目の前に執事のロバートと主治医のハーロンが立っていたのだ。
「お、お前たちもグルだったのか!?」 
 ダドリーがそう叫ぶと、慌てたようにクリスが言った。
「違うんです、叔父さん、二人には僕が無理を言って協力してもらったんです」
「どういうことだ、クリス…」
 そこでダドリーは気づいた。その地下室はどこでもない、彼自身の屋敷の地下室だったのだ(とは言っても彼が地下室に下りたのはもう五、六年も前のことだが)。
「僕が一芝居打つのに、二人に、この一日協力してもらってたんです」
「一日?三日じゃないのか?」
「いえ、一日です。正確には一日と四時間です」
 確かにやけに時間の流れが速く感じられたことをダドリーは思い出した。だが、それですべてを納得したというわけでもなかった。
「だが、どうしてこんな芝居をしなければいけなかったというんだ?」
 ダドリーの当然とも言える問いに、クリスは申しわけなさそうに首をすくめた。
「叔父さんに、この中華粥を食べてほしかったんです」
 二人の会話にハーロンが割って入った。
「ダドリー、お前さん、今のままの食生活を続けていれば、肝臓がパンパンに膨れ上がって、せいぜい半年の命じゃったんだぞ」
 ダドリーは二人に向かって、余計な真似を、と怒号を浴びせようとした。だがその瞬間さっき口にした粥の味が思い出され、なぜだか怒りは陽光に雪が解けるように消えてしまった。
「叔父さん、この中華粥を作ってくれたシェフを紹介するよ。彼女はロキシー・スェン」
 そう言ってクリスは男たちの間に隠れるように立っていた一人の女性を紹介した。年齢はクリスと同じぐらいだろうか、決して派手な美人というわけではないが、穏やかな表情をした、豊かな黒髪を後ろに束ねた東洋系の女性が、ダドリーの前に進み出た。
「お味は、いかがだったでしょうか、ミスター・オブライエン」
 ダドリーは、ロキシーに精一杯の仏頂面を向けてこう言った。
「今まで食ったものの中で一、二を争う不味さだ。だが猛烈に腹が減っていて今にも死にそうだ。急いでもう一杯おかわりを持ってきてくれ、ミス・スェン」




                                          了
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美食家、その3。

2017-12-07 22:30:30 | ショートショート
 闇は人から時間の流れの速さを計る感覚を奪う。ダドリーにはそれが光が進むように速くも、また亀の歩みのように遅くも感じられた。いつの間に眠ってしまったのか、ダドリーは肩を揺すられ目を覚ました。
「叔父さん、夕食を持ってきましたよ」
 クリスがそう言うと、ダドリーの唇に何かが触れた。ダドリーが口を開くと、それがさっと押し込まれた。胡麻の香りが香ばしいセサミクッキーだった。どうやら声の位置からして、ダドリーの口にクッキーを押し込んだのは、クリスではなくサムらしかった。いっそこのサムという男の指を噛み千切ってやるか、と一瞬ダドリーは思ったが、そのことまで頭に入れて自らが食事を与えようとしないのであればクリスの手に乗るのも癪だと思い直した。
 三枚目のクッキーがダドリーの口の中に消えた時点でクリスが、これで終わりです、と言った。
「こ、これだけか?」
 ダドリーは聞き間違えたのかと思い、問い返した。午前中はいつも食欲がなく、今朝も朝食をほとんど口にしておらず、そのためこの時はきわめて空腹であったのだ。
「ええ、そうですよ」
「しかし、これは、これだけじゃ…」
「叔父さん、何を贅沢言っているんです?自分の立場というのをわきまえてくださいよ」
 クリスが皮肉に満ちた口調で言った。
「せ、せめて何か飲み物を…」
「もちろん用意してますよ」
 ダドリーの唇にストローが当てられ、彼はむせ返りながらも人肌に温められたミルクを吸い込んだ。
「叔父さん、いっぺんに飲むと喉を詰まらせますよ」
 クリスの忠告に構わず、ダドリーは、カップ一杯のミルクを一気に飲み干した。それほど喉が乾いていたのだ。
「それでは叔父さん、明日の朝を楽しみにしておいてください」
 そう言い残してクリスは階上に去って行った。再び地下室にはダドリーともう一人、おそらくサムと呼ばれる唖の男が残された。だがそれもダドリーが息を潜め、精神を集中してようやくその気配をわずかに感じられるかどうかだった。
 ここにはお前一人なのだと言われれば、ダドリーはそれを鵜呑みにしたであろう。
 暗闇の中、ダドリーは思い出していた。クリスと初めて顔を合わせたのはもうかれこれ七年も前のことになる。ずいぶん軟弱そうな若者だと思ったものだが、なぜだか拒絶する気にはなれなかった。父が死んでからも一切エレンたちのことを顧みなかったことに罪悪感を覚えたのか、それともただ年を取ったことで人恋しかっただけなのかもしれない。
 自分でも説明がつけられないことだった。とにかく初めて会う甥の、人好きのする笑顔が偏屈な老人を捕らえて離さなかったことだけは事実だった。
 それ以来、ただひたすらダドリーの死を待ち続けたのだとすれば、他にどれほど欠点があるにしろ、クリスフォード・ケインという男ははずいぶんと辛抱強い性格だと言える。そして役者でもある。
 ダドリーは卑屈な笑みを浮かべた。出来ることならもっと長く、そう、自分が死を迎えるまで演じ続けてほしかったものだ…。
 そしてダドリーは息を大きく吐き出しながら決意した。クリスは、長くて三日と言った。たとえその時が来たとしても、見苦しく命乞いをするような真似だけはするまいと。


                                    美食家、その4に続く
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今さらながら渡辺前竜王を擁護してみる。

2017-12-06 22:32:27 | ゲーム
 羽生善治棋聖が第30期竜王戦七番勝負第5局に勝利し、竜王に復位、これにより永世竜王の称号を得て、史上初の永世七冠を達成しました。
 将棋を知る者でこの偉業を喜ばぬ者はいないでしょう。

 2017年は藤井四段の29連勝に始まり、羽生竜王の永世七冠達成で締めるという、未曽有の将棋フィーバーの一年だったと言ってよいと思います。

 しかしほんの一年前、2016年は日本将棋界が揺れに揺れた年でした。
 三浦弘行九段が対局中の将棋ソフト不正使用を疑われ、その年の竜王戦七番勝負の挑戦者から外されてしまう事件が起こったのです。

 このとき、三浦九段の不正を日本将棋連盟に訴えたのが他でもない渡辺明前竜王でした。
 けれど、結局三浦九段の不正は証明されず、証拠もなく彼を訴えた渡辺前竜王は多くの将棋ファンから非難され、今に至ります。
 渡辺前竜王は将棋界から引退すべき、という声もよく耳にします。
 今期の彼の不調もこれらのバッシングと無関係というわけではないでしょう。
 将棋はメンタルの状態に非常に左右されるゲームですからね。

 多くの将棋ファンから非難された渡辺前竜王の行動ですが、自分は問題ないと考えます。
 証拠もなしに一棋士の不正を訴えるなんて許されるわけがないだろう、という人もいるかもしれませんが、自分は許されると思いますよ。

 これをボクシングに置き換えるとわかりやすいかな。
 チャンピオンが次の防衛戦の挑戦者がグローブにイレギュラーな細工をしているという噂を耳にして、そんな細工をするような奴とは戦えないとコミッショナーに訴えたとします。
 これって何か問題がありますかね?
 ないですよね。不正のない試合に臨むことはチャンピオンとして当然の権利だと思います。
 
 では次にコミッショナーはどうすべきなのか?
 黒い噂が立つ挑戦者を外し、代わりに別のボクサーを防衛戦の挑戦者に立てるべきなのか?
 違いますよね。
 噂はあくまで噂なのですから、不正が証明されない限り挑戦者はそのままで試合は行うべきでしょう。
 代わりにチャンピオンに対して、試合においては決して不正はさせない、見逃さないことを約束し、試合に臨ませる。
 これがコミッショナーの正しい決断だと思います。

 翻って三浦九段の不正疑惑事件においては、渡辺前竜王に非はなく、三浦九段を挑戦者から外した日本将棋連盟に落ち度がある、そう自分は考えます。

 今回の竜王戦七番勝負第5局対局中、そして対局前の渡辺前竜王のプレッシャーは尋常ならざるものがあったでしょう。
 ブログで彼はこう述べています。
>それにしても肩にカメラが乗るというのはああいう感じなんですね。
 肩にカメラが乗る、この表現の本当の意味が分かる人ってどれぐらいいるんでしょうか?

 竜王を失冠しましたが、渡辺前竜王は未だ棋王のタイトル保持者です。
 必ずや来年には巻き返しを図るものと信じています。
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美食家、その2。

2017-12-05 22:10:23 | ショートショート
 クリスは拳銃が握られていないほうの手でアイマスクをダドリーに差し出した。
「これ、つけてもらえますか、叔父さん」
 差し出されたアイマスクを握りしめ、ダドリーはクリスを睨みつけた。
「クリス、自分のやっていることが何を意味するのか、本当にわかっているのか」
 クリスは、ダドリーの射るような視線もどこ吹く風と受け流すように肩をすくめた。
「叔父さんこそ、僕の手に握られた拳銃が何を意味するのか、本当にわからないんですか」
 クリスの口調が普段とあまりにも変わらなかったため、逆にダドリーは恐怖を覚えた。 アイマスクをつけさせたあと、クリスは次にサングラスを、最後に手錠をダドリーに掛けた。
「叔父さんには隠していたんですけど、僕、結構ギャンブルが好きなんですよ。もしかしたら、これは叔父さん譲りかもしれません。それでですね、最初の頃はビギナーズラックもあって勝っていたんですけど、段々と負けが込みだしましてね。でも僕がダドリー・オブライエンの甥だとわかると、特に唯一の法定相続人だとわかってからは、胴元がいくらでもお金を回してくれたんです。けれど最近になって、返済請求が急に厳しくなりましてね」
 クリスの告白に、ダドリーは意外な念を禁じえなかった。彼の知りうる限りクリスフォード・ケインという男は真面目一辺倒のはずだった。ダドリーと違い、毎週の教会通いも欠かさず、女性関係も特に浮き名を流すということもなかった。それが実際はこうもギャンブルにのめり込んでいたとは…。
「しゃ、借金はいくらあるというんだ」
 どうにか唾を飲み込み、ダドリーは言った。クリスは軽い口調で答えた。
「なに、ほんの、二百万ドル程度ですよ」
「に、二百万ドルだと?」
 ダドリーは自分の声が我知らず裏返るのを聞いた。構わずクリスは続けた。
「それでですね、期限までに借金を返さないと、やつら、僕のことを殺すって言うんですよ。最初、叔父さんに借金を肩代わりしてもらおうかとも思ったんですけど、母の前例もあるでしょう。もし叔父さんに見捨てられたら、僕は殺されてしまうんです。それでこの計画を思いついたというわけです」
 母の前例とは、この場合、エレンが父ヘンリーに勘当されたことを指すのだろうとダドリーは察した。
 エレンは、ヘンリーの意に沿わぬ男と駆け落ち同然で結婚したために彼の怒りに触れ、結局ヘンリーが生きている間は彼と再会することはなかった。
「前途のある僕と、余命幾許もない叔父さん、どちらか一人が死ななければいけないとしたら、その答えは明らかでしょう」
 ダドリーは深いため息をついた。彼自身、顔を合わせることのなかった十数年、エレンとその家族がどのような暮らしをしてきたか特に関心を払ったこともない。非情と責められても仕方のないことかもしれなかった。
「私はな、クリス、すでに遺言書も作成しておる。私の遺産を相続するのは、クリス、お前だと、それには明記しているんだ」
 ダドリーの告白に、クリスはそれが既知であることをあっさりと認めた。
「知ってます。でなければ善人を装って、気難しい老人に毎週欠かさず会いに来たりはしません。でも状況が変わったんです。一年後、いや、半年後でも遅いんです。もう待っている時間はないんです」
 ダドリーにはもはや何かを言う気力も失われた。けれど、それでも確かめなければいけないことがあった。
「私を…、殺すというのか」
「最終的にはそうなるでしょうね」
「最終的?」
「実はこの計画は僕一人で立てたものではないんですよ。叔父さんを、いつ、どこで、どうやって殺すかについては、まだ決まっていないんです。やつらと、最後の打合せを終えてからでないと」
「やつらだと?」
 クリスはしゃべりすぎてしまったと自戒するように急に黙り込んだ。
「クリス、お前は騙されている。私を殺したところで、お前の手元には一セントだって残りはしない。いや下手をすればお前の命も危ないんだぞ」
 クリスはそれ以上何も言わずダドリーの口にガムテープを貼り、その上に風邪用のガーゼマスクをした。
 それから車は最果ての地を目指すかのようにドライブを続けていたが、やがて何の前ぶれもなく、停車した。
 いったいここがどこなのか、目隠しをされたダドリーには見当もつかなかったが、走行時間から相当遠くまで来たのだろうと彼は思った。
「着きましたよ、叔父さん」
 そう言ってクリスはダドリーに車から降りるように促した。今度はサムと呼ばれた運転手が、ダドリーの降車を手伝った。
「さあ、しっかりと歩いてくださいよ」
 ダドリーの耳元でクリスが小声でそう囁いた。クリスとサムに両脇から抱えられるように覚束無い足取りでダドリーは歩いた。
 視覚には因らず、ダドリーは目の前の建物が彼自身の屋敷にも負けないほどの大きさであることを肌で感じ取った。
 玄関の扉がギギギィ…と不吉な音を立てて、三人を迎えた。建物の中は外と変わらないほどに冷えていた。
 まるで建てられて以来その中では一度たりとも火が灯されたことがないようだとダドリーは思った。廃墟であるのか、やけに埃っぽく、建物の奥から空き缶がカラカラ…と風で転がる音がした。
「こっちですよ、叔父さん…」
 手を引かれるままにダドリーはついていき、そして彼らは立ち止まった。
「これから、下に降りる階段です。気をつけてください」 
 目の見えぬ自分に何を気をつけろというのかとダドリーは思ったが、それでも慎重に一段一段を確かめていく。地下室への階段は地獄へと続く洞穴のようにダドリーには感じられたが、無論それは錯覚に過ぎなかった。
「階段が終わります」
 クリスの言葉にダドリーは擦り足で床面をゆっくりとさぐった。
 それからクリスは無言のまま用意していた椅子にダドリーを無理やり座らせると、彼の足首を椅子の脚にロープのようなもので結わえた。そのあと手錠を一旦外し、改めて椅子の背もたれ越しに後ろ手ではめ直した。あらかじめ手順を決めていたような手際の良さだった。
「今から、猿ぐつわを外します。でも最初から言っておきますが、叫んでも無駄ですよ。叔父さん」
 そう言ってクリスはダドリーのガーゼマスクをそっと外し、そしてガムテープを力任せに一気に剥ぎ取った。
 ダドリーは新鮮な空気を求め、ハアハアと荒く息をついたが、口に入るのは澱んだ空気ばかりだった。
「目隠しは取ってはくれないのか」
「それは贅沢というものです、叔父さん」
 ダドリーの注文をクリスが冗談めかして、だがはっきりと断った。
「これからしばらくの間、申しわけありませんが、叔父さんには、その格好で過ごしてもらいます。多少窮屈でしょうが、なに、長くても、せいぜい三日といったところですよ」
 クリスは自分がさもおかしい冗談を言ったかのようにクスクスと笑った。
「用があれば、僕か、サムに言ってください。もっとも、ご希望に添えない場合もあると思いますが。それと、尿意を催したときですが、特製のトイレを用意しているのでご心配なく。ただし、それは、僕とサム、二人が揃っているときに限らせていただきます。サムは、いつでも叔父さんのそばに控えてますが、僕はどうしても外に出かけなければいけないときがあるので。僕がいないときはすみませんが、我慢していただくしかありません。ここまでで何か、質問は?」
 ダドリーが口を開く前に、クリスが、そうそう忘れていました、と付け加えた。
「僕もサムも、叔父さんの世間話につき合うのにやぶさかではありません。でもサムからの返事は期待しても 無駄ですよ。何しろ彼は残念ながら口がきけないのでね」
 それだけを言い残すと、クリスは今降りてきたばかりの階段にその身をとって返した。
「ちょっとばかり出かけてきます。次に来るときは何か、夕食を持ってきますよ。叔父さんの口に合うといいけど」 
 地下室にクリスのハハハ…という笑い声が響いた。木霊が消えると、静寂が残った。こうしてダドリーの長い午後が始まった。


                                      美食家、その3に続く
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実写版『鋼の錬金術師』のクレームにクレーム。

2017-12-04 21:30:17 | 新作映画
 ある映画に対し、駄作!と切り捨てるのも、傑作!と褒め称えるのも、それはその人の自由だと思います。
 それまで生きてきた人生が違うのだから、面白い!(もしくは面白くない!)と思うポイントが違うのも当然ですよね。

 自分は『ショーシャンクの空に』が大好きで、一般的にも評価が高いですが、あの映画を「くだらない」と酷評している映画評論家を自分は知っています。
 自分が好きな映画を酷評されたからといって別段腹は立ちません。
 その評論がきちんと筋が通っているのであれば、なるほど、そういう物の見方もあるのか、と感心するぐらいです。

 ですから、実写版『鋼の錬金術師』を酷評する人がいたとしても、別段腹は立たないのです。自分も別に傑作だ!と思ったわけではないですし。

 ただ、それらの酷評はあまりに筋が通らないものが多いように見受けられました。
 筋が通っていないと思った酷評に、いや、クレームに対してクレームをつけたいと思います。

①だから漫画の実写化映画はあれほど止めろと言ったのに、などとすべての漫画原作の実写映画を否定するクレーム。
 実写版『鋼の錬金術師』を駄作!と切り捨てるのはまぁいいです。
 しかし実写版『鋼の錬金術師』が駄作だからといって、他の漫画原作の実写化映画が駄作であるとは限らないはずです。
 漫画原作の実写映画を否定している人って『ヒメノアール』や『アイアムアヒーロー』を見たの?って言いたくなりますね。

②西洋風の世界を舞台にした作品でキャストが日本人というのは無理があるというクレーム。
 こういうことを言ってる人って、つまり日本人は日本人の役以外演じるな、って言ってるんでしょうか?
 いつからお芝居ってそんなに窮屈なものになっちゃったんでしょうね?

③入場者特典に『鋼の錬金術師』の0巻をつけるなんてけしからん!というクレーム。
 このクレームも本当によく見かけるんですが、前売り券や入場者の特典をつけるかつけないか、そしてつけるとして何をつけるかというのは、まったくもって映画会社の自由だと思います。
 そのことでクレームをつける権利は我々鑑賞者にはないはずですよ。弁えましょう。

劇中のワンシーンをカットして、雑だと貶すクレーム。
 あのさ、どんな傑作映画であっても、特定のワンシーンだけをカットすれば、そりゃ雑なところもあるに決まってるよ。
 『ターミネーター2』でいえば、ショッピングモールでの銃撃の着弾数の違いとかね(詳しくはこちら)。

⑤原作と映画との設定の違いに対するクレーム。
 原作と映画では焔の錬金術師ことマスタング大佐の着火の仕方が違うそうです。
 個人的にはそんなこと、どーでもいい!としか思えません。
 大佐の着火の仕方が違うことが気に入らない人って、『スパイダーマン』は原作のアメコミと映画では糸の出し方が違うことをどう思うんでしょうね?

 他にもヒロインのウィンリィの髪の色にもこだわる人がいて(原作では金髪、映画では茶髪)、これがウィンリィ役の本田翼の大根演技が気に入らないというならまだわからないではないのですが、正直そんな細かいことにこだわらなくても、と思いますね。
 個人的に、ウィンリィの髪が茶髪になったのは、単純に主役のエドが金髪だからだと思いますけどね。(実際そういったシーンがなかったとしても)金髪の二人が重なったりしたら、どこからどこまでがエドの髪で、どこからどこまでがウィンリィの髪かわからないですから。

 繰り返しますが、実写版『鋼の錬金術師』を酷評すること自体はまったく自由だと思います。
 しかし今回のネットでのバッシングぶりを見るにつけ、実写版『鋼の錬金術師』を酷評している人って映画を観て駄作だという結論に至ったというより、まず駄作であるという結論ありきで映画を観ているような気がしてなりません(だから些細な設定の差異が気になる)。

 もし本当に実写版『鋼の錬金術師』が駄作であるというなら、細かな設定の違いや特典などにクレームをつけず、脚本の疵や演出の欠点などに言及して欲しいものです。
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美食家、その1。

2017-12-03 21:55:49 | ショートショート
 ダドリー・オブライエンにとって、甥であるクリス、クリスフォード・ケインの裏切りは、晴天の霹靂だった。
 ダドリーの亡くなった妹エレンの忘れ形見であるクリスは、ダドリーにとってもこの世に残された唯一の血縁であった。繊細そうなクリスの細面を見ると、ダドリーはエレンのことを思い出さずにはいられなかった。
 その日ダドリーは、主治医であるDrマーカス・ハーロンを、治療のやり方に細々と注文をつけることで怒らせることに成功した。憤懣やるかたないといった感じで顔を真っ赤にさせながらダドリーの寝室を後にするハーロンと入れ代わるようにして、クリスはダドリーの前に現れた。ダドリーは甥の来訪に内心の感情を表に出さないように努めた。
「やあ、叔父さん。元気そうで何よりだね。ところで今、Drハーロンとすれ違ったんだけど、どうかしたのかい?何だかずいぶん怒っていたみたいだけど」
 クリスの挨拶代わりの言葉にダドリーはフンと鼻を鳴らした。
「あの藪医者か。まったく、話にもならん。奴は患者の気持ちというものが全くわかっておらん」
「どうしたっていうんです?Drハーロンが何か叔父さんの気に障るようなことでも言ったんですか?」
 ダドリーは苦虫を潰したような顔でうなずいた。
「奴め、私から唯一の生きがいを奪おうというのだ」
「唯一の生きがいですって?」
「そうじゃ。ハーロンの奴、私に食事制限をしろなどと言い出しおった」
 クリスは、よく理解できないというふうに首を捻った。
「医者として、当然の助言では?」
「冗談じゃない!」
 ダドリーは鼻息荒く言った。
「この年になると、さすがに女にも興味がなくなった。ギャンブルもさして面白いとは思わん。長生きしようとも思わん。正直明日の命もわからん。だがだからこそ、美味いものをたらふく食って死にたいのだ」
 ダドリーは有言実行の男だった。最近では自宅の寝室から外に出ることも億劫がるようになっていたが、唯一の例外が外食に出かけるときだった。東に美味いイタリア料理を出す店があると聞けば重い腰を上げ、西に評判のフランス料理店があれば車を手配してまで味を確かめに行くのだった。だが実際、舌の肥えたダドリーが満足することなどめったになかった。
「その私に、やれコレステロールだの、カロリーの摂取過剰だのと脅したところで、今さら宗旨替えなぞしてたまるものか!」
 ダドリーの怒りの矛先を収めるかのようにクリスが話題を変えた。
「そ、そういえば、叔父さん、今度郊外にできたチャイニーズレストランがなかなか美味いものを食べさせるんだ。ちょうど昼時だし、ドライブがてら、今から行ってみないかい?」
「ふーむ、中華か。悪くないな。その店では何が評判なんだ。北京ダックか、それともフカヒレのスープか」
 クリスは首を振った。
「中華粥だよ、叔父さん」
「中華粥、だって?あんなものは病人の食べるものだ。私は決して口にせんぞ」
 ダドリーのへそを曲げたような物言いにクリスは慌ててこう付け加えた。
「も、もちろん、北京ダックだって、フカヒレのスープだって、注文すればいくらでも食べられるさ。そ、それに…」
「それに?」
「叔父さんに、会わせたい人がいるんだよ」
 ダドリーは内心少しばかり驚いていた。何しろクリスがそのようなことを言い出した事はそれまで一度もなく、 甥のことを朴念仁だとばかり彼は考えていたのだ。
 ダドリーは少しの間考え込むような素振りをしていたが、やがて、いいだろう、と物々しく言った。
「まあたまには、甥の勧める店に行くのも悪くなかろう。それに、お前の会わせたい人とやらにも興味があるからな」
「良かった。じゃ、早速行くことにしようか。実はもう、車のほうは呼んであるんだ」
 ホッとしたように安堵の息を漏らすと、クリスは、ダドリーがベッドから起き上がるのと、彼の着替えを甲斐甲斐しく手伝った。
 さらに玄関までダドリーの肩を支えるようにエスコートをした。
 正門の先に一台の黒塗りの乗用車が停まっていた。ダドリーの見慣れぬ会社のハイヤーだった。運転手の姿が見えるが、二人が出てきたことに気づかぬのか、車から降りてくる気配もない。けしからんとダドリーは憤慨したが、クリスの方はそれを気にする様子もなかった。ダドリーを車に乗り込ませると、執事のロバートと二言三言会話を交わしてから、クリス自身もダドリーの隣に座った。
「じゃ、出してくれ、サム」
 どうやらクリスはサムという名前の、この無愛想な運転手と知り合いらしい。それが少しばかりダドリーには意外な気がした。
 出発してしばらくの間、ダドリーは窓の外の景色に目をやった。狂乱と言っていい夏の暑さのはようやく過ぎ去り、街は落ち着いた秋の装いへと衣替えしようとしていた。
「それにしても、ずいぶんと車を走らせたが、そのチャイニーズレストランとやらには後どれくらいで着くんだ?」
 ダドリーの問いにクリスはその童顔に似合いの、屈託のない笑みを浮かべた。
「そのことなんだけどね、叔父さん」
 そう言ってクリスが懐から取り出したものが何なのか、正確にはそれが何を意味するのか、ダドリーには分からなかった。
「いったい、何の冗談だ、クリス」
 クリスの右手に握られた拳銃を半ば茫然と見つめながら、ダドリーはようやくそれだけの言葉を口にした。
「冗談なんかじゃないんだ、叔父さん」
 変わらず笑みを浮かべたまま、クリスはそう答えた。


                                   美食家、その2に続く
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全然駄作じゃなかった実写版『鋼の錬金術師』。

2017-12-02 23:00:38 | 新作映画
 荒川弘原作、曽利文彦監督、山田涼介主演、『鋼の錬金術師』、12/2、Tジョイ久留米にて鑑賞。2017年51本目。


 現在ネットで絶賛炎上中の実写版『鋼の錬金術師』を観てきました。
 ネットでのあまりのバッシングぶりに、よほどひどい出来なのだろうなと自分の中でハードルをかなり下げて観に行ったのですが、いやいや、全然ハードルを下げる必要のない、充分及第点を与えてよいと思う漫画原作の実写化作品でしたよ。
 何ごとであれ、自分の目で確かめないとわからないものです。

 まず自分の『鋼の錬金術師』に対するスタンスについて書いておきます。
 自分は原作コミックを全巻初版で持っています。
 初版で持っているから偉いのかというと別にそういうこともないと思いますが、ともかく付き合いは長いわけです。
 そしてこれまで読んだ漫画の中で五指に入るぐらい好きな漫画でもあります。

 一方アニメの方はほぼ未見です。
 正確にはシリーズ第一期の2話ぐらいまでは見たかな。でも、イメージが違う、という理由で見るのを止めちゃいました。
 やっぱりアニメは原作通りじゃないと嫌なのです。
 まぁその原作通りというのも『賭けグルイ』ぐらいの作画レベルであれば充分満足するんですけどね。

 そんなイメージと違うという理由でアニメ版を見なくなった自分ですが、実写版は(必ずしも)イメージ通りである必要はないと考えています。
 そもそも二次元のものを三次元に起こす段階でイメージ通りにするというのが土台無理な話なんですよ。ヴィジュアル的なイメージというのはある程度寛容にならざるを得ないでしょう。
 大切なのはストーリーであり、そしてメッセージ性である、と考えます。
 その点実写版『鋼の錬金術師』はメッセージ性においては充分及第点を与えてよい作品でしたよ。残念ながらストーリーの方はまとめ方に無理がありましたが…。

 実写版は原作漫画のイメージ通りである必要はないと述べたばかりですが、ことキャスト面に関して言えば、実写版『鋼の錬金術師』はほぼ理想に近いと言ってよいのでは、と思いますね。
 松雪泰子のラストを始めホムンクルス三人衆は完璧ですし、端役は芸達者なベテラン陣で固められ、唯一難を言えば主役のエドを演じた山田涼介がエドとは若干イメージが異なることでしょうか。
 しかし山田涼介がイメージが異なるからと言って、では他に誰かエドを演じるのに相応しい俳優がいるかというとこれはいないわけですよ。
 実年齢が14、5歳で、身長が160センチ以下、さらにアクションもこなせる子役俳優なんていますか?いませんよね?少なくとも自分は寡聞にして知りません。
 他にいないのであれば、年齢は20歳を超えていても、童顔で、そこそこアクションもこなせる山田涼介でも悪くはない、自分はそう思います。

 ストーリーはまとめ方に無理があると思いました。
 そもそも長大な原作を二時間半にまとめること自体難しいだろうとは思いますが、だとしても終盤の展開には無理がありますよね。
 ハクロ将軍は賢者の石のことをタッカーに分析させたようですが、キメラ研究の権威ではあっても、タッカーってそんな短時間で賢者の石のことを分析できるような優秀な錬金術師ではないはずですからね。
 もっと上手い幕の引き方はあっただろうとは思います。

 ただ、幕の引き方には不満があっても、それでも自分が本作を観に行ってよかったと思ったのは、ニーナとアレキサンダーのエピソードを逃げずに正面からきっちりと映像化していたからです。
 実は自分が原作のコミックスを読んですごいな、と思ったのは1巻ではなく、2巻でした。
 1巻もそれなりに面白いなとは思ったのですが、よく出来た王道の少年漫画だなぁぐらいで、そこまで評価は高くなかったのです。
 それがオールタイムベスト5に入るほどのお気に入りの漫画になったのは、2巻のニーナとアレキサンダーのエピソードを読んだ時で、ガーン!とハンマーで殴られたような衝撃を受けました。

 今回の実写版でもキメラが「エド…おにいちゃん…」とつぶやいたとき、自分はゾワゾワと鳥肌が立ちそうになりました。
 ヤフー映画で本作を☆一つの評価をしている人はあのシーンを見ても特に何も思わなかったんですかね?不思議に思います。

 実写版『鋼の錬金術師』は傑作というわけではありません。
 自分は今年年間50本を越えるペースで映画を観に行っていますが、ベストテンには入りません。
 ただ逆にワーストテンにも入らないです。
 本作を☆一つで評価している人は普段どんな映画を観ているのか、とても気になるところです。


 お気に入り度★★★☆、お薦め度★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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